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HOTEL MIRAGE
灼熱 ビル群 人混みの中
名前も知らぬ人を待つ
5分遅れて来たその人は
写真とは少し違う
形だけの挨拶済ませ
適当に街をゆらゆら
大型ビジョンが言うことには
今年一の熱帯夜
うだるような暑さにヤラれ
僕らは壊れてしまった
逃げ込んだネオンの街角には
妖しく浮かぶミラージュ
火照る身体を切り裂いて
僕らは闇に溶け出した
夜が明け目覚めたその時には
消えてしまった蜃気楼
君の笑顔は白い消しゴム (毎週ショートショート)
彼が居なくなってからもう一年が経つ。
私はふと、あの日以来開かずの間になっていた彼の部屋に足を踏み入れてみることにした。
うっすらと埃が積もった壁の本棚には、彼の好きだった本がぎっしりと並んでいる。
その中の一冊を手に取りパラパラとめくってみると、彼の筆跡で書かれた一枚の便箋が挟まっているのを見つけた。
文房具が好きな彼らしい詩だった。
読み終えた私はひとり、彼の部屋の中で無理に笑顔を作って
HIGH VOLTAGE GIRL
眠い目こすった月曜の朝
転校してきたあの娘は
電圧かなり高め
ショートの黒髪やたらよく似合う
ひと目見ただけでもう僕は
ショートしてしまいそう
君は HIGH VOLTAGE GIRL
痺れるその瞳で
僕のこの胸が感電しそうだ!
教科書に載ってないこの恋の法則
二人なら解き明かせそうさ
愛=君x僕
都会の街から越してきたらしい
大人びたその雰囲気は
周りと少し違う
グラウンド歩けば稲妻が
君に贈るランキング 【毎週ショートショートnote】
ユカは今朝も情報番組を観ていた。
この番組の占いコーナーはよく当たるらしい。
『あなたに贈る星座ランキング!
今日の最下位はヌラポイ座のあなた!
とんでもなく良くないことが起きそう!
ラッキーアイテムはチョコレートです!』
ヌラ?聞き間違いかな?それより急がなきゃ。
駅へ向かう途中ユカは自転車に轢かれそうになったり、カラスに追いかけられたりと散々な目にあった。
おまけに乗った電車もトラブルでし