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週末、バスが走らない⁈ これは社会全体の問題だ。

4月から東京で大学生活をスタートさせる長男の新生活の諸々で、金曜の夜に東京に行って、土曜の夕方帰ってきました。電車で行ったので、いわき駅から自宅まではバスで帰ろうと思い、最近地元バス会社が導入したバスロケーションサービスアプリを使って、バスの時刻を調べようと検索しても「該当する路線が存在しません」と表示されます。

普段からバスを利用しているので、「いやいや、路線は存在してるし」と突っ込みながら、何度検索しても同じエラーが出るばかり。そうこうしているうちに、いわき駅に着いたので、直接バス停に行きました、、、

なんと、自宅までの路線、土日祝日だけバスの運行がなくなっていたんです!確かにこの4月から、私が暮らすいわきでも、バスの運転手さん不足による路線の廃止や減便が起きていることは耳にしていました。が、それは、いわきの中でもどちらかというと中山間地域での話なのかと勝手に思っていたんです。

私が暮らす地域は、いわき駅から5〜6kmの距離ですし、町内会も2,000世帯・3,000人もの人を擁するエリアで、毎朝、多くの中高生でバスはパンパンという状況です。このエリアのバスが、週末限定とはいえ、減便ではなく、完全に運行がなくなっているというのはにわかには信じられませんでした。



バスだけでなく、タクシーも

私はお酒が好きで、よく飲みに行きます。そして、だいたいタクシーで帰ります。先日も軽く9時ぐらいまで飲んで、いつものようにタクシーで帰りました。自宅までの道すがらにあるコンビニに寄ってもらいたく、運転手さんに「すいません、この先にあるコンビニに寄ってもらえませんか」と言おうとしたところ、「すいません」の段階で、タクシーは道路の真ん中で急ブレーキ!

なにかあったのかと思ったら、運転手の方、大変ご高齢で、私の「すいません」に驚き、急ブレーキをされてしまったようです。幸い、後続車もなく、大事には至りませんでしたが、、、。


選択肢がないということ

(週末に)「バス」という移動手段の選択肢がないこと。私の暮らし地域は週末だけですが、地域によっては、平日も週末も、バスという移動手段がない地域もありますし、そのエリアはどんどん拡がっていっています。

学生や子どもたちは、週末にどうやって街中に遊びに行けるんだろう。中高生の土日の部活とかどうするんだろう?


ご高齢の方の外に出るチャンスも

高齢の方の大きな健康問題の一つに「フレイル」というものがあります。

「フレイル」は、加齢に伴い生じる身体的、心理的、社会的機能の低下を指す用語で、特に高齢者において顕著になります。この状態は、病気ではないものの、健康状態の脆弱性を示し、小さな健康問題でも大きな影響を及ぼす可能性があります。フレイルは、筋力の低下、疲労感、活動量の減少、動作速度の鈍化、体重の減少など、複数の症状で表れることが多いです。フレイルの状態にある高齢者は、転倒や寝たきり、病気のリスクが高まるとともに、日常生活の質が低下する恐れがあります。早期に対応することで、フレイルの進行を遅らせたり、改善することが可能です。

社会的機能は、家に閉じこもりがちとなって他者との交流の機会が減少することなどで低下していきます。

ChatGPTより


「"きょういく"と"きょうよう"のある街はいい街だ」というフレーズを耳にしたことはありますか?
「"きょういく"とは、今日行くところがあること」
「"きょうよう"とは、今日、用事があること」です。

一例として、イエール大学の研究によると、本を読む人は読まない人に比べて約2年長生きすることが明らかに。週に3.5時間以上本を読む人は、読まない人より12年後の死亡率が23%低いと報告されていて、読書が健康寿命の延伸に貢献する可能性を示唆しているみたいです。

同じく、山梨県では健康寿命が全国トップクラスであり、その一因として、図書館の数が全国で最も多いこと、そして住民の読書習慣が挙げられているみたいです。

70歳以上になれば、免許更新の際に、座学講義、運転適性検査、実車による指導で構成される2時間に及ぶ「高齢者講習」を受講する必要があります。75歳以上になると、高齢者講習に加えて、記憶力や判断力を測定する「認知機能検査」を受検する必要があり、自分で運転するという選択肢も年齢とともに狭まっていきます。

外出する、例えば図書館に行って、本を借りて読む。それが「フレイル」を予防し、健康寿命を伸ばすことにつながるかもしれない。高齢の方がより長く健康で自立的であることは、ご本人はもちろん、ご家族も、人手不足で苦しい医療介護福祉の領域にとっても、介護離職を防ぐという意味合いでも、また社会保障費という観点でも、あらゆる人々にとってプラスで、幸せなことです。

全員の、そして社会全体のハッピーのためにも、どんどん外出してもらおう。でも、その「足」がない。正確には、「足の選択肢がない」。

バスがない。
運転免許の更新も難しい。
タクシーも人手不足や高齢化に苛まれている。

よりよく暮らすための選択肢どころか、暮らしそのものの選択肢が我々の予想をはるかに超えたスピードで忍び寄ってきている感じがします。


あらゆる領域でそれは起きている

このスライドは、2022年度の福島県の分野・領域ごとの求人・求職の現状について表したものです。当然、社会はもっと多くの分野・領域の仕事で成り立っていますが、このスライド、別の仕事で使ったものの使い回しなので、ご容赦ください。(交通の話してるんだから、面倒がらずに交通・運輸系の分野のデータ入れろよ、俺w)

一番左端の「医療介護福祉」の青いバーが突き抜けているのが目につきます。2022年度の福島県では、医療介護福祉の領域において、81,800件の求人(働いてくれる人募集しまーす)があったのに対し、医療介護福祉で働こうと思った求職が約30,000件。約5万件の需給ギャップがあったということを表しています。やはり、医療介護福祉は、かなり人手不足の状況ですね。

でも、母数としてのバーは、医療介護福祉ほど大きいものはないにせよ、求職/求人の倍率は、医療介護福祉の”2.8倍”より、土木関係はより厳しく"3.8倍"。飲食サービスも"2.7倍"といった状況で、こと倍率ベースで見れば、医療介護福祉だけが大きく人手不足なのではなく、土木も飲食も、それ以外の分野も、今とこれからの日本はあらゆる分野・局面で超人手不足です。

今回の私の週末バスショックが人手不足から起きているのだとすると、人手不足はあらゆる分野・領域で既に起きていて、今後ますます深刻になっていくので、あらゆる領域で週末バスショック的なことが起きていきますし、そのショックの頻度と大きさは、人手不足の深刻さとともに増大していくはずです。

家から出て、図書館に本を借りに行って、本を読めば読むほど、健康寿命が伸び、社会全体がハッピーになるかもしれないのに、図書館に行く「足」がない。

職場のみんなと、年に何回かは、職場を離れて美味しい食事を一緒に食べることが、心身の健康のためにも、職場の人間関係にも大きくプラスになると仮定しましょう。

一人ひとりのためにも、また職場の人間関係のためにもプラス、それが業績やパフォーマンスにもプラスになるかもしれない。誰にとってもプラスなことなのに、外食するお店がほとんどないというようなことも、地域や未来においては起きるかもしれません。

ヒト・モノ・カネのリソースが少子高齢化&人口減少でますます限られていく中、これまで通りではなく、少しでもよりよい取り組みを、予防的に展開していく必要があります。でも、もしかすると、その予防的な取り組みやよりよいチャレンジを行う機会や選択肢(どんどん図書館に行きたいけどバスがないとか、たまには職場のみんなで外食したいけど店がないなど)ごと、どんどん失われていってしまっているのだとすると、私の想像と予想を超えて、はるかに厳しい未来が、はるかに速いスピードで忍び寄ってくることになってしまいます。


先を見ながら、「今」をどうする?

さぁ、どうしましょう。
ちょっとズレますけど、サンボマスターが歌っています「悲しみで花が咲くものか」と。

だから、悲観だけの話で終わらせたくないです。あと、↓この動画、神動画なので是非ご覧ください。何回でも。


交通の問題であれば、少し長めに見れば、いずれ自動運転が人手不足も含め、いろいろ解決してくれるんだろうと思います。バスも自動運転になれば、少なくとも人手不足は関係しなくなりますし、今のバスのような停留所ではなく、配車アプリでオーダーすれば、Uberの乗り合いバージョンみたいな形でのバスになるかもしれません。自動運転&バスとタクシーの中間のような感じ。

また、既にファミレスなどで見かけているホールの配膳ロボットだけでなく、調理も、掃除も、介護のヘルパーさんがやるような仕事の多くも将来的にはロボットがそれぞれの住まいや状況に合わせて手伝ってくれることになると思います。

↓こちらの衝撃的な動画をご覧ください。


少し先がOKでも、今も大事

「いずれ、テクノロジーがあらゆる領域の人手不足を解消し、よりよい暮らしの選択肢を提供してくれるなら、ま、いっか」と思いがちかもしれませんが、どうなんでしょう。

「5〜10年、ちょっと大変かもしれないけど、テクノロジーがどんどん進化して、そのうち、いい感じになるんだったら、いいや。ちょっと我慢するわ。」というのは、当面の苦しいフェーズを待ったその先まで(人生の)時間がある人ですよね。

「未来への時間があって、お金があるから自分は大丈夫」でいいんだろうか?医療費をはじめとする社会保障費って、みんなで負担しあっているじゃないですか。自分が病院にかかっていなくても、どこかの誰かの医療費もみんなで負担し支え合っていますし、社会保障費に限らず、税金ってそんな感じですよね。

だから、誰かのペインや選択肢の乏しさからの不健康やアンハッピーも、社会全体で見れば、みんなで負担しているとも言えるかもしれませんし、逆にいえば、みんなが今より少しでもハッピーで健康的であればあるほど、自分にとってもプラスになる社会なんだとも言えるのでは。

↓このyahoo知恵袋の神回答、めっちゃ好きなんですよ。


だから、将来的にはテクノロジーが抜本的に解決してくれるとしても、「今も」諦めてはいけないんじゃないでしょうか。いつかは私たちの暮らしにやってくるであろうテクノロジーも、今日明日には来ない。

だからこそ、今ニュースやSNSで取り沙汰されている「ライドシェア」のチャレンジも、他人事とは思わずにチェックしていこうと、バスのない、地元いわき駅の週末で雨に濡れながら思ったのでした。


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