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読みがえり

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読んだ本のレビュー(書評)をまとめています。雑多な書棚ですが、興味があればどうぞ!※注意🚨紹介している本を一度読んでから開くのをオススメします。限りなくネタバレに近いので笑笑
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#政治

読書:『日本共産党』筆坂秀世

読書:『日本共産党』筆坂秀世

①紹介

元日本共産党議員の筆坂秀世氏による『日本共産党』(新潮新書、2006年)を紹介します。在籍時は事実上の「ナンバー4」であった著者が離党後に振り返る革命政党の表と裏。本書は2006年時点の情報ですので、最新の党の動向を探るのには適していません。あくまで「党史」として読むことをおすすめします。


②考察

● 「理想はともかくとして、日本共産党が現実に目指しているのは『資本主義の枠内で可

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読書:『佐藤優の地政学入門』佐藤優

読書:『佐藤優の地政学入門』佐藤優

①紹介

元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏による『働く君に伝えたい「本物の教養」佐藤優の地政学入門』(Gakken、2022年)を紹介します。なぜウクライナやイスラエルは戦火に巻き込まれるのか?米中対立の背景には何があるのか?答えは地理にありました。本書は地政学に基づき、変化の絶えない国際情勢を読み解く一助となるでしょう。


②考察

● 「対象とする国のイデオロギーは変わっても、その地理的

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読書:『マッキンダーの地政学』H.J.マッキンダー

読書:『マッキンダーの地政学』H.J.マッキンダー

①紹介

イギリスの地理学者ハルフォード・J・マッキンダーによる『マッキンダーの地政学-デモクラシーの理想と現実』(曽村保信訳、原書房、2008年)を紹介します。第一次世界大戦が終わった年に発行され、今や地政学の古典として名高い本書。およそ100年前の教訓は、現在、世界各地で起きている紛争を読み解くうえで欠かせないでしょう。

②考察

● 「近代戦略的な意味におけるハートランドとは、要するに必要

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書評:『22世紀の民主主義』成田悠輔

書評:『22世紀の民主主義』成田悠輔

①紹介

イェール大学教授の成田悠輔氏による『22世紀の民主主義-選挙はアルゴリズムになり、政治家はネコになる』(SB新書、2022年)を紹介します。「革命か、ラテか?」と氏が警告するほどに、昨今の民主主義は風前の灯。それに代わる大胆で新たな構想は処方箋になり得るのか。考える余地があります。


②考察

● 「若者が選挙に行って『政治参加』したくらいでは何も変わらない」
➢ 「若者」の総数は日

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書評:『職業としての政治』M.ヴェーバー

書評:『職業としての政治』M.ヴェーバー

①紹介

社会学者マックス・ヴェーバーによる『職業としての政治』(脇圭平訳、岩波文庫、1980年)を紹介します。第一次世界大戦に敗れたドイツで、ロマンティシズムに溺れる熱狂的な学生たちに向けてウェーバーが行なった講演。そこで語られたことは、彼らの酔いを覚ますのに十分な効果を発揮したと言えるでしょう。

②考察

・「政治にとって決定的な手段は暴力である」
→ヴェーバーの説に従えば、国家が政治を運営

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書評:『中東問題再考』飯山陽

書評:『中東問題再考』飯山陽

①紹介

前回紹介した『イスラム教再考』の著者でイスラム学者・飯山陽氏による『中東問題再考』(扶桑社新書、2022年)の書評です。アフガニスタンやイラン、トルコ、イスラエル、そしてパレスチナ。これらの国々が抱える問題はなぜ非常に複雑なのか?日本のメディアと「専門家」の言説に歪められた中東の現実を直に見つめ、自らを先入観から解き放つ一冊です。

②考察

・「日本がタリバン支援をするということは、日

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