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創作物語「オオカミの子」1

はじめ

「お母さん、今日はこの本を読むね。お母さんが大好きな本だよ。」
女の子は母親に話しかけましたが、返答は来ません。もう眠ってしまったのでしょうか。
「私もこの本、大好きだよ。お母さんがぐっすり眠れるように読んであげるね!……これはほんの少し前のお話………」

一章

 ここは人間だけではなく、妖精、トロール、魔女や人魚などのおとぎ話に出てくるような種族が住むワンダーランド。皆が協力し合い、戦争も起きない平和な国です。ガヤガヤとにぎわう商店街、子供たちの笑い声が響く公園、そんな城下町から離れた草原に、ひとりの幼い少女が蝶を追いかけていました。
 少女はオオカミ人間の子でした。少女の他にもオオカミ人間はたくさんいましたが、あまり馴染めずいつも一人でいました。両親は心配していましたが、少女は独りを好みました。
 なので、学校は大の苦手でした。休み時間、ほかのオオカミ人間たちは外で鬼ごっこやかくれんぼで遊んでいましたが、少女はいつも独りで絵をかいていました。
 そんな少女を見て、魔女の先生は言いました。

「群れになじめないのは仕方のないことだけれど、せめて狩りの練習をしないと立派なオオカミにはなれないわよ。」

 オオカミ人間は18歳になった初めの満月の夜までに、オオカミに変身できるようになります。少女の周りでも、幼くしてオオカミに変身できるようになった逸材もいました。
 ですが少女は気にも留めていませんでした。なんとなく、18歳までには変身できるようになるのだろうなと思っていました。

 放課後、クラスのみんなは公園で遊んでいましたが、少女は離れた草原で絵をかいていました。今日はワンダーランドのお城の絵をかきます。
 キャンバスの上でのみ、少女は自由でした。おもむくままに筆を走らせ、モノクロの世界を自分だけの色で彩る。彼女はこの時間が大好きでした。
 誰にも邪魔をされないこの草原とこの時間が少女の居場所だったのです。

(もう少しで完成しそう!明日には終わるかな?)

そろそろ終わりにして片付けようとしたとき、、、

「ねぇ!何してるの~?」

後ろから声をかけられました。          つづく


これからはオリジナルの物語を書いていきたいと思います。
続きが気になる方はぜひスキをお願いします。
ここまで見ていただきありがとうございました。





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