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「登場人物表」には何を書くべきか

割引あり

登場人物表に「キャラ」を書くのは間違い?

昔、大学で映像制作の授業を受け持っていた頃、学生さんが書いてきた(実写)短編映画のシナリオを読んで、ちょっとびっくりしたことがあります。登場人物表の書き方が私の常識とは違っていたからです。

登場人物表とは、脚本に登場する人物を書き出しそれぞれに簡潔な紹介文を添えたものです。学生さんが書いた紹介文には登場人物それぞれの「キャラ」が書かれていました。

登場人物表には年齢とか職業とか家族関係などを書くもの、というのが私の常識でした。そこに「キャラ」、つまり「明るい/暗い」「マジメ/おちゃらけ」といった性格やタイプを書くというのは、私にとって想定外のことでした。

どうして登場人物表に「キャラ」を書いたのか学生さんに尋ねたところ、以前受けたシナリオの授業でそう習ったからだといいます。その授業は学生時代から小劇場演劇をやっている、外国の文学だったか哲学だったかが専門の先生が担当しているものでした。

もう十年以上前のことですが、ふとこのエピソードを思い出して、果たして自分の常識が本当の常識なのか気になり、ちょっとリサーチしてみました。

映画やドラマの登場人物表

私の常識は私が若い頃参考にした脚本によって形作られたものですから、古くなってしまっている恐れがあります。そこで現在ネットで公開されている映画やドラマの脚本を探して、登場人物表を確認してみました。

上記サイトで最新の受賞作品を読むことができますが、登場人物表に「キャラ」を書いているシナリオはひとつもありませんでした。どのシナリオでも、登場人物の紹介として添えられているのは履歴書的な基本データ、すなわち「年齢/職業/ときに続柄」でした。

戯曲の登場人物表

演劇の脚本である戯曲はどうでしょうか。下記サイトで確認してみました。

数十作品ほど確認したところ、登場人物表に「キャラ」が書かれている戯曲をひとつ見つけました。宮藤官九郎さんの「鈍獣」です。「思い込みが激しい」「典型的なヤンキー気質で、真っ直ぐな性格」というような記述があります。ただ「(これは作者が戯曲執筆前に俳優陣に手渡した資料です)」という但し書きがあるので、一般的な登場人物表とは言えないかもしれません。

あと、あくまで印象ですが、戯曲は映画・ドラマのシナリオに比べて、登場人物表の形式性が弱いようです。登場人物表がないもの、名前だけのもの、職業だけで年齢はないものという具合にばらつきが見られました。


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ハリウッド映画の登場人物表

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