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福祉。

私は10年以上高齢者の介護をしてきた。
その仕事はとても楽しかった。
利用者と向き合うことで、自分にプラスになることを利用者からたくさんいただいた。
そんな私の介護を好きだと言ってくれる人たちが、今も私の周りに居続けてくれている。
心からありがたく思っている。

仕事を辞める時、今後どうするのか尋ねられ社会保障に頼りながら考えると伝えたら、その生き方はどうなのか、と言われ鬱病を患った私は余計に傷ついた。
いくら頑張って働いても、辞める時もそんな言葉をかけられるのかと悲しかった。

今振り返れば相手も私を傷つけると思って言った訳では無かったのかもしれない。主観の押し付けだったのだろう。

辞めてから協会けんぽ(厚生年金保険)に行き、傷病手当の手続きを申し込んだ。
窓口の女性は凛としていながらも物腰の柔らかい人だった。

少し引け目を感じていた私に彼女はこんな言葉をかけてくれた。

「よしよしさん、傷病手当は国が認めている保障なんです。それによしよしさんがしっかり雇用保険を納めていたから受けとれるんですよ。
この金額は病気になるほど頑張って働いた証なんです。ゆっくり治して安心して生活してください。」

思いもかけなかった言葉に嬉しくて涙が溢れた。
私は誰かに「頑張ったね」と労って欲しかった。だから私の欲しかった言葉を彼女が私を理解して伝えてくれたことで、私は彼女へ大きな信頼を感じた。

それから月に1回書類の提出に彼女の元へ出向いた。

そんなある日のことだった。
私の主治医が入院してしまったのだ。
奥様と主治医の2人で経営されていた小さな診療所だったので、高齢な奥様はパニックで対応してもらえない。
傷病手当の主治医の所見も次の病院への引き継ぎもしてもらえず、不安になった私は協会けんぽに向かった。

彼女はこれは大変だ!と、すぐに上司に相談し、いろんな道を一緒に考えてくれた。
どうにか手当を繋げられる方法をと、彼女もこうなった理由を一筆書いてくれたり、私が行動すべきことを丁寧に教えてくれた。
彼女のおかげで無事次の病院が決まり、あきらめていた傷病手当も受け取ることができた。

今日、半年ぶりに彼女に会う機会があった。
彼女は元気な私を見て大変喜んでくれた。
私は初めて会った時に言われて嬉しかったことや、傷病手当を繋げるために必死に動いていただいた感謝を伝えた。

「よしよしさんが毎月しっかり通院して頑張った結果ですよ。
よしよしさんは頑張り屋さんだから…この病気は頑張る人が患っちゃうと私は思うんです。頑張りすぎないでまた顔を出してね。
こんなふうに感謝や労いの言葉をいただけると本当に嬉しいの。私こそまた頑張れます。」

と彼女から再び私の心を満たす言葉をいただいた。

この人こそ福祉の人だと学んだ。
困っている私のために、彼女は行動でも精神面でも私を支えてくれていたからだ。


私はこの春から通信大学3年に編入した。
社会福祉を勉強する。
困っている人を助け支えられる人になりたいと思ったからだ。

先日ソーシャルワーク演習の課題で、『社会的排除』についてチャットでみんなでコメントし合った。
同じグループの人たちの意見に学びがたくさんある。

「社会保障をもっとわかりやすく提示すべきだ」
「子どもの頃から生きるための知恵を学ぶ教育体制が必要なのでは」
「自分たちから行動できるように行動の仕方を知りたい」


など、またそれに対しての共感やデメリットをコメントし合う。多様な意見はとてもおもしろく考えさせられ、大変勉強になった。

私も自分がしてもらったたくさんの恩恵を返していけるように、知識や技術の習得に努めたい。

私は困難を乗り越えることができ今があり、とても運が良かったと心から思っている。
私のように運が良い人を1人でもつくれるように、今度は私が困っているあなたを救える人になりたい。

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