鈴木秀樹

東京学芸大学附属小金井小学校で、ICTを活用してインクルーシブ教育を実現することを目指…

鈴木秀樹

東京学芸大学附属小金井小学校で、ICTを活用してインクルーシブ教育を実現することを目指した「ICT×インクルーシブ教育」を進めています。

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  • 生成AI

    生成AI関連の記事をまとめました。

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    セミナー登壇等、仕事の記録と感じたことなど。

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    ICT×インクルーシブ教育のショートショートを書いています。

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    書籍『ICT×インクルーシブ教育』について書いたものをまとめました。

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プロフィール

東京学芸大学附属小金井小学校 教諭 慶應義塾大学 非常勤講師 ICTを活用してインクルーシブ教育を実現する「ICT×インクルーシブ教育」を進めています。それについて詳しくはこちらを。 30年以上前の大学院生時代、私がはまったのは I.イリイチでした。「脱学校の社会」「コンヴィヴィアリティのための道具」などを読み漁ったのを覚えています。あの頃、私は「イリイチが描く『自立協働的な学び』を実現するためにコンピュータは役に立つだろうか?」と考えていました。当時のコンピュータにはも

    • オンライン配信室からの挑戦

      小金井小にオンライン配信室なる部屋ができました。教室ひとつ分を改装して1/4が編集室、3/4がスタジオです。 なぜ、こんな部屋ができるに至ったか。それを書くだけで本一冊になりそうですが、まあ、それはともかくこんな部屋ができてしまったからにはコンテンツをジャンジャン作らないわけにはいきません。 その第一弾がこちらになります。 概要欄からコピペしますね。 副島先生が本校のYouTubeチャンネルに登場してくださるのは2回目なのですが、今回も素敵な大切なお話しをしてくださっ

      • EdTechZine vs こどもとIT

        2月3日の公開授業が2本の記事に! これはもう本当にありがたいことと言わざるを得ないのですが、2月3日(土)の公開授業をいくつかのメディアで記事にしていただきました。まあ、一応自分でも書いてはいますが…。 でも、これは何と言うか、速報的に書き散らしたような感じで、そんなにちゃんとしたレポートにはなっていないわけですよ。授業者が自分で書いているわけですし。 その点、EdTechZineとこどもとITが掲載してくださった記事は、どちらもかなり力の入ったもので、かなり感動しま

        • Unlock Learning

          「ICT×インクルーシブ教育」を掲げて様々な実践・研究に取り組み始めてから6年になります。学びに困難を抱えている子どももICTを活用して環境を整えれば学びやすさを手にすることができるのではないか。その試みは全体に波及して良い影響を与えるのではないか。そんな想いを実現するべく歩んできた道のりは、長い旅のようです。 近代の学校教育は、一律のカリキュラムがすべての子どもに等しく適用できるという考えに基づいて行われてきました。しかし、この考え方は多様な才能や興味、学習スタイルを持つ

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          成果を報告する

          何らかのプロジェクトを進める時、「成果をどう出すか」というのはもちろん考えるわけですが、「成果をどう伝えるか」ということもかなり考えます。 我々が取り組むプロジェクトは教育に関わるものです。それは「私達、凄いでしょ」と自慢して終わったら意味がありません。公立小学校に広がってこそ意味があるわけです。 とは言え、わざわざ多額の事業費をいただいて進めるわけですから、最先端のことをやらなければ意味がない。でも、あまりに最先端過ぎて公立小学校から「全然、自分たちと関係ないじゃん」と

          成果を報告する

          脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(後編)

          前回の授業は、子どもたちがこのプロンプトを考えるところまででした。 1週間後、これを元にできあがった短編小説を携えて和田さんが再び教室に来てくれました。 まずは、「AIが書いたのか、人が書いたのか」は明かさずに、この短編小説を読みます。 読み終わった途端、子どもたちからは「AIでしょ?」「これAIっぽいよね」という声が聞かれたのですが、一応、改めて聞いてみます。すると。 「登場人物の言葉が丁寧過ぎたり…固い!」 「笑いを取るようなところがなかった」 「除草剤を向けられた

          脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(後編)

          脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(前編)

          ちょっと前に書いた「画家とAIの絵から子どもは何を感じるか」の第二弾。今度はプロの脚本家を教室に呼んで、同じプロンプトで物語を書いてもらおうということを試みました。 来てくれたのは和田清人さん。公開されたばかりの映画『夜明けのすべて』の脚本を三宅唱監督と共同で担当している人です。 これ、すごくいい映画だったんですよ。という私の感想を読みたい奇特な方はこちらを。 子どもたちに『夜明けのすべて』を見せられればよかったのですが、それはさすがに無理なので、和田さんがこれまでに担

          脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(前編)

          映画『夜明けのすべて』

          僕は今、ストーリーを紹介することなしに「なぜ、その映画を見るべきか」を訴える文章を書くという困難なことに(生成AIにも頼らないで)取り組もうとしている。そんなことしなくたって誰も困らないのだけれど、でも、あの映画を見ることで心の向きが変わる人は必ずいるだろうから、僕も微力ながら宣伝に協力したい。 「夜明けのすべて」は地味な映画だ。激しいアクションがあるわけでも、燃え盛るラブシーンがあるわけでも、ハラハラドキドキさせる展開があるわけでもない。主演の2人はそれなりにネームバリュ

          映画『夜明けのすべて』

          生成AIのHidden Curriculum

          今度珠美先生にお声がけいただいて、JDiCE第14回オンラインゼミに出させていただきました。テーマは「AIが問い直す教育」。我ながら大きく出たものです。その時のことで、引っかかっていたことがあるので書いてみたいと思います。 坂本先生の質問 私が20分くらい話した後で、JDiCEの先生方とのディスカッションという流れでしたが、よせばいいのに最初の20分でこんな写真まで出してイリイチのOpportunity WEBやLearning WEBのことを話題にしたんですよね。それに

          生成AIのHidden Curriculum

          思考、教科の目的、生成AI

          2月3日(土)にKOGANEI授業セミナーで公開授業を行いました。4年生の国語で「ウナギのなぞを追って」。どんな授業だったか書いておきます。 プロンプトは何だ? 「ウナギのなぞを追って」は、AIに描かせたタイトル画のような冒険活劇ではありません。ウナギがどこで卵を生むのかという謎を長年に渡って追い求めた研究者の苦労と喜びを織り交ぜながら研究の歩みを描いた説明文です。 まずは「要約」の復習。既習の教材でどんな学習をしたかふり返りながら、要約するときは「中心となる語や文を使

          思考、教科の目的、生成AI

          画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(後編)

          生成AI時代、人間の価値はどこにあるのか。人間がすべきことは、目指すべきことは何か。それを考えるのは、これから生成AIと共に人生を歩む子どもたちであるべきであろうと考えて行った授業実践について書く後編です。 前編(1回目の授業)は、プロの画家と生成AIに同じプロンプトを課したところで終わりました。後編では2回目の授業がどうだったかについて書きましょう。 前回の復習 まずは、昨年12月の授業の復習から。長田さんにどんな絵を見せてもらったっけ? それで、どんなプロンプトで絵

          画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(後編)

          画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(前編)

          生成AI時代、人間の価値はどこにあるのか。人間がすべきことは、目指すべきことは何か。それを考えるのは、これから生成AIと共に人生を歩む子どもたちであるべきであろうと考えて行った授業実践について書きます。 プロの画家と生成AIに同じプロンプトで絵を描かせたら? それを見て子どもたちはどう思ったか? そこから我々が考えるべきことは何か? 長田さん登場 今回の実践、2回の授業で構成したのですが、1回目の授業は年末の12月20日に行いました。このときのテーマは、とにかくプロの画

          画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(前編)

          今年の言葉

          「自分史上、最高に忙しかった年」を毎年、更新しているような気がしますが、それにしても今年は別格でした。そんな一年の忘れ難い言葉を。 「この先生がすごい素敵な方」NHKニュースなるほどゼミで私の授業と児童へのインタビューがVTRで流れた後、それを見た横山由依さんが発した言葉。この場面、教室で3回、見返しましたよ。「見ろ!ここがこの番組で一番大切なところだ!」って叫んで。児童からは大ブーイングでしたが。 ちなみにこの発言が出る直前の児童へのインタビューでは「人間の先生とAIの

          今年の言葉

          書評「学校の生成AI実践ガイド」

          先ごろ、出版された「学校の生成AI実践ガイド 先生も子どもたちも創造的に学ぶために」(特定非営利法人みんなのコード編著)について書きます。 まず、この本を買うべきか否かを書いておきましょう。学校における生成AIの活用について真剣に考えるならば買うべきです。ただし、それは「この本がバイブルになるから」、つまり正解を教えてくれるからという意味ではありません。「この本から議論を始められるから」です。 この本、章の構成がいいです。第1章が「『生成AI』って何?」、第2章が「『生成

          書評「学校の生成AI実践ガイド」

          ATAC 2023

          12月はここまで尋常でない忙しさだったので、大切なことがたくさんあったのにふり返る間がありませんでした。ちょっと時間は経ってしまいましたが、いくつか書いておきたいことがあります。まずはATAC2023について。 2019年以来の対面開催となった今年のATAC。相変わらず盛りだくさんのプログラムでしたが、私は3セッション、登壇させていただきました。 最初は「保健室で学びを探す子どもたちー2.5プレイス保健室の試みー」でした。これは登壇と言ってもほぼほぼ佐藤牧子さんが話してく

          「AIを理解し、AIを使いこなす教育とは?? ~これまでの教育は消えていくのか?~」

          巖淵 守先生(早稲田大)、中邑賢龍先生(東大先端研)との「AIと教育」テーマのセッションに登壇します。 1日目は巖淵先生と中邑先生のセッション。わかったようでいてよくわかっていない「AIとは?」について学びます。 2日目は私と中邑先生のセッションで、「AIで教育はどう変わる?どう変える?」を考えます。AIの話、あちらこちらでしていますが、未発表のAI活用実践(昨日、授業したばかり)も発表予定です。 12月11日(月)、12日(火)の2日連続開催。いずれも19:30-21

          「AIを理解し、AIを使いこなす教育とは?? ~これまでの教育は消えていくのか?~」