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同性婚、台湾にできて、日本にできないのはどうして?

#札幌0317  2021年3月17日の同性婚訴訟(札幌地裁)の違憲判決ー同性愛者の婚姻が認められないことは「法の下の平等」を定めた憲法14条に反するー実質的勝利の熱が冷めやらぬ中ではありますが、法整備までの長い戦いはまだまだ続きます。今回は、2019年5月に法整備まで完了させた台湾の事例を参考に、どうして台湾にはできて、日本はまだできていないのかを考えていきます。札幌地裁の判決については、前回の記事「全国初の同性婚訴訟判決、何を騒いでるの?結局、何が違憲なの?」をご覧下さい。

札幌裁判は実質的勝利っていうけど、裁判は終わり?法整備はいつ?

 原告が控訴しなければ終わりです。今回の判決では、賠償請求は棄却されており、裁判としては国側が勝訴しているので、高等裁判所へ控訴することができません。よって、原告が控訴しなければ、「憲法14条に反する」という判決を確定させることができます。そういう意味では、超画期的な判決ですね。しかし、原告と支援団体Marriage for All Japanの判決後のコメントでは、本裁判の目的は同性婚の法整備を実現することであり、そのためには立法府(国会)へのより強い圧力が必要で、高等裁判所、最高裁判所へと控訴するを前提に検討をすすめると仰っていました。

 3月17日の札幌地裁の判決から2日後の3月19日、国会で本判決に関する答弁が行われました。

菅義偉首相(衆院神奈川2区)は19日の参院予算委員会で、札幌地裁の違憲判決を巡り同性婚の合法化を問われたが「状況を見守る」と明言を避けた。立憲民主党の蓮舫氏に答弁した。蓮舫氏は「判決を受け止め同性婚の合法化を進めてほしい」と要望。首相は「公判が続いている段階」との認識を示し「他にも同様の裁判が続いていると認識しており、そういう状況を見守る」と賛否を明らかにすることも避けた。(神奈川新聞より引用)

 上記のように、同性婚の合法化について問われた菅総理は「状況を見守る」と述べるにとどめ、極めて消極的な姿勢を崩していません。このことからも、継続的より大きな力で国会へ(自民党へ)プレッシャーを与え続ける必要があることがわかります。やはり、戦いはこれからが本番ですね。

台湾はどうやって同性婚を実現させたの?

 台湾では、2017年5月24日に台湾の司法最高機関である大法官会議から、「同性同士の婚姻を制限してきた現行民法の規定は憲法違反」との解釈が示され、合わせて2年以内の法整備を立法へ指示されたことにより法整備の検が開始、紆余曲折あり2019年5月に同性婚が実現しました。大法官の憲法解釈がトリガーとなった台湾の同性婚ですが、当然これは降って湧いたものではなく、台湾における長い運動の歴史や、政治や司法への粘り強い働きかけ、積極的な世論形成などの努力の結果です。

 札幌地裁の判決文にもある通り、「同性婚は合理的根拠を欠く差別的な」待遇ということで人権問題だと私は考えています。ですので、権利を勝ち取るという表現は正しくないのですが、台湾には90年代に入ってから本格的に民主化を実現して、様々な権利を国民運動によって勝ち取ってきた経験値があり、国民の政治に参画しようという熱量が日本とは圧倒的に違います。

 教育面でも、2004年に「性別平等教育法」が志向されて以来、学校教育の中で、相当量の時間と年月をかけてジェンダー・人権に関する正しい知識と世論形成に取り組んで来ました。このような背景もあり、若者層の同性婚関連の話題への関心は非常に高く、またこのような民主や人権に関する先進的な取り組みが台湾の国際的な地位を確立するために必要だと考えられる節もあります。

 毎年10月に開催される台北でのLGBTパレードは、近年ではアジア最大規模のパレードとして国際社会から多くの参加者を得ていますし、現総統の蔡英文氏(民進党)も主要な選挙公約として「婚姻平權(婚姻の平等)」を掲げていました。公約通り、同性婚を第一期任期中に実現させたことも蔡総統の再選へつながる大きな要素となりましたね。高齢者の投票率が高く、若者の選挙離れが深刻な日本とは対象的に、若者の政治参画が活発で、若い世代ほど投票率が高い台湾では、若者受けするリベラルな政策は人気獲得の王道と言えそうです。

結局、いつになったら日本で実現できるの?

 最終的に法律を作るのは国会ですから、国会で法案が可決されればいつでも同性婚を合法化させることができます。2019年6月に立憲民主党など野党3党が連名で民法の一部を改正する法案(婚姻平等法案)を衆議院に提出していますので、審議、可決させれば即実現可能です。しかしながら、議席数で過半をしめる自民党が本法案に関して極めて消極的な対応をとっているため、審議すらされずに放置された状態にあります。

今後の動きとしては、

 ①裁判を進める:3月17日の札幌地裁の判決が初の判決となりましたが、Marriage for All Japanという支援団体と弁護団諸々の支援グループの支えで、全国5つの地方裁判所にて「結婚の自由をすべての人に」集団訴訟が進行中です。最も審議が早く進んだ札幌では初の違憲判決が出されましたが、札幌以外の東京・名古屋・大阪・福岡裁判でも同様の判決が続けて出れば国会への大きなプレッシャーとなります。それでも国会が動かないということであれば、高等裁判所・最高裁判所へと裁判を進めていくしかなく、数年単位での時間と多くのリソースが必要となります。

 ②国会へのロビー活動:諸外国での同性婚合法化が進み、日本でも札幌地裁で違憲判決が出ましたし、世論調査でも過半数が同性婚に賛成という結果がふえてきました。つまるところ、法律を作る国会へのロビー活動がより重要になる(効果がある)段階に入ってきたということです。先日の札幌地裁をうけ早速、3月25日に臨時のマリフォー国会の開催が予定されています。一人でも多くの国会議員を味方につける必要があります。この話題に関心が集まれば集まるほど、議員の方々にとっては無視できない案件になりますので、ぜひ盛り上げていきましょう。

以上、前回の札幌地裁の違憲判決記事の後半編として書きました。少々堅苦しい内容が続いてしまったので、次回以降、すこしふわっとしたプライベートの話もしていこうかなと考えています。引き続き、LGBTQ、同性婚、日台夫夫の生活などを中心に書いていこうと思っていますので、よければNoteをフォローしていただけると嬉しいです。

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