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リワーク日記64 業務の引き継ぎは上々(前任者の残したトラップ以外)。だけどちょっと憂鬱?

前回の記事の通り、唐突に決まった私の担当業務のひとつめは無事に引き継ぎが完了し、実に上々な滑り出しを果たしました。前任者が残した間違いだらけの書類の数々や、前任者が最後の出社日までのわずか3日間で毎日引き起こしたトラブルを除けば。この1週間はジェットコースターのようにスリリングな日々で、一瞬たりとも気が抜けず本当に疲れました。

まあ、危うく無許可の製品を世に送り出すところだったのを阻止できたのですから、何だかよくわかりませんけど頑張ったんではないでしょうか。特に誰も褒めてはくれませんでしたが。あのお方、バイタリティーがすごいと讃えられている人ですが、その半分は自分でこしらえたトラブル対処で走り回っていたというのが実態のように思えてきました。いえいえ、これは失礼。口が滑りました。何はともあれ定年までお疲れ様でした。

そういうわけで、竜巻のように暴れる前任者からの投球を受け止めて、週の後半からはのんびりと自分のペースで…と目論んでいた私は子供用のチョコレートのように甘く幼稚だったと今ならわかります。驚くべきことに、その前任者は持ち帰った携帯電話でメールのやり取りを最終出社日以降も見ていて、怒涛のように口出しをしてくるのです。確かにまだ在籍中であくまで有給休暇の消化期間ですから仕事に関わっても良いのですが、定年ですよ?1秒も働かなくても誰からも怒られない権利を獲得したんですよ?そんなに仕事が好きかと呆れてしまいます。私なら会社の携帯電話は即返却します。皆さんだったらどうですか?

当面はこの苦いチョコレートを齧りながら、どこに爆弾が仕掛けられているか不明の業務を注意深く軌道に乗せていくという神経戦が続きそうです。しかも耳元で前任者からのけたたましい横槍が響き、集中力が著しく削がれる環境下で。社会人って大変です。何はともあれまずはこの1週間の自分の頑張りを褒めてあげたいと思います。

さて、今週の後半には私の他の担当業務も発表されました。ようやくですね。

現担当者が忙しくて手が回っていない業務や、現担当者が情熱や関心を失ってしまって放置気味になっている訳あり業務が詰め合わせセットになった伸びしろ豊かなお仕事という印象でした。

貧乏くじだと文句を言っているわけではありません。中途採用の人には、元からいる人たちでは手が回らない仕事や苦手としている仕事やうまくいっていない仕事を再建して伸ばしてもらいたいと会社が思うのは自然なことです。だから採用戦略に筋が通っている会社なら、そうした業務に適性のありそうな人を狙って採用するはずです。もちろん会社の状況にもよりますが、転職組には「今ある花形業務」より「次の花形業務」を作ってもらいたいと期待されているものです。私に手渡された訳あり業務の詰め合わせセットは、逆に頼りにしてもらっているという証なのです。

軽く現担当者にその業務について聞いてみましたが、ほとんど何もしていなかったり、本人としてはやり尽くしたと思っていたり、やっても無駄だと諦めているようでした。やはり別の角度からの取り組みが必要になっているのがよく分かりました。

正式な担当替えのタイミングは半年後ですが、それまでの間に実務上の引き継ぎは完了させてまずは現担当者の負担を軽くしてあげたいです。来週から少しずつ手をつけていきたいです。

ところで、正直な心の反応をここで書き出しておくと、担当業務の発表を聞いた瞬間、実は気持ちが緊張して嫌な気分になりました。それは再び責任を負い成果を要求される立場に戻るというプレッシャーに対する嫌悪感であり抵抗感でした。

言うまでもなくその背景には私がメンタルを病んで休職に追い込まれることにつながった前職での嫌な出来事や状況・環境があり、「仕事」と名のつくものにはもれなくその記憶が紐づいてしまっていることがあります。「またあんなことを言われるような経験をしなければいけないのか」という絶望感が頭をよぎったのは無理もないことです。「あれ」のせいであんな苦しく真っ暗で辛い思いをさせられたのですから。

人間の心身はやはり正直です。自分にとって嫌なもの、敵対するものにはきちんと嫌悪反応や警戒反応を示してくれるのですね。だから私自身もそれを無視してはいけません。それは本当に危険なものかもしれないからです。今回も私の心身のセンサーの高性能さを褒めてあげたいです。

一方で、今の私は定期的に主治医の診察を受けており、抗うつ剤と睡眠導入剤を服用しているので、メンタルの悪化は防止可能な環境にいます。本当にまずくなる前に主治医の介入が期待できる安全な条件で社会復帰にチャレンジできているのです。

加えて、会社側も引き継ぎに半年もの長い時間を与えてくれています。普通は即戦力として中途採用の社員にはすぐさま成果を要求されますが、幸運なことに転職先のこの私の会社は長い目で見てくれています。一言で言えば前職とは環境が違います。違う会社であり、違う上司であり、違う同僚です。私は社会復帰成功の確率を上げるために転職したのです。

また、リワークでは様々なストレス対処法を身につけました。仕事でストレスがかかるのは当たり前ですが、以前よりも私はストレスとの付き合い方ははるかに上達しています。リワークでの約1年で学んだことはいくらでも活用して良いのです。職場環境だけでなく、私自身の状態も前職時代とは違うのです。社会復帰を成功させるためにリワークに通って準備を進めてきたのですから。

私のセンサーが仕事に対して警戒反応してしまうのは仕方ありませんが、無理なく仕事に慣れていけるような条件はこれ以上ないほど整っているのです。私はできることは全部やっているのです。ですので、私のセンサーが警告するほどには恐れる必要はないと思っています。無理は禁物ですが。

もしかしたら、今後実際の業務の中でまた今回のように私の心が条件反射的に拒否反応を起こすこともあるかもしれません。それはそれで否定せず受け止めますが、あの最悪の状況とは違うという事実を思い出して、焦らず自分のペースで目の前の課題をこなしていけば良いということも私の心に理解してもらっていきたいと思います。

とはいえ、前の会社の仕事よりも今の会社の仕事の方がずっと前向きな空気を纏っています。前職の業務はどれも澱んでいて重苦しくて負のオーラを放っていました。職場全体を覆っていた、今にも溺れそうで息継ぎもままならないような末期的な雰囲気が、不思議なほど今の会社にはありません。きちんと利益を出している会社は空気が違うのだとつくづく思います。ですから、実際に今の会社の業務を通じて私の仕事に対するイメージが変われば、私の心ももっと軽くなってくれるかもしれません。

ということでこの1週間は前任者が巻き起こす嵐に耐えたり、辛いメンタル不調のことを思い起こして少し憂鬱になったりと、なかなか起伏に富んだ日々でした。負担はありますが、きっと大丈夫だと思えます。なぜなら、以前よりも焦らなくて良いと思えているからです。自分のペースで少しずつ着実に前に進んでいけば良いと思えています。現にそうやって時間をかけてメンタル休職からも立ち直ってきているのですから。これからも無理せずゆっくりやっていくつもりです。

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