2024.6.20 黒猫
部屋のカーテンの外の空が白み始める頃に、一晩居間で寂しがっていた家猫を一頻り撫で回し、それでも足らないようなので、抱き上げ、やはり苦手なようで猫は降りたがり、猫が飽きたのを見計らって、外に出た。
寝起きというものは時間の感覚が不確かなようで、煙草を吸いに外に出るともう朝焼けが始まっており、彼はもう長いこと眠れずに暮らしているので、その朝焼けには何も思わなかった。ただ、それは夕暮の赫ではない、というだけのことだった。
朝焼けの色を確かめるには家の裏が東であり、寝巻きのポケットを