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rakugaki_42「美術館へ行こう!【東京編】東京都美術館(後編)」

東京都美術館

私の現存する記録の中で、現在まで「東京都美術館」の企画展に出かけたのは10回です。
これは今まで鑑賞してきた「東京都美術館」の感想ブログ(後編)となります。


6)2013年7/20-9/23「ルーヴル美術館展 地中海 四千年のものがたり」

ルーヴル美術館展 地中海 四千年のものがたり

東京都美術館は2010年2月に観に行った「ボルゲーゼ美術館展」を最後に、2年間の改修で休館しました。
2012年9月に、改修後の東京都美術館で「マウリッツハイス美術館展 オランダ・フランドル絵画の至宝」で東京都美術館と再会でき、同年12月に「東京都美術館リニューアル記念 メトロポリタン美術館展 大地、海、空-4000年の美への旅」、2013年2月に「エル・グレコ展」、同年6月に「桂ゆき ーある寓話ー」を観に行くことができ、改修前から改修後まで観続けている、思い入れのある美術館になっています。
そして今回の「ルーヴル美術館展 地中海 四千年のものがたり」。
そもそも2009年8月1日に京都市美術館で観た「ルーヴル美術館展 17世紀ヨーロッパ絵画」。
続けて同月に国立国際美術館で観たのが「ルーヴル美術館展 美の宮殿の子どもたち」。
憧れのルーヴルには思い入れがたっぷり!
思い入れのある美術館に、思い入れのあるタイトルの美術展。
これは、もう観るっきゃないでしょ(笑)

本展はルーヴル美術館の全8美術部門が「地中海」をテーマに企画し、西洋と東洋を結ぶ地中海世界の四千年におよぶ歴史的・空間的な広がりを、ルーヴルが誇る200点を超える収蔵品で展観するものです。
チラシやポスターにも使われている、古代彫刻の傑作「アルテミス、通称 ギャビーのディアナ」が目玉作品です。
1808年にルーヴルに収蔵されて以来、初めて館外に出品された日本初公開の彫像。
ギリシア風の短い衣装などから、狩りの女神アルテミスとされていて、18世紀に発掘されました。
紀元前4世紀の名高い彫刻家プラクシテレスの様式を汲む作品の、ローマ時代の貴重な模刻らしいです。
こちら、360度ぐるりと拝見できます。
その他、調度品、彫像、壺、石棺など、様々な紀元前から19世紀までの作品、まさに四千年に亘る作品を巡ります。

夏休みに入っているのに関わらず、そこまでの混み具合ではなく、自分のペースで鑑賞することができました。
また、新たなルーヴルに出会えますように。


7)2016年1/16-4/3「ボッティチェリ展」

ボッティチェリ展

上野に久し振りにやって来ました。
久し振りに見た上野は、何だか街全体が巨大なテーマパークのよう。

サンドロ・ボッティチェリは、優雅で美しい聖母や神話の女神を描いた画家として知られます。
その作品は多くが板に描かれ、きわめて繊細であるため、まとまった数の来日はこれまでに叶いませんでした。
日伊国交樹立150周年記念として実現する本展は、フィレンツェをはじめ世界各地から20点以上ものボッティチェリ作品を集め、その画業を一望する大回顧展です。

確かに、ボッティチェリ単体の美術展というのは初めて聞きます。
約2年半振りとなる東京都美術館での鑑賞は、私の美術鑑賞経験の中で、京都文化博物館と対をなす混み混み美術館に認定されています。
う~む、混み混み必須でしょうか。
かなり不安ですね。

入っていきなり今回の目玉作品のひとつ、「ラーマ家の東方三博士の礼拝」で迎えられます。
おおっ、いきなり?って不意打ちをくらった感じです。
人だかりは出来ていますが、凄く混んでいる程ではありません。
それも意外!
いきなりの目玉作品も間近で鑑賞することができました。
その後はその時代の他の画家さんの作品が続きますが、中盤から後半にかけてボッティチェリやボッティチェリ工房の作品が集中して展示されていました。
ボッティチェリの作品を観ているうちに、ボッティチェリの作品って少女漫画みたいだなぁと。
美男美女、ちょっと萩尾望都とか、あの時代の漫画みたい。
「書斎の聖アウグスティヌス」なんて、老人なのにイケメン(笑)
「アペレスの誹謗」は芝居めいた寓話画で面白かったですし、これも目玉作品と言える「聖母子(書物の聖母)」はやはり素敵でした。
ボッティチェリと言えば華やかで「美しきシモネッタの肖像」みたいなのも勿論素敵なのですが、「女性の肖像(美しきシモネッタ)」みたいな地味な絵もあってびっくりしました。
これだけボッティチェリの作品を観たのは初体験なので色々と新たな発見があったりと、ボッティチェリを見る眼が少し変わりました。
ボッティチェリと言えば「ヴィーナスの誕生」ぐらいのイメージしかありませんでしたから。

帰り公園内では、桜が咲いている木を見つけてもう?ってこちらも発見した感じで帰路につきました。


8)2016年6/11-9/22「ポンピドゥー・センター傑作展 -ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで- 」

ポンピドゥー・センター傑作展 -ピカソ、マティス、デュシャンからクリストまで-

まだ梅雨明けはしていないはずですが、今日はかなりいい天気。
関東は水不足になると騒がれていますが、外にお出かけする分には晴れている方が嬉しいです。
やっ、それにしてもちょっと暑過ぎですけどね(笑)

さて、本展はシャガール、ピカソ、マティス、デュシャンなど、ポンピドゥー・センターが誇る巨匠たちの傑作が東京都美術館に集結して、絵画、彫刻、写真、映像、デザインなど多彩なジャンルから合わせて約70点がそろって開催するものだそうです。
20世紀に登場したさまざまな“イズム”など従来の枠組みにとらわれず、1年ごとに1作家の1作品を選んで展示されているとのこと。
展示室内でつながるアートのタイムラインは、フランス近現代美術のさまざまな局面を浮かび上がらせ、現代へのアートへの流れを感じ取ることができそうです。

展示スペースのデザインは、パリを拠点に活躍している新進気鋭の建築家・田根剛氏が担当していて、作品も含めて展示スペースも楽しめる仕組みらしいですね。
現代アートはそこまで好きな方ではありませんが、ちょっとどんなものなのか、楽しみになりました。
テーマ的には森アーツセンターギャラリーとか東京都現代美術館で取り上げられそうなのですが、何故か東京都美術館なんです。
東京都美術館はちょっと前に超行列で大騒ぎになった「若仲展」がありましたが、多分今回のような企画テーマではそんなに混んではいないだろうという予想を胸に秘めつつ、美術鑑賞に向かいました。

入る前に頭の固い私が心掛けたことが一つ。
理解しようとしない。
感じるままでいい、と。

2010年3月に国立国際美術館で観た日本現代作家特集の「絵画の庭、ゼロ年代日本の地平から」は、肩肘張らず理解しようとせずに気軽に観たら楽しめたので、今回もそんな感じで鑑賞すればいいのではなかろうかと思いました。

案の定、東京都美術館の割に空いていました(笑)
いや、でもこれ面白かったです。

1906年~1977年の間、1年に1作家の1作品を展示。
普通なら感情移入出来ずに残念な気持ちになりそうですが、ここまで徹底して割り切っていたら、その年の代表作家の紹介図鑑を観ているみたいで、この割り切りは気持ち良かったですね。
知っている作家もいれば、全く知らない作家もいる。
動画もあれば、なかには音楽を展示しているブースもある。
音楽なので、衝撃的なのは展示としては全く何も展示されていないんですよ。
ただ微かに音楽が聞こえてくるという(笑)
絵画、写真、オブジェ、動画、音楽・・・何でしょうね。
これ美術展というより1906年~1977年のアート博覧会みたい?
アート歴史探訪みたいに、へぇーと図鑑を眺めるみたいに鑑賞しました。

意外に受けたので図録を購入して帰りました。
いや、それにしても今日は暑かったですね。
早々に人混みの上野恩賜公園を後にしました。


9)2016年10/8-12/18「ゴッホとゴーギャン展」

ゴッホとゴーギャン展

11月もいよいよ後半、そろそろ師走感が出始めましたね。
昨年の今頃は短い広島生活の末、東京への引っ越し。
猛烈にバタバタしていたのを思い出し、あれからもう1年たったのだと、ちょっと感慨に耽ってしまいます。
昨年に比べれば今はまだ落ち着いていることに感謝をしつつ、美術鑑賞に出かけました。

19世紀末に活躍したフィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャン。この二人の画家に焦点を当てた美術展は、意外にも日本初となるものだそうです。
いろんな印象派の美術展で、二人は大概近い場所に展示されるので、しょっちゅうこの二人の美術鑑賞をしている感がありましたが、「二人のみ」の美術展というのは初めてなのかも知れませんね。

オランダの牧師の家庭に育ったファン・ゴッホと南米ペルーで幼年期を過ごしたゴーギャンは、生い立ちや性格だけではなく、絵画表現も大きく異なります。
そんな二人は1888年、南仏アルルで約2カ月の共同生活を送ります。
ともに制作し、時には激しい議論を重ねながら刺激を与え合いました。
そして二人の決別が明確になったとき、有名なゴッホの「耳切り事件」がおきてしまいます。。。

本展は、ファン・ゴッホとゴーギャンの初期から晩年にわたる油彩画約50点を含む約60点を展示するものです。
空いていればいいなと祈りつつ、小雨が降る中、東京都美術館に向かいました。
いや、東京都美術館の割には空いていたのかな?
う~ん、雨降りの割には混んでいたような?
・・・ぐらいの適度な混み具合?でした。
前列で観られなくはないけど、無理しないと観ることが出来ないみたいな。

入って直ぐ、ゴッホとゴーギャン以外にも、ミレーやコローやモネなどの展示も多数あり、え?結局これゴッホとゴーギャン展じゃなくて、いつもの印象派展じゃんみたいな印象を受けました。
が、進行するにつれゴッホとゴーギャンの作品比率が上がり、なるほど!ゴッホとゴーギャン展らしくなってきたって(笑)
訪れるまでは、ゴッホとゴーギャンは今までにかなり観てきたつもりだったので見飽きた感じにならないかなぁとも思ったのですが、いや、まだまだ観たことがなかったゴッホやゴーギャンの作品に出会えて良かったです。
ゴッホの「グラスに生けた花咲くアーモンドの小枝」はゴッホの作品とは思えないぐらいの(もちろんタッチはどう観てもゴッホなのですが)可愛らしい作品です。
ゴーギャンの「ブドウの収穫、人間の悲惨」は収穫という「生の喜び」のイメージに反して、人間の悲惨な運命を感じさせるイメージを盛り込んでおり、ちょっと今まで観たゴーギャンの絵とは違う象徴主義を匂わせる絵でした。


10)2017年1/21-4/2「日伊国交樹立150周年記念 ティツィアーノとヴェネツィア派展」

日伊国交樹立150周年記念 ティツィアーノとヴェネツィア派展

昨日は初めてのプレミアムフライデー。
毎月末の金曜日の午後3時に退社して、外食、買い物、旅行、映画鑑賞などの購買促進で、景気を向上させようという官民一体の政策ですね。
私も3時とはいきませんが、いつもよりちょっと早めに終わって、同僚と新橋で飲み歩きました。
そんな訳で今日はちょい眠気を感じながら、そろそろ観にいきたいと思っていた美術鑑賞に出かけました。
東京都美術館です。

水の都ヴェネツィアは、15世紀から16世紀にかけて海洋交易により飛躍的に繁栄し、異文化の交わる国際都市として発展を遂げるなかで、美術の黄金期を迎えたそうです。
政庁舎や聖堂、貴族の邸宅のための絵画まで、公私の場のためにさまざまな主題の絵画が制作され、明るい色彩と自由闊達な筆致、柔らかい光の効果を特徴とする、ヴェネツィアならではの絵画表現が生み出されたそうです。
本展は、ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノを中心に、黄金期を築いた多様な芸術家たちの絵画をとおして、ヴェネツィア・ルネサンス美術の特徴とその魅力を紹介するものだそうです。

展示は3つの章に分かれています。

第1章「ヴェネツィア、もうひとつのルネサンス」。
ルネサンスと言いつつ、ちょっとまだ中世っぽい絵画が多いです。
正直、あまり好みではない絵が多かったです(笑)

第2章「ティツィアーノの時代」。
割とツルッ、ノベッとした絵画が多かった印象です。
う~、ボギャブラリーの不足で申し訳ありません。
擬音では伝わりにくいかも知れませんが、肌感がツルッ、ノベッとしていて、ちょっとビニールとか人形みたいなイメージで。
少しロココっぽさもある?
全体的に、人物が人間というより人形の印象を受けました。

最後の第3章「ティツィアーノ、ティトレット、ヴェロネーゼ ー巨匠たちの競合」。
この部屋が私は1番好みでした。
中でもパオロ・ヴェロネーゼの「聖家族と聖バルバラ、幼い洗礼聖ヨハネ」は、ザ・ルネサンスぽくて良かったです。
あと、ボニファーチョ・ヴェロネーゼと助手の「最後の晩餐」とかも。
久々にチラシやポスターに取り上げられていた作品よりも、こっちの作品の方が素敵と思えた展示会でした(笑)

上野恩寵公園を通り抜ける中で知りましたが、桜がもう咲きはじめていますね。
まだ寒いですが、春はもう直ぐそこまで来ているのを実感しました。


以上、東京都美術館は有名どころの企画展が多いせいかどこよりも、そしていつも混んでいる美術館として憶えています。
是非、行かれるときは混み具合をご確認の上、お出かけすることを推奨いたします。

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