労働価値説の冤罪を晴らしたい
「価値」というと、燦然と光り輝く神秘的な何かを連想してしまうかもしれない。あるいは、価値は人間の欲求に対応して、自然発生してくる事象だと思うかもしれない。
しかし、資本論において、それらの連想は単なる幻想にすぎない。マルクスは、私たちの「価値」に対する幻想を「物神崇拝」と呼び、本来の価値と区別した。マルクスが分析する「価値」は、つまらないほど浪漫がなく部品的な概念となっている。すなわち、価値は、資本主義という複雑な社会システムを構成する、一定の機能が搭載された「部品」であって