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映画レビュー『グッド・ウィル・ハンティング』(1997)腹の立つ相手を記憶から消す方法

不運な境遇の主人公

本作のことを知ったのは、
武田鉄矢のラジオでした。

『今朝の三枚おろし』という番組で、
この番組はおもに武田鉄矢が読んだ
本の紹介する番組なんですよね。

その中で『嫌われる勇気』で
有名なアドラー心理学の
岸見一郎氏の著書が紹介され、

本の中に、
『グッド・ウィル・ハンティング』の話が
例として挙げられていたんです。
(そっちの本も読んだ)

幼い頃に両親に捨てられ、
里親の元で育った主人公・ウィルには、
(マット・デイモン)
虐待されていた過去がありました。

お金もなく、
20歳の彼はその日暮らしの
アルバイトをして、
食いつないでいます。

周りには同じような境遇の仲間がいて、
やはり、彼らもその日暮らしで、
定職にも就かず、
バイト仕事の以外はしません。

余暇は仲間同士でつるんで、
酒を飲み、気に食わない奴がいれば
ケンカをするような毎日でした。

素行は悪いが頭がいい

そんな仲間たちと
なんとなく過ごしてきたウィルですが、

周りの友人たちとウィルは
違いました。

ウィルは貧しく、
過酷な境遇で育ちましたが、
「賢さ」は飛び抜けていたのです。

読んだ本を隅々まで
暗唱できる記憶力を持っており、
バーで女性に絡む
インテリ大学生を論破しました。

口論になれば、
極めて論理的な減らず口が
叩けるのです。

そして、ウィルがもっとも
その能力を発揮するのが
「数学」でした。

ウィルはマサチューセッツ工科大学で
清掃員を務めていたのですが、

ある時、数学の教授が
生徒たちに難問を出しました。

その難問は誰にでも挑戦できるように、
廊下の黒板に書かれていたのですが、
あまりの難度の高さに、
誰も手を付けられません。

生徒たちが帰ったあと、
ウィルはこの黒板の問題を
見るやいなや、
あっさりと数式を解いてしまいました。

このことに目を付けた教授は、
ケンカのことで留置所にいた
彼を引き取ることにします。

教授は彼の潜在的な学力の高さに
心底惚れ込んでいたのです。

ところが、ウィルは、
その期待に応えよう
という気がありません。

教授はカウンセラーを付けて、
彼を更生させようとするのですが、

どんなに優秀な精神科医でも、
彼の生意気な態度に耐えかねて、
さじを投げてしまいます。

そんな中、教授が白羽の矢を立てたのが、
大学時代の旧友であり、
精神学者であるショーンでした。
(ロビン・ウィリアムズ)

腹の立つ相手を
記憶から消す方法

ショーンは二年前に
妻に先立たれ、
心に深い傷を負っていました。

はじめてショーンが
ウィルをカウンセリングした時に、
ウィルはいつものごとく、
心無い言葉でショーンを侮辱します。

最初は穏やかに聴いていた
ショーンですが、
その矛先が亡き妻にまで及んだ時、
怒りが頂点に達しました。

ショーンはウィルの首を掴み、
「それ以上、妻を侮辱すると許さない」
と、本気で怒ったのです。

その夜、ショーンは、
ウィルから言われた酷い言葉が
頭から離れず、
眠れなくなってしまいました。

あくる日、
二回目のカウンセリングに訪れた
ウィルに向かって、
ショーンはそのことを正直に話します。

「君に言われたことを思い出して
 眠れなくなった」と。

ところが、ショーンは、
その晩、あることを思い出し、

その後はウィルのことを忘れて、
スッキリ眠ることができたと言います。

ショーンが思い出したことは
一体なんだったのでしょうか。

さぁ、気になりますね(笑)

それは本作を観てのお楽しみです。

本作は決して、
派手な作品ではないですが、
脚本がよく出来ていて、
シンプルなストーリーに引き込まれます。

そして、その脚本を書いたのが、
当時無名だった主演の
マット・デイモン、

その友人役を務めた
ベン・アフレックだと言うのだから、
すごいですよね。

やはり、というべきか、
本作で注目された二人は、

その後、演じ手としてだけでなく、
制作側としても、
映画作りに携わっています。

また、その脚本の魅力を
引き出す存在として、
特に、ロビン・ウィリアムズの
存在が大きいでしょう。

前述したウィルの
カウンセリングのシーンは、
ショーンの長いセリフが
続くシーンも多いんですが、

その表情と声に思わず
胸が締め付けられます。

本作を観たあなたも
今後、自分に向かって
失礼なことを言ってくる相手がいた時、

きっと、本作のショーンの
セリフを思い出すに違いありません。


【作品情報】
1997年公開
監督:ガス・ヴァン・サント
脚本:マット・デイモン
   ベン・アフレック
出演:マット・デイモン
   ロビン・ウィリアムズ
   ベン・アフレック
配給:ミラマックス
   松竹富士
上映時間:127分

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