コンビニガール

満員電車抜け出して
いつものコンビニ飛び込んで
「いらっしゃいませ」と君が言う
その青と白の縦縞が
妙に似合っている

名前も知らない君を
デートに連れ出す術を
かれこれずっと探してるけど
臆病で弱虫なこの僕は
何にもできない

でも思い切って君に
手紙をしたためよう
この熱い想い
どうにか伝えたい

『拝啓、名も知らぬ君へ
仕事には慣れたかな？
2ヶ月前からほとんど毎日
近くで見てました

僕の大好きなタバコを
覚えてくれていて嬉しいな
だから今度は君の好きなもの
僕にだけ教えて』

退屈な職場飛び出して
またいつものコンビニ入って
「温めますか？」と君が言うけど
僕の心はもうすでに
アツアツに燃えている

「そうそう最近話題の
駅前にできたばっかの
喫茶店でコーヒーでもどう？」なんて
自然に言えたならこの僕も
少しは変わるかな？

でもそんなこと僕には
絶対無理だから
握りしめた手紙
今日こそ渡すから

『拝啓、大好きな君へ
彼氏とかいるのかな？
いないのならば例えばそうだな
僕なんかどうだい？

お釣りを受け取るその時に
手と手が触れるから
僕はキャッシュレスにはなれないよ
君のぬくもりプライスレス』

手紙を渡した次の
週から何故だか君は
突然姿をくらましたらしい
照れ屋さんだな困ったな
今度探しに行くからね
君を見つけに行くからね