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【愚鈍なくせに】リトアニア旅行記

珍しくノートを連日更新したら疲れてしまった。文章を書く行為。それは、「愚鈍な牛」のよう。そう、誰かのエッセイを読んだら書いてあった。文章は、感情の赴くままにすらすらと出てくるものではなくって、対象を飽きるまでしつこく見つめて、言葉が出てくるまで忍耐して、やっとのことで生まれる。パソコンの前でうんうんうなりながら、一文字も出てこないこともしばしば。それは、まるで「愚鈍な牛」。

本当そうだなと思う。ここ最近の私はそんな感じ。書きたいテーマが多すぎるのに、言葉が見つからない。頭の中がごちゃごちゃで、飽和してパンクしそうなのに、何も書けない。どうせ誰も私の文章なんて見てないしな。書かなくてもいっか!そう思ってしまいそうになっていた。(書いてるけど)

昨日の夜、眠れない床で(眠れないのは帰ってすぐ仮眠してしまったからです)考えた。

こういうとき、人は旅に出たいと思うんだろうな。

自意識がぱんぱんに膨れ上がって、破裂しそうなとき。自分探しの旅(笑)とか言って、今までの私ならバカにしてたけど。今は、そうやって私を誰も知らない、見知らぬ土地に行きたくなる気持ちが、なんとなくわかる。

慣れ親しんだ地元で生活していると、どうしても意識が内へ内へと向いてしまう。頭の中でしか、自分を捉えられなくなる。そうなると、ときたま苦しい。その日一日を振り返って、あの時のあの言動は正しかったんだろうかとか、あの人のあの言葉はどういう気持ちで私に向けられたんだろうとか、答えのない問いにもんもんと妄想を繰り返して、苦しくなってしまう。

昨日の夜も、布団の中でそんなことを繰り返しそうになった。だから、去年行った見知らぬ国の、あのからりとした空気のことを思い出すようにした。

***

旅行が、苦手だ。

特に海外旅行。不安しかない。海外旅行が趣味です、という人に会うと年々尊敬の度合が高くなる。そのための準備から飛行機の手配、私にとっては「めんどくさい」以外の何物でもない。

そんな私、昨年、旦那さんに連れられて、リトアニアという国に行くことになった。彼は幸い海外旅行好きなので、彼に任せておけば準備等全部やってくれる。私は本当ついていくだけである。(愚鈍も愚鈍)

それでも、見知らぬ国は不安だ。というか、自分で調べたりしていないので、実感もわかないし、余計に不安になるという悪循環。

***

そんな、なしくずし的に行ったリトアニアは、とても良い国だった。

乾燥した空気。連なるオレンジ色の屋根。明るい陽射しに伸びる影。初めて見る食べ物。名前も知らない花。

目新しいものに囲まれると、自然と外へ外へと意識がいく。自分のことなんて、考えている暇もなく。目の前の景色が通り過ぎて、あっという間に日が落ちる。そして、あんなに遠く感じた異国の地が、目の前に淡々とあることを知る。日本もここも、案外、続いている。そう自然と理解していて、旅立つ前の不安も、知らない間に消えているから、不思議なもん。

リトアニア首都、ヴィルニュス

高台から臨んだリトアニアの首都、ヴィルニュスの旧市街の風景は、今までに見たことが無いくらい、きれいだった。

信じられないなあ。と思った。ここにいる自分も、目の前の景色も。この海を越えた遠くには、私が帰るべき日本があって、世界は続いているということも。

ヴィルニュスの教会

ビルニュスは歩けば教会に当たる。どの教会も、それぞれの特色のある装飾が施されていて、どれも息をのむような美しさ。

これは白い教会。私の一番のお気に入りだった。

ロシア正教のもの。うってかわって原色づかい。これはこれでキレイ。

ヴィルニュスの青空市場

あちらの人は、よく踊る。散策していたら、日曜だからか青空市場的なもの(生憎の雨だったけど)が通りで催されていて、広場では民族衣装を着た人たちが踊っていた。恥ずかしくて仲間には入れなかったけど。旅の恥は搔き捨てで、入ればよかったな。と後悔したり。

不思議な食べ物。多分ヌガー。

何売ってんのかよくわかんないおじさん。

大きなギターに興味しんしん。

リトアニアの食

食べ物も珍しい。キビナイ。ピロシキっぽいけど、生地は固くて食べ応えあり。

キビナイを狙いにきたねこ。

ピンク色スープはビーツの酢漬けのスープ。日本ではなじみがないけど、ビーツはあちらではメジャー級。俵状のものは名をツエペリナイという。じゃかいもをマッシュ状にした中にひき肉を入れて蒸したもの。意外と手間かかってますね。


リトアニアのおつまみ。黒パン揚げ。甘じょっぱくてうまい。甘じょっぱいのうまさは万国共通。

ウジュピス共和国

ウジュピス共和国入口。ウジュピス共和国ってなんだ?と興味持たれた方はググってみてください。(よくわかってない)


橋にかかるブランコ。映え。

ウジュピス共和国の憲法が各国の言葉で掲げられている。日本語ももちろんありました。

現代アートのような街並み。現代アートすきなので、嬉しい。

おまけ


千畝さん記念公園。ピクニック中の現地っこに「ハロー!」って言われて照れ。

その他、KGB博物館にも行ったのですが、写真がない。

帰国。

フィンランドの空港のムーミンかふぇ。かわいい。ただしフィンランドに入ると物価が跳ね上がります。


***

勢いで振り返った。

外に出れない今、リトアニアにいたことが夢のよう。生来のインドアな私は、うちにいるのも全然嫌いじゃない。むしろ、映画とかドラマとか、暇つぶしの方法はたくさん知っている。けれど、今は懐かしい。目に入るものがすべて初めてで、自分がここ(リトアニア)にいるという今だけで満足だった。あの感覚。

このなんてことない旅行記が、このご時世の、ちょっとでも外に出たい人のガス抜きになれたら本望。はやく、自由に飛び回りたいね。


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