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『愛の渇き』三島由紀夫

はじめに:人間の欲望

本日は、女史が最も尊敬する小説家の一人、三島由紀夫の愛の渇きについて書く。本作は、三島らしい、人間の薄汚い心理を生々しく描いた作品だ。

三島は本作で、縁者であるにも関わらずに関係を持つ中年男女と、その中に入り込んでくる若々しい青年との三角関係を書いた。しかし、ただの恋愛小説と侮ることなかれ。主人公の女性のサイコパス性が徹底的に描かれていたり、若々しい青年への欲求がここまでかというほど表現されている。謂わば、人間の欲望と狂気を徹底的に描いた作品なのである。

異郷から来た女史が何者か知りたい人はこれを読んでくれ。

そして、女史のnoteをどう読むか、こちらを参考にしてくれ。

人間の本質とは:欲望と狂気

主人公の中年女性は、夫を亡くした。夫を亡くしたのち、夫の実家に身を寄せる。そこで、なんと、夫の父親と関係を持ってしまうのである。この時点でかなり怪しい雲行きになってくる。

しかし、主人公は、義父を愛しているわけでもない。そこに、生き生きとした青年が現れる。青年は、義父の農園で働いている。主人公は、その青年に次第に目をつけ、欲望を抱き始める。ここから、女性と義父と青年の三角関係が始まるのである。

主人公の女性は、俗に言うサイコパスである。三島は、この主人公の女性の異常なまでの狂気と欲望を、彼特有の表現力で描き上げる

おわりに:三島由紀夫の描写力

本作は、三島由紀夫の人間の欲望の描写力が最も顕著に表れた作品ではないかと思う。本作は、仮面の告白や金閣寺ほど有名ではないが、表現力と生々しさという意味では断トツである。

女史は、三島由紀夫の、生々しい人間の欲望をこれでもか!というほど描くところが好きだ。人間は、どんなに高潔な人でも薄汚い考えを心のどこかに持っている。三島の小説は、「ほら、お前らもこの登場人物と同じようなことを考えたことがあるだろう!」と、無言で訴えてくる。

三島由紀夫が好きだが本作を読んでいない方、三島作品は読んだことがないという方、是非お手に取ってみてはいかがでしょう。

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