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書籍レビュー『アポロってほんとうに月に行ったの?』エム・ハーガ(2002)もしも、アレが全部ウソだったとしたら……

「アポロ計画」とは

僕らの生まれてくる
ずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに

『アポロ』ポルノグラフィティ

ポルノグラフィティが
'99年に発表した
メジャーデビューシングルより
引用させてもらいました。

この歌詞のモチーフとなっている
「アポロ計画」は、

'62~'72年にアメリカ航空宇宙局
(NASA)が実施した
人類初となる月への
有人宇宙飛行計画です。

アポロ1号では、
予行演習中の火災事故で
3名の飛行士が死亡する
痛ましい事故もありましたが、

'68年のアポロ7号では、
初の有人飛行を成功させ、

'69年のアポロ11号では、
人類初の月面着陸を
成功させました。

その後も'72年の
アポロ17号まで、
5回の月面着陸に成功、

アポロ11号から数えて、
12人の宇宙飛行士が
月面に降り立ったのです。

その後、月面に降り立った
人類は一人もいません。

未だにアメリカだけが
成し遂げた偉業とされています。

ソ連にボロ負けしていた
アメリカの宇宙開発

当時、宇宙開発は
アメリカだけが
行なっていたのではありません。

冷戦下のアメリカにとっての
ライバルであるソビエト連邦も
宇宙開発を進めていました。

しかも、'69年にアポロ11号で
月面着陸を成功させるまでは、
完全にソ連が
リードしていたんですね。

人工衛星の打ち上げ、
('57年、スプートニク1号)

有人宇宙飛行、
('61年、ユーリイ・ガガーリン)

無人探査機の月面着陸、
('66年、ルナ9号)

いずれもソ連が世界で
はじめて成功させた業績です。

たかが「宇宙開発」
と思われるかもしれませんが、
当時のアメリカは焦っていました。

なぜならば、
「ロケットの技術」
=「ミサイルの技術」
だからです。

実際、'57年に
ソ連がスプートニク1号で
人工衛星の打ち上げに
成功すると、

アメリカ国民は、
「この衛星を使って核爆弾を
 落としてくるのではないか」
と、不安に陥りました。
(スプートニクショック)

ですから、アメリカは
この競争に負けるわけには
いかなかったのです。

そして、'61年に、
当時のアメリカ大統領、
ジョン・F・ケネディは、

「我々は1960年代末までに
 月に人間を着陸させて
 地球に帰還させる」

と、発表するにいたります。

当時の状況からいえば、
完全にソ連にリードされていた
アメリカですが、

冒頭にも紹介した
「アポロ計画」を立ち上げ、
宣言通り'60年代末までに
有人の月面着陸を成功させました。

「アポロ計画」には、
当時としては破格の
250億ドルもの予算が
投じられましたが、

そこまでしてでも、
アメリカにはこの勝負に
勝つ理由があったのです。

世界の覇権国となるために。

もしも、アレが全部
ウソだったとしたら……

ここまでが一般的な
歴史として語られる
アメリカの偉業です。

しかし、本書では、
アメリカによる
有人月面着陸が
ウソだったのではないか、

という疑問が
投げかけられています。

この噂は以前から、
私も聴いたことがありました。

例えば、有名なのは、
月面着陸に成功した時に、
宇宙飛行士が月面に立てた
星条旗ですね。

月には大気がないはずなのに、
なぜか、旗が揺らめいています。

つまり、これは月ではなく、
どこか別の場所で撮られた
映像なのではないか、
という疑惑があるわけです。

NASA はこの疑惑に対して、
宇宙船のファンによるもの
と答えているようですが、

それならば、
地表の粉塵が舞っていないのは
不思議ですね。

本書ではこのような
月面着陸に関する疑惑を
14項目にわたって
紹介しています。

実際に NASA が公開した
実物の写真や映像を掲載し、
不可思議な点を
指摘しているのです。

ちょっと考えてみてください。

あのアメリカの伝説が、
すべてフィクション
だったとしたら、
なんだかゾッとしませんか。

当時のアメリカの映画を観れば、
宇宙を映像で表現できるのは、
間違いありません。

月面着陸の映像は、
『2001年宇宙の旅』を撮った
スタンリーキューブリックが
手掛けたという噂も
あるくらいなんです。

強力な証拠、
考察を突きつけつつも、
本書は答えを押し付けません。

あくまでも
「信じるか信じないかは
 あなた次第」
というスタンスです。

熱くならず、あくまでもクールに
数々の証拠を提示しつつ、
軽い読み物に仕上げたところが
本書の魅力ですね。

ちなみに、本書によれば、
アメリカ国民の約20%は、
月面着陸を信じていない
とのことです。


【書籍情報】
発行年:2002年(文庫版2004年)
著者:エム・ハーガ
訳者:芳賀正光
出版社:朝日新聞社

【著者について】
1965年生まれ。
マルチプランナー&クリエーター。
映画、音楽、格闘技などの
エンターテインメント事業、
ボランティア事業、
商品開発、CM 製作、
企業コンサルティングと
幅広く活動している。

【本書のおもな参考文献】


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