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パン屋日記

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寝る前の読みものを探している方に。パン屋で働く「わたし」のノンフィクションエッセイをお届けします。やさしくてあたたかい変な人たちがたくさん出てきます。
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パン屋日記 # 最終回 雨の日のタクシー

雨の日は、 身分の不相応を世界中の人に謝りながら タクシーで出勤します。 電車も、バスも …

icca
1年前
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パン屋日記 #57 ラスト・ラン

その小さなレストランは、 いつも通り朝8時にオープンしました。 いつもと違うのは、 いろ…

icca
1年前
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パン屋日記 #56 最後の一皿まで

好きだった瞬間がありました。 シェフから手渡しで、 料理を受け取る瞬間です。 料理の受け…

icca
1年前
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#55 今となってはおとぎ話のように

閉業前の、ラスト・ラン。 ほとんど2ヶ月ぶりに 厨房からあたたかな音が聞こえ、 古い陶製…

icca
1年前
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パン屋日記 #46 よくできた話

パン屋日記は、縁をつないでくれます。 パン屋日記を読んでくださっている 岡山のパン屋さん…

icca
1年前
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パン屋日記 #44 やさしさの形

仕事中、休憩室の奥の倉庫から 補充用のドリンクを積み出していると 「iccaちゃん。これ持っ…

icca
1年前
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パン屋日記 #43 福山雅治

本当のパン屋日記は、 起・承・転・結ではありません。 起・承・転・転・転 転に次ぐ転です。 その「転に次ぐ転」の中で 怒ったり、笑ったり 人にやさしく されたりしているのです。 鬼ヶ島店から電話がかかってきたのは、 火曜日の朝のことでした。 「女子社員が1人失踪しました。  人が足りないので、誰か来てください」 いってらっしゃい、さようなら。 お昼前にして、早くも坂下先生とお別れです。 「鬼ヶ島店は、どうなってるんでしょうか。 (軍曹)さんといいその女子社員と

パン屋日記 #26 クマ崎さんのお留守番

ある日、毎朝7時45分にやってくる 常連客のクマ崎さんが、 めずらしく弱気な顔で言いました。 …

icca
1年前
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パン屋日記 #22 クマ崎さんのお子さまカレー

「クマ崎さん」という 常連のお客さまがいます。 クマ崎さんの日課は、 毎朝7:45に来店して …

icca
1年前
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パン屋日記 #21 信じてくれたから

今日もパン屋は、とんちんかん。 「買ったはずのパンがどこにもない。  渡し忘れではないか…

icca
1年前
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パン屋日記 #20 坂下先生のコーヒー

愛し尊敬してやまない 年下の先輩がいます。 弱冠23歳の彼女のことを、 最大の敬意を込めて「…

icca
1年前
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パン屋日記 #19 愛情の裏返し

「坂下さん」という 年下の先輩社員がいます。 最大の敬意を込めて 「坂下先生」と呼んでいま…

icca
1年前
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パン屋日記 #18 用務員の木村さん〜経験はいいぞお

排水溝から自転車のカギを救出してくれた、 用務員の木村さん。 翌日もう一度お礼を言いに行…

icca
1年前
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パン屋日記 #17 用務員の木村さん〜カギ救出大作戦

あの夜の敗因は、閉店作業を終えて (やっと家に帰れる)という その一瞬の気のゆるみでした。 リュックの外ポケットから取り出そうとした 自転車のカギが 運悪く、駐車場の排水溝にまっさかさま。 分厚い鉄格子で閉じられた排水溝は 押しても引いても開かず、 中は真っ暗で、底が見えません。 こういうときに頼りになるのが、 用務員の木村さんです。 カギを失くした自転車を 自転車屋さんに持っていくために 本体のカギを叩き壊してもらえないか、 とお願いしに行くと 木村さんは