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思い出を溢れるほどに
無機質な病室の壁に、思い出を色付けしてもらった。
春の海。
あの夏の日。
秋のフェス。
冬を待つ海の空。
吉太郎と過ごした日々。
ささやかな時間。
海の冷たさも、吉太郎の重みも、空の青さも、すぐにそこにあった笑顔の明るさも、溢れる愛も、もう戻らない。
そして、私だけがフレームから消えていなくなる。
それまでは、壁いっぱいに広がった溢れる思い出と愛を浴びていたい。
輝いていた日々の温もり
夏日
太陽と海とビールと転げ回りそうな笑顔
海が眩しすぎて、記憶が薄らぐ
思い出は僕を苦しめる
あの時に戻ろうと僕を苦しめる
戻れない日々を追って心をえぐられる
思い出はカケラとなって、肉体と共に散りゆく
もうすぐ消える
太陽が闇に隠れた間に、全て消える
穏やかな海に沈んでいく
誰にも気づかれずに
ささやかなメッセージを
感覚が薄れ、肉体が消え、ちりぢりになって、白い破片だけが残る。
僅かな生きた証。
赤い椿が降る、私が生まれた季節に、
どうか尋ねてきてほしい。
少しの曇り空と冷たい風と、
小さな心残りの間をぬって、あなたに会いたい。
私の姿は探せないけど、それでもあなたに会いたい。
出会ってくれた全ての人たちへ。
愛を込めて。
出会ってくれてありがとう!
会いに来てくれてありがとう🌺と伝えたい。