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テクノポップ/エレポップの名曲12選

※3500字以上の記事です。
 お時間のある時にお付き合いいただけると嬉しいです。

「初心者向けのテクノ」というお題に対し、前置きとして二つの記事を書きましたが、

いよいよ、ここからが本番です。

テクノに関して「初心者向け」というお題は、私にとってかなりの難題でした。
というのも、私自身はテクノから音楽にハマっていったクチなので、入り口がテクノだったんですね。むしろ、テクノと出会わなければ、ここまで音楽を聴き込むようにはなっていなかったでしょう。

ですから、私は音楽を聴くようになったばかりの頃は、テクノっぽいものが聴きやすかったんですね。
でも、多分、一般的な人にとっては、あまり聴きやすい音楽ではないとも思います。

そこで、テクノ初心者の方には、まず、テクノのヒット曲を聴いていただくのが一番だという結論に至りました。
(「ヒットした」=「わかりやすい」でもある)

今ではネットに情報がたくさんありますし、テクノが流行り出した'80年代以降のヒット曲を調べるのは簡単にできることです。

しかし、テクノに興味がなかった初心者が自分で調べてまで、曲を聴くだろうか、という疑問も感じます。

そこで、この記事では、当時の代表的なテクノ系の楽曲を集めてみました。
(あくまでもヒットチューンを集めただけなので、自分がそれほど詳しくない楽曲も含まれている)

「Don't Think! Feel!(考えるな、感じろ!)」です。
(映画『燃えよドラゴン』のブルース・リーのセリフより)

そうなんです、テクノに馴染みのない方は、音を聴く前に頭で考え過ぎだと思うんですね。本来、テクノは、そんなに難しい音楽ではありません。
むしろ、「ダンス」という人間のもっとも原初的な欲求に根差した、快楽的な音楽だと思います。

だからこそ、まずは、聴いてみてください。

ちなみに、「エレポップ」というワードがはじめて出てきましたが、

(エレポップ=エレクトロ・ポップの略)

これも「テクノポップ」と似たようなもので、明確な区分があるわけでもありません。
ただ、時代によっては「テクノポップ」という言葉がそぐわないものもあるので、敢えてタイトルには「エレポップ」も入れました。

なお、前置きとして書いた記事で私が挙げた「テクノの三要素」より「音(サウンド)」「リズム」「コンセプト」の三つの評価軸を★5点満点で評価を付けました。

さらに、その楽曲自体の知名度も★5つで表示しています。

★★★★★ 有名
★★★★  音楽好きなら知っている
★★★   テクノ好きなら知っている
★★    テクノ通なら知っている
★     知る人ぞ知る

これらは絶対的な評価というわけではなく、あくまでも目安です。
特に、初心者の方は、これらの楽曲がどのくらいの知名度があるのかもよくわからないでしょうから、そういう部分に着目するのも、理解を促す上で、効果的だと思います。

ちなみに、今回は「テクノポップ/エレポップ」編ですが、今後、「テクノ/ハウス」編も紹介する予定です。

それでは、さっそく楽曲の解説に参りましょう。

①I Feel Love/Donna Summer('77)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★
コンセプト ★★★★

ディスコの女王、ドナ・サマーの曲をイタリアのジョルジオ・モロダ―がプロデュース。ディスコミュージックに打ち込みを持ち込んだ最初期の曲で、当時は革新的な曲だった。シーケンサーを使った反復ビートが癖になる。

②The Robots/Kraftwerk('78)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★
コンセプト ★★★★★

テクノポップ界のビートルズ的な扱いのドイツのバンド、クラフトワークの代表曲の一つ。
クラフトワークの革新的だったところは、音数が少ないながらも、すべての音が電子音で構成されているところ。機械が織りなす均等なビートは、それまでの音楽の歴史にはないもので、驚きを持って迎えられた。

③Firecracker/Yellow Magic Orchestra('78)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★★
コンセプト ★★★★★

YMO のデビュー曲。マーティン・デニーのエキゾチカであるこの楽曲をディスコ調でカバーして、世界に進出するというのが、YMO 結成当初のコンセプトだった。コンピューターのビートに合わせて奏でられるオリエンタルなメロディーが革新的。

④Video Killed The Radio Star/The Buggles('79)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★★
リズム   ★★★
コンセプト ★★★★

イギリスのバグルスのデビュー曲。ピアノ、ドラム、ギター、ベースは生楽器だが、シンセサイザーの音もかなりインパクトのある使い方がされている。MTV 開局、1曲目のミュージックビデオとしても採用され、映像でもヒットした。人工的な映像もテクノっぽい。

⑤Pop Muzik/M('79)

知名度   ★★★
サウンド  ★★★★
リズム   ★★★
コンセプト ★★★

M は、イギリスのロビン・スコットによるユニット。ギターのリフ、跳ねるような電子音、軽やかな歌声が重なり、独自の世界観を感じさせる。
のちに、ロビン・スコットは坂本龍一とコラボレーションしたり、高橋幸宏がレコーディングに参加したアルバムもある。

⑥Moskow Diskow/Telex('79)

知名度   ★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★★
コンセプト ★★★

ベルギーを代表するテクノポップバンド、テレックスの代表曲で、'70年代末の楽曲とは思えないほど、ハードな電子音が印象的。
同時代のクラフトワークと同様に、音数は決して多くないが、一つひとつの音が作り込まれており、音の厚さを感じさせる。

⑦Don't You Want Me/Human League('81)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★
リズム   ★★★
コンセプト ★★★

全英・全米で1位を記録したヒューマン・リーグの代表曲。
初期メンバーが離脱し、女性ボーカルを入れた新体制ではじめて発表された曲でもあった。全体的に音が明るくポップ、電子音の使い方もさりげないのが、大衆受けした原因かもしれない。

⑧Just Can't Get Enough/Depech Mode('81)

知名度   ★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★
コンセプト ★★★

イギリスのデペッシュ・モードの初期のヒット曲。リズムマシンも使った、おもちゃのような音がかわいらしい。柔らかい音を基調にし、アクセントに硬質な電子音があしらわれているのが効果的。

⑨Don't Go/Yazoo('82)

知名度   ★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★
コンセプト ★★★

ヤズーはデペッシュ・モードを脱退したヴィンス・クラークが結成したデュオ。バックのサウンドはフル・エレクトロニックで、その上に情熱的なボーカルという組み合わせがいい。印象的なシンセのリフは、一度聴いたら頭から離れない。

⑩Blue Monday/New Order('83)

知名度   ★★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★★
コンセプト ★★★★

イギリスのニュー・オーダーの代表曲の一つ。前身のバンド、ジョイ・ディヴィジョンのボーカル、イアン・カーティスの急逝を受け、失意の中にあったメンバーがマネージャーから渡されたレコードの中に、イタリアのディスコサウンドがあった。
そのサウンドを自分たちなりに咀嚼して作られたのが、この無骨なマシンビートである。物憂げな歌声とハードなビートの組み合わせが斬新。

⑪Take on Me/a-ha('84)

知名度   ★★★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★★
コンセプト ★★★★

ノルウェーの a-ha(アーハ)の代表曲であり、現在では'80年代の音楽を象徴するシンボルとしても扱われる。この時代になると、どこまでが電子音で、どこまでが生音なのか判別がつきにくいほど、電子音がサウンドに馴染んでいる(生音もまた電子音に近づけるような加工がされている)。
曲全体を包むシンプルな電子音の良さがわかりやすい魅力。

⑫Absolute/Scritti Politti('84)

知名度   ★★★
サウンド  ★★★★★
リズム   ★★★★★
コンセプト ★★★

イギリスのスクリッティ・ポリッティは、この曲が飛び抜けて有名というわけではなく、この曲を収録したアルバム『キューピッド&サイケ85』自体が、当時のデジタルレコーディングの基準を作ったとも言われるほどの名盤。
ヤハマのDX7(デジタルシンセサイザー)の硬質な響き、ゲート・リバーブ(ドラムの残響音をカットする手法)の切れ味が、いかにも'80年代らしいサウンドになっている。クリアーな音質という点では、革新的なサウンドだった。

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