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会社を変える「圧」

こんにちは、戸田です。

これから始めようとする新規事業やベンチャーでも、100年以上続いている老舗でも、戦略を立てる際に最初にやることの一つとして、市場や競争(代替手段の台頭も含む)の変化や潮目の見極めがあります。

変化や潮目を見極めることは当然難しいことですが、仮に見極められたからといっても、会社をすぐに変えることは容易ではありません。人間や組織の問題が絡みますから、その労力は、見極めの100倍以上、かかると言っても言い過ぎではないかもしれません。


会社を変える「外圧」

日本的、というと決めつけ感があるかもしれませんが、社内から(または、社内だけで)変えていくことが苦手な会社は、結構多いのではないでしょうか。既存のしがらみや力(上下)関係もありますし、言うは易しで、正論を振りかざしたところで聞く耳もたれずですね。

こうしたケースでは、社内から説得するのではなく、社外の力を“遠心力”のようなブーメランとして使うアプローチとして、「外圧」が有効な場合があります。

たとえば、株主・オーナーの意向であったり、“お友達”ではない(社外)取締役からの健全な提言、主要債権者からの要請、主要顧客(取引先)からの示唆を踏まえて、企業の変革を決断するための流れと契機が作り出されることがあります。

この圧力の良い点は、変革に一定の客観的な目標とスピード感を持たせやすいことです。但し、時と場合によっては少し劇薬に近いところもありますので、注意も必要です。

会社を変える「内圧」

社内から変えることは難しい事実を踏まえた上で、それでも、内から変えていこうとするための「内圧」のアプローチも無くはありません。

まず、企業の内側にどのようなプレイヤーがいるかによって、取り得る選択肢は変わります。もし後継者(親族など)がいるなら次代経営者としての提言を出したり、幹部社員であればコンサルティング会社等を使って客観性を付与しつつ変革の方向性を示したり、一般職員としての要望は労使協議やストライキを通じて、企業へ変革を促すことが考えられます。

この圧力の良い点は、何といっても自律的な変革の機運であるため、組織のレジリエンス(環境変化への抵抗力)が増し、推進力が高められることです。

ただし、そうはいっても変わらない時は変わらないので、外圧に比べると変革の決定打になりにくい側面はあるでしょう。特に不正や不祥事等があるような会社・組織では有効性が乏しくなります。

会社を変える「浸透圧」

最後に、もう一つの圧力、と言いますか、関係者が自分でも気付かないうちに認識が変わっていくことを促すためのアプローチ(試み)として、「浸透圧」を挙げてみます。

会社が変われるかどうか、つまり、「変わろう(変わらなければならない)と決意する」ことができるための前提には、「何を、どのように見ているか」の経営上の文脈と背景、問題意識と優先順位について、関係者が納得して共有できているかが強く影響します。

「浸透圧」のアプローチでは、この問題意識と優先順位にのみ働きかけることを意図します。

つまり、変わらなければならないこと(=目的とする結果)について、直接的にいきなり「外圧」や「内圧」に頼って訴えるのではなく、まずは「今、何が起こっていて、それはなぜなのか」「このままだと、どういう影響とシナリオが考えられるか」(=目的とする結果を導くための前提となる認識作り)について、良いことも悪いことも合わせて公正に伝えることに注力します。

一人の人間を変えることすら難しいのですから、組織を変えることの難しさは言うまでもありません。ですから、人を変えるのではなく、人に自ら気付いてもらう、アプローチになります。時間もかかりますから、許容されない場合も当然あります。それでも、周りに気付いてくれる人が徐々に増えていくことで、変革の地盤は自ずと強固なものになるでしょう。

本日は、以上です。

TRAIL INC.(トレイル)
経営変革のための伴走パートナーシップ
Open Management®
(オープン マネジメント®)

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