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カイコを使って発見!免疫にはたらくブロッコリー抽出エキスとは?

こんにちは、イマジン・グローバル・ケア株式会社です。

私たちは、健康寿命を延ばす革新的な製品を世界に届けることを目指し、体に良い成分を探し、その成分を活かした製品の開発を行っています。

私たちは研究開発をすすめる中で、「ブロッコリー」に免疫活性を高める成分が多く含まれていることを発見しました。

さらに、成分を効率的に抽出する方法も開発しました。この方法で抽出すると、従来の方法と比べて免疫活性レベルが約10倍に増加することが試験で確認できたんですよ。

この記事では、私たちがどのような経緯でこうした発見ができたのか、その背景を詳しくご紹介します。


「免疫機能の働きを良くする成分を探そう!」

さて、「健康寿命を延ばす革新的な製品」とは、どんなものなのでしょうか。

たとえば、健康食品や運動器具、身体のモニタリングデバイスなど、様々なものがありますよね。

その中で私たちが取り組んだのは、「免疫の働きを助けるサプリメントをつくること」です。身体の内側の働きを助けることが、健康の維持に貢献すると考えたからです。

- 長く健康な身体を維持するために重要なのは「免疫」

「免疫」とは、簡単にいうと「体の防御機能」のことです。

免疫機能が正常に機能している人は、ウィルスに対して高い抵抗力を持ちます。風邪やインフルエンザになりにくいだけでなく、がんのリスクも低いと考えられています。

また、病原体や異物を効果的に排除する能力もあることから、がん細胞やウイルスに感染した細胞を排除しやすいことも示唆されます。

ですから、「免疫の働きを助ける何か(免疫活性成分)」を特定し、みなさんが簡単に摂取できる製品の形にしてお届けできれば、健康寿命を延ばす助けになると、私たちは考えました

- カラダに入れるものだから安全でなければならない

私たちが発見すべき免疫活性成分は、体に入れるものですから、副作用や悪影響が最小限でなければなりません。つまり、身体に良い影響を与え、悪影響が少ない成分を見つける必要があります。

この観点から、私たちは植物由来の栄養素に注目しました

そして「免疫を活性化する野菜や果物を特定し、その中の活性成分を抽出して製品化したらどうだろう?」というアイディアを持つに至ったのです。

そのためにはまず、野菜や果物が「実際に免疫を活性化させること」を明らかにしなければなりません。

この段階で、私たちは一つの課題に直面しました。

免疫の活性を測定することは、結構難しいことだからです💦

カイコ試験で「ブロッコリーがすごい!」ってことを発見した

「免疫の活性を測定する」ことは、「心拍数を測定する」とか「血圧を測る」のように単純なものではありません。

- 免疫活性を確認するには「イチブトゼンブ」の測定が必要

免疫活性を詳しく調査するためには、体全体(免疫全体)のはたらきを総合的に理解する必要があります。

というのが、「免疫」とは、臓器、白血球、タンパク質(抗体)、化学物質を含む複雑なシステムであり、これらが助け合って体を守る仕組みだからです

ですから、免疫の活性を評価するためには、特定の細胞や分子だけを観察するのではなく、全体的な「助け合う仕組み」も評価しなければならないのです

「助け合う仕組み」の評価には、ヒトやマウスなどの1つの個体をつかって全身の免疫活性レベルを評価することが一般的です(これを「個体を使った全体的な評価」といいます)。

ところが、ヒトやマウスなどで全体の免疫活性レベルを評価するとなると、これはもう本当に多くの計測作業と、気の遠くなるような分析が必要になってしまいます。

もちろん、時間をかければ不可能な作業ではありません。

しかし、もっと効率的に、なおかつ正確に、免疫活性を評価することはできないのかと、私たちは考えました。

- すごい生き物「カイコ」を使って免疫活性化を確認

そこで、カイコの登場です。カイコを使えば、全身の免疫が活性化しているかどうかを、比較的簡単に評価できるのです。

実は、カイコと人間の生体機構には多くの共通点があります。カイコにも白血球が存在し、自然免疫が機能しています。

カイコと人の体の仕組みには共通点が多い
カイコはヒト用の新薬開発や免疫活性化物質探索のモデル動物になっている。Credit: イマジン・グローバル・ケア株式会社

このため、カイコで免疫活性が確認できたら、ヒトでも同様の効果がみられる可能性は高いと考えました。

評価にあたっては、カイコ特有の性質を利用しました。カイコには免疫が活性化すると筋肉が収縮して体が縮むという驚くべき特性があるのです。

そして、免疫が活性化すればするほど、カイコの筋肉は大きく収縮する性質もあります。

免疫活性化でカイコの筋肉が収縮
カイコには免疫が活性化すると筋肉が収縮して体が縮む特性がある。Credit: イマジン・グローバル・ケア株式会社

この特性を利用し、さまざまな成分をカイコに投与し、どれだけ縮んだかを測定することで、免疫活性化を評価する方法を考案しました。

私たちはカイコの助けを借りて、たくさんの野菜や果物の免疫活性化レベルを評価しました。

ブロッコリーが高い免疫活性を示した
抽出した植物エキスをカイコを用いた自然免疫測定系で比較。Drug Discov Ther. 2017, 11:230-237.

上のグラフのとおり、カイコの筋肉を最も縮ませたもの、つまり免疫活性化レベルが高かったのが「ブロッコリー」でした。

しかも、ブロッコリーから取り出した成分の免疫活性化レベルは、他の野菜や果物に比べて、飛び抜けて高かったのです。

- ブロッコリーの免疫活性力は突出していた

私たちは、ブロッコリーから取り出した成分を、フコイダンやβ-グルカンなどの、他の植物由来の免疫活性成分とも比較してみました。

これも、カイコに協力してもらって、免疫の活性を比較したものです。
結果、ブロッコリーから取り出した成分は、他の植物由来より非常に高いレベルで免疫を活性化させることがわかりました。

ブロッコリー抽出エキスと他の成分の比較
カイコを用いた自然免疫測定系で比較。 © Imagine Ogata Seimeigaku Laboratory イマジン・小方生命学研究所調べ

そのパワーは、感染症やがんへの効果が期待される「β-グルカン」の約5.7倍、抗酸化作用があるとされる「フコイダン」の約6.7倍であることが示されました。

免疫活性成分だけを取り出したい!

ここまでで、私たちは目指していた第一段階、すなわち「野菜や果物の中で、免疫を最も高く活性化させるもの」を特定することができました。

答えは「ブロッコリー」でした!

次に取り組むべき課題は、ブロッコリーから得られるエキスを、体に効率的に取り入れられる形で取り出すことです。

先述の試験で使用したエキスは、確かに体に良いものですが、そのままでは効率的に栄養を摂取するとは言えません。

この理由を理解するために、「細胞壁」という植物特有の構造をみていきます。

- 植物由来の栄養素は「細胞壁」に守られている

「細胞壁」とは、植物や菌類に特有の構造で、ビタミンや酵母などの栄養素は、この細胞壁の内側に存在しています。

動物と植物の細胞比較、細胞膜と細胞壁
細胞壁があるまま摂取しても栄養は吸収されにくい。Credit: イマジン・グローバル・ケア株式会社

細胞壁は非常に頑丈なので体内でも壊れにくく、そのまま摂取しても、栄養素の吸収は難しいのです。

我らがブロッコリーも野菜ですから、その免疫活性成分も、細胞壁の内側に存在することが考えられます。

ですから、免疫活性成分を効率的に体に取り入れるための製品を開発するうえでは、細胞壁から必要な成分だけを効率的に取り出すことが必要なのです。

- ブロッコリーから成分を抽出する手法を東京大学と開発

さて、栄養素を細胞壁から抽出する方法には、従来から使用される溶媒抽出、熱処理、破砕などの方法があります。

目的や抽出したい成分、使用する植物材料の種類にあわせて、組み合わせて使用されることが一般的です。

もちろん、従来の考え方・やり方で抽出する選択肢もありましたが、私たちは「もっと良い方法はないか?」と検討しました。

そして、新しいアプローチとして、「必要な成分だけを取り出す」のではなく、「不要な成分だけを除去する」という方法を考案しました。

この方法を試した結果、細胞壁の中から効率的に免疫活性化成分を取り出せることが確認できたのです。

私たちの試験では、この新しい抽出方法によるエキスの免疫活性化能力は、例えば、通常の調理方法(茹でる、蒸す)と比べて、10倍以上もあることもわかりました。

この革新的な抽出方法の開発は、東京大学の研究チームとの共同研究として進められました。そして、この独自の抽出方法は高い独自性が認められ、日本、アメリカ、欧州で特許を取得することができました

免疫活性成分の探索と抽出方法に関して取得した特許。イマジン・グローバル・ケア株式会社

私たちは、この方法で抽出したエキスを「ブロッコリー抽出エキス」と名付け、製品化に着手しました。2010年のことです。

ブロッコリーには免疫活性成分「ブロッコリー多糖体」が含まれていた!

ここまでで私たちは、ブロッコリーに含まれる高い免疫活性化成分を発見し、独自の手法で効率的に抽出する方法を確立しました。

しかし、ここで一つの疑問が残ります。ブロッコリー抽出エキスに含まれる「免疫活性成分」とは具体的に何なのでしょうか。

この疑問は、2017年に東京大学の研究者たちが解明しました。「ブロッコリー抽出エキス」には、免疫を活性化させる多糖体「RG-Iペクチン様多糖体(RG-I))」が含まれていることが明らかになったのです。

RG-Iペクチン様多糖体(RG-I)は、通常の調理方法でのブロッコリーではほとんど摂取することができません。非常に繊細な抽出プロセスが必要です。

私たちが特許を取得したこの手法は、現在唯一「ブロッコリー抽出エキス」を抽出することができる方法となっています。

また、現時点ではブロッコリー由来のRG-Iは、ブロッコリー抽出エキスの中でのみ確認されています

そして、2023年に同じ研究チームから発表された研究結果から、ブロッコリー抽出物には、RG-Iをはるかに上回る免疫活性効果のある多糖体が存在することがわかりました。

つまり、ブロッコリー抽出物には、免疫活性にを効果を持つものが複数含まれているんです。ブロッコリーの持つパワーに、改めて驚かされますね!

ブロッコリー抽出エキスはヒトでも免疫活性が確認できた

この記事を通じて、私たちがブロッコリー抽出エキスの製品化に至るまでの過程を紹介しました。

「カイコでの効果が確認されたからといって、ヒトでも同じ効果があるとは限らない」という疑念を持たれる方もいるかと思います。

しかし、私たちはカイコの実験だけに留まっていません。これまでにヒトを対象とした臨床研究を2回実施し、ヒトにおけるブロッコリー多糖体の効果、特に風邪の予防や回復免疫細胞の活性化に関する効果を確認しています。

私たちは今後も製品の改良を続けるとともに、その成分の効果や製品の安全性についての検証を進め、皆様に情報を提供して参ります。

どうぞ、今後の発表もお楽しみに!

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