賞味期限切れのない生活
「半額」なんて割引シールが貼られた状態の惣菜を、競うように買う。
だいたいは仕事帰りの大阪駅のイカリスーパーか、阪急梅田の成城石井。
閉店直前が帰宅時間。
そんな生活の反動で土日は近所のスーパーで食材を溜め込んで自炊したりする。
ちょっと高いぐらいがいい。
野菜もお菓子もチーズも生ハムも。
日頃のストレスを解消するためには、それぐらいがバランスいい。
そうやって、バランスを保っていたんだなと思う。
そうしてやってくる冷蔵庫の整理。
「いつか食べるだろう」
「食べたいときのために」
「念のための常備」
そんな気持ちで手にした子たちが、悲しくもだいたい賞味期限切れになる。
土日のみの自炊でそこまで食材を使いきれるわけもなく。
賞味期限切れの生活は、私から自炊を奪っていった。
今になって想う。
私は家事というものが本当に嫌いだった。
冷蔵庫のなかを気にする時間も、余裕もなかった。
理想の未来に憧れを抱きながらも、数日後の未来には責任を持てていなかった。
「賞味期限」に追われる生活が嫌で自炊を手放した。
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数か月前からフリーランスの生活がはじまり
朝はパートナーのお弁当づくりからはじまる。
今朝、ミルクティーを飲もうと軽くなった牛乳パックを手にした。
「賞味期限」は今日の日付だった。(“未開封”と書かれているのが気になるけれど、まあいいか。)
どうやら私はずいぶんの間、賞味期限切れのない生活を送っていたようだ。
今手にあるものは「あたりまえ」という言葉で表現されるのかもしれない。実は簡単に手に入ったものではなかったり、あるいは手放してもいいものなのかもしれない。
今の私にとっては、家事や自炊が余裕を与えてくれている。
それは“今”であって、“私にとって”である。
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