マガジンのカバー画像

生成AI

27
生成AI関連の記事をまとめました。
運営しているクリエイター

記事一覧

固定された記事

生成AIガイドラインど真ん中授業!!

あまりに忙しすぎてこのところ投稿できていませんでした。今も相変わらず忙しいのですが、自分史上ベスト3に入るかなりいい授業をできた気がするので、気がしているうちに書いておくことにします。 国語で「お礼の気持ちを伝えよう」という単元があります。お世話になった方に手紙を書くことがメインの活動で、型にそうことであらたまった気持ちを伝えることができる、ということを実践的に学ぶ単元です。 1時間目は、教科書に載っている例文の分析をします。学習者用デジタル教科書に「ここが季節の言葉、こ

AIを授業で活用するための3つのステップ

GIGAGIGA 2024終了しましたので、登壇させていただいた際の内容を(有料イベントだったので)サラッと。 私のお題はサムネの通りで「AIを授業で活用するための3つのステップ」でした。今回、かなり固い話にふってしまったのですが、その3つというのがこれです。 順にふり返っていきましょう。 ①教師としての基礎的な指導力の確立 AIの登場によって「いつ、どこで、誰が、誰から、何を、どうやって」学ぶかが全てガチッと決められている学校は、その多くの要素が揺さぶられつつありま

脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(後編)

前回の授業は、子どもたちがこのプロンプトを考えるところまででした。 1週間後、これを元にできあがった短編小説を携えて和田さんが再び教室に来てくれました。 まずは、「AIが書いたのか、人が書いたのか」は明かさずに、この短編小説を読みます。 読み終わった途端、子どもたちからは「AIでしょ?」「これAIっぽいよね」という声が聞かれたのですが、一応、改めて聞いてみます。すると。 「登場人物の言葉が丁寧過ぎたり…固い!」 「笑いを取るようなところがなかった」 「除草剤を向けられた

脚本家とAIの物語から子どもは何を感じるか(前編)

ちょっと前に書いた「画家とAIの絵から子どもは何を感じるか」の第二弾。今度はプロの脚本家を教室に呼んで、同じプロンプトで物語を書いてもらおうということを試みました。 来てくれたのは和田清人さん。公開されたばかりの映画『夜明けのすべて』の脚本を三宅唱監督と共同で担当している人です。 これ、すごくいい映画だったんですよ。という私の感想を読みたい奇特な方はこちらを。 子どもたちに『夜明けのすべて』を見せられればよかったのですが、それはさすがに無理なので、和田さんがこれまでに担

画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(後編)

生成AI時代、人間の価値はどこにあるのか。人間がすべきことは、目指すべきことは何か。それを考えるのは、これから生成AIと共に人生を歩む子どもたちであるべきであろうと考えて行った授業実践について書く後編です。 前編(1回目の授業)は、プロの画家と生成AIに同じプロンプトを課したところで終わりました。後編では2回目の授業がどうだったかについて書きましょう。 前回の復習 まずは、昨年12月の授業の復習から。長田さんにどんな絵を見せてもらったっけ? それで、どんなプロンプトで絵

画家とAIの絵から子どもは何を感じるか(前編)

生成AI時代、人間の価値はどこにあるのか。人間がすべきことは、目指すべきことは何か。それを考えるのは、これから生成AIと共に人生を歩む子どもたちであるべきであろうと考えて行った授業実践について書きます。 プロの画家と生成AIに同じプロンプトで絵を描かせたら? それを見て子どもたちはどう思ったか? そこから我々が考えるべきことは何か? 長田さん登場 今回の実践、2回の授業で構成したのですが、1回目の授業は年末の12月20日に行いました。このときのテーマは、とにかくプロの画

書評「学校の生成AI実践ガイド」

先ごろ、出版された「学校の生成AI実践ガイド 先生も子どもたちも創造的に学ぶために」(特定非営利法人みんなのコード編著)について書きます。 まず、この本を買うべきか否かを書いておきましょう。学校における生成AIの活用について真剣に考えるならば買うべきです。ただし、それは「この本がバイブルになるから」、つまり正解を教えてくれるからという意味ではありません。「この本から議論を始められるから」です。 この本、章の構成がいいです。第1章が「『生成AI』って何?」、第2章が「『生成

「13歳未満は不可」は適切か

ご存知の通り、ChatGPTは利用規約上、13歳未満は使うことができません。ですから小学生にChatGPTを使わせることはできません。教師が操作しているのを見せるだけになります。このことについて改めて考えてみたいと思います。 私は最初、この利用規約を「不自由だなぁ」と思っていました。いいじゃん、児童に触らせても。保護者の了解は得るにしても、全面的にだめじゃなくてもいいのに。児童が今後の人生をAIと生きていくのは間違いないのだから、今のうちから触っておいた方がいいじゃない。そ

授業におけるスパイスとしてのAI

サンボマスターがTHE FIRST TAKEに出た時、ギターソロの後で「やべぇ、やべぇ、俺、ファーストテイクでも、めちゃめちゃギターうまいんですけど!」と叫ぶシーンがあります。 それのマネをして「やべぇ、やべぇ、俺、メディア来てても、めちゃめちゃ授業うまいんですけど!」と叫びたくなるような授業ができました。いや、できた気がしているだけかもしれませんが、一先ず、どんな授業だったか書いておきましょう。 つかみもAIで教科は小学校4年生の社会。4年生の社会は地域の副読本を使って

「教育におけるAI活用」に対する基本的な考え(2023年11月版)

某メディアから取材を受けることになりました。事前に記者さんからの質問に答えるメールを書いていたら、それなりにガッツリしたものが書けてしまったので、少し編集してこちらにも載せておきます。期せずして、生成AIの教育利用に対する基本的な考えを書くことになりましたので。 ガイドラインを意識するか授業で生成AIを活用するとき、正直なところ、あのガイドラインはそこまで意識していません。 と言うのも、あのガイドラインは「暫定的な」「機動的に改訂」として出されましたが、7月以後そのまま放

スピードアップと深化をAIで

紹介されました先日、東京大学 エドテック連携研究機構 生成系AIと教育環境研究プロジェクト(GENEE)の主催で開催された「生成AI時代の情報教育」というシンポジウムで、堀田龍也先生が私の実践を紹介してくださいました。 ちなみに、この実践に関しての詳細はこちら。 研究者にとって論文を引用されることが実績であるように、実践者にとっては自分の実践がこうして引用されることは大きなことです。ますます頑張らないとな、と思います。 ということで、このところ集中的に取り組んでいるの

生成AI活用授業オンラインセミナー(アーカイブ)のご紹介

8月22日に東京学芸大学附属小金井小学校ICT部会主催の「2学期対応! 生成AI活用授業オンラインセミナー」を開催しました。 アーカイブを公開しましたので、その内容を紹介します。 最初は小池翔太から「生成AI授業活用について」。小池は文科省の「初等中等教育段階における 生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」の「ヒアリングを実施した有識者」の一人です。基本的なところをガチッと押さえてもらいました。 次は私から「生成AI活用授業実践報告」。1学期に行った実践と、そこか

厄介なAI

東京大学大学院情報学環の山内祐平先生の記事が話題です。 山内先生がおっしゃっていることには納得しかないのですが、改めて「厄介だよなぁ」と思ったのがこの部分。 そう、AIは自分の感覚や自分の経験から言葉を生み出すことはできません。ただ、厄介なのは「自分の感覚や自分の経験から言葉を生み出す」ように振る舞うことはできてしまうのですよね。 例えば、Bingに絵を描かせた場合。 こんな風に絵を描いてくれるわけですが、その後、質問を繰り返したらこんなことになりました。 「苦労は

1学期にTV取材4件のカオス

そうなんです。1学期の間にテレビ局の取材が4件ありました。こんなこと、もう二度と無いのではないかと思うので書いておきます。 1)NHK「ニュースなるほどゼミ」 最初の取材依頼は、NHKの「ニュースなるほどゼミ」という番組からでした。この番組はNHKの解説委員の方々がその時々のニュースについて掘り下げて紹介するというものなのですが、生成AIをテーマとした回の時に、教育担当解説委員の木村さんから取材依頼を受けたのです。 「文部科学省が生成AIについてのガイドラインを公表する