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空地

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参加している同人誌「空地」に寄せている原稿です。
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#この経験に学べ

家の向こう側には果てしなく海が広がっている。

家の向こう側には果てしなく海が広がっている。

整備されていない浜辺のような気分だった。
誰もいない冬の海岸で、打ち上げられた砂礫と海藻に強い潮風が吹いていて、国道沿いのアパートのベランダの鉄棒が錆び付いている、そんな凡庸な景色が浮かんだ。
人気のない浜辺では端の方で雑草が茂っていて、防波堤や港には小汚い小舟が揺れている。
僕は生活の海についての取り留めもないイメージを思い返す。

部屋のカーテンを開き、窓を開ける。
向かいの家は広いが空き家で

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雨降りロマンスの準備

雨降りロマンスの準備

線状降水帯の豪雨が街灯で煙る、降り続ける雨の激しさが、水溜りのコンビニエンスの蛍光灯の反射を掻き消す、それらが強風で流されていく、僕の頼りない折り畳み傘がひっくり返る、僕は少し唖然として、濡れながらそれを直す。
台風と梅雨が重なった夜に、僕は、いつものように、くだらない放課後を過ごして、終電の丸の内線に乗って帰った。
家に着き、水没してくぐもった音のイヤホンを取って気づく、ゴーッ、鳴っている、屋根

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