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心象空間 エッセイ・小説

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エッセイは日常の出来事に触れ感じたことを心のままに、書き連ねています。 小説は頭の中のモヤモヤを言葉にする作業です。
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短編小説「ホログラムの彼女」 第2話(全2話完結)

短編小説「ホログラムの彼女」 第2話(全2話完結)

第1話はこちら↓

その日は、ぐずついた天気で今にも雨が降りそうだった。湿った風が肌をなでる。また大雨になるかな……おれは玄関で、大きめの黒い傘を手に取った。風が強くなっても、これなら大丈夫だろう。

学校につくと、すでにクラスメートのほとんどがきている。

「おはよう。今きたか」

山野タクが話しかけてきた。

「雨が振り出すまえに、間に合ってよかったな。まぁ、おれもだけど」

タクはおれより数

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短編小説「ホログラムの彼女」 第1話(全2話完結)

短編小説「ホログラムの彼女」 第1話(全2話完結)

〈あらすじ〉
近藤カイは中学3年生。初夏のある大雨の日、クラスメートの田中ユイから傘を借りる。急速に接近していく二人。カイの幼馴染であるクラスメートの山野タクもまた、ユイのことが気になっていた。
そんな3人は、タクの叔父から手に入れた、世の中にまだ知られていないAIアプリ”Blue”、その”Blue”から誕生したコピー人間の存在に運命を大きく揺さぶられていく。奇跡のAIと出会い、彼らを待ち受けてい

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ショートショート「完璧な恋愛」

ショートショート「完璧な恋愛」

その青年は、パソコンのまえに姿勢正しくすわり、モニター画面を見つめていた。画面には色白で髪の長い女性が映し出されている。

女性はほほえむと自己紹介をはじめ、青年の返答を待つ。青年はしどろもどろながらなんとか自己紹介を終えた。それから、青年と女性は互いに質問を繰り返した。

会話の途中、モニター全体がとつぜん灰色になった。
青年が一般的ではない質問をし、女性の表情がくもったからだ。青年はあわてて質

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