育休教員、ついに辞表出したってよ
2020年12月4日
校長先生に、辞表を提出しました
正座して書いた「辞表」の字
A4一枚の紙切れで終わる 私の7年間の教員生活
いつもと違う 川沿いの道を通って学校へ
学校に近付くにつれて雲行きが怪しくなり
トンネルへ差し掛かるころ
ポツポツ雨が降り出した
車の中では子どもがギャン泣き
私は この曲をずっと聴いていた
教員一年目
大好きだった彼に１ヶ月で振られた
仕事帰りの車の中で 大声で歌った曲
私は変わってく
綺麗になってゆく
乙女の輝きを増してゆく
そんな暇などないわ
止まる暇などないわ
元気になるわ
きれいになるわ
大学を卒業して すぐ教員になった
一年目から担任を持った
電話口で怒鳴られた
校長室でボロボロと涙をこぼした
ドジだけど
立派な先生ではなかったけれど
たくさん支えてもらった
たくさん愛してもらった
「先生みたいな大人になりたい」
と言ってくれた子がいた
「帰ってきて」
「行かないで」
目に涙を溜め しょんぼりとしてた
自分がこんなに必要とされるだなんて
思いもしなかった
辞表を出すまで 私はずっと緊張していた
「一体何にビビってんだ？」
校長先生が怖いわけじゃない
辞職を止められるわけじゃない
両親に打ち明けるより ずっと楽なはずだった
履歴書は送った
月曜日に面接が待ってる
夫も両親も
見守ってくれる
外堀は全て埋まった
でも
「辞めます」
と校長先生に言わないと
本当に辞めることにならない
真ん中だけ残ったジグソーパズル
埋める時が来た
ずっと辞めたくて
でも
踏み切れなかった
怖かった
安定を手放すこと
新しい環境でやっていくこと
「先生」じゃない自分になること
突然連絡してきた私に
校長先生は目を丸くして
話をすると
すぐに納得してくれた
「あなたの人生だからがんばりんさい」
「教職員課からの書類をまた送るから」
決意の「辞表」はあっけなく受け取られ
十分も経たず 話は終わった
帰る途中
お世話になった先生に会えて
辞めることを打ち明けた
「挑戦しててすごいよ」
そうやっていつも認めてくれた
困った時にはすぐ駆けつけてくれた
隣でお手本を示してくれた
怖そうに見えて
ほんとはとても優しい
私は あなたの背中がだいすきだった
転職活動をしながら
noteを書きながら
ずっと後ろめたい気持ちがあった
自分だけ一抜けするような
現場から「逃げる」ような
けれど
私は私のやり方で「教育」に携わろうと決めたのだ
学校にも家にも居場所がない子のために
友達の家に遊びに行くような
そんな感覚で行ける場所を作ろうと
道は
分かれた
運転席に乗り込もうとしたとき
校舎が目に入った
授業の声が聞こえてくる
校舎に向かって
一礼
「ありがとう」
いろんなことがあった
重いお腹を抱えて登った階段
子どもを追いかけて走った校舎
もうここは
私の「居るべき場所」じゃない
チャイムの音を聞きながら
校舎を後にした
一つ目の角を曲がったとき
電線に止まっていた十数羽のハトが
一斉に飛び立った
校舎の下に広がる瀬戸内海に向けて
勢いよく飛んで行った
まるで
私みたい
降っていた雨は止み
雲間から光が差し込んでいる
西に傾き始めた日差しは
眩しいくらい
「よくやったね」
と誰かが私を褒めてくれてる気がして
あたたかい何かが私を包んでる気がして
新しい朝が来る
新しく変わってく
せつなさを胸に抱いて 抱いて
誰かのためじゃなく
私のためだけに変わるの
きれいになあれ！
新しい道に踏み出した
きっとその先で
私を待ってる人がいる
いつか
子どもたちに会うことができたら
堂々と伝えたい
「私は挑戦するよ」
私の背中から何か感じてくれたら
それが私のできること
最後まで読んでくれてありがとうございます。
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