Hyuma_Paintings

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Sonnet Practice

Winter’s snow is falling astray on me. Wherefore art thou falling, the vacant ill? The soul-less softness, silver seed of groan: The self-less, senseless, thou, without no will. Thou thawing thing, by what thou be resolved? Naught I see aro

    • 全知②

       あたしは全知全能…ではないけど、全知。世の中のこと、全部知ってる。  今立っているここから、全部が見渡せる。全部。全部。5分後のことから、1時間後のこと、一週間後のこと、一年後のこと、私が死んだ後のこと、未来のこと。そしてすべてが終わった後のこと、この地球が終わった後のこと、宇宙の未来、宇宙の未来の、そのまた未来。途方もないくらい先のこと。  今立っているここから、全部が広がっていく。「もしも」を考えれば、その「もしも」の先も、全部わかる。全部の可能性は、全部あたしの頭の中

      • 悪とは

         悪、下劣、下賤、粗野、醜悪、不貞は、羨望の目では見れないが、 ある種の解放であるように思われる。  神へたどり着くための果て無き、苦難の道の脇には多々、堕落と凋落への小道、悪魔のささやき、汚らしい誘惑があるが、それらは憩いである。  自律とは、自立でもある。立っていれば疲れる。休憩が欲しくなる。正義、律、法、聖は、心身を締め付ける銀の鎖である。正義の道を進む以前に、その肉体が滅んでしまっては、本末転倒である。ゆえに、正義を脱ぎ捨て、一晩だけ、サキュバスの腕の中で眠るのであ

        • 生産性

           世界の先鋭達が最先端技術を生み出し続ける中、僕は過去の失敗に頭を抱えて、体を丸める。  先鋭に追いつこうと、野心家達が前に前にと進む中、僕は「あの時は」「あの時は」と過去を遡る。  消費社会という「効率の世界」の中、人間関係の柵を断ち切って、金を稼ぐ手段を学び実際に稼ぐ人間が多数いる中、僕は文系的で全くもって生産性のないことばかりを考えている。止まっている。    その上僕の体は脆弱だ。あまりに脆い。文系的思考のおかげか肥大化した心構えだけ一丁前で、それを実行する器があまり

          『とある庶民の不毛な日常』

           冬の日。外出から帰宅する。洗面台の鏡を見る。鏡に映る自分の姿に違和感を覚える。どこか様子がおかしい。  映っている自分の姿を観察してみる。最近乾燥してきたからか、肌が少し粉吹いている。疲れてはいるが目はぱっちりと開いている。ぱっと見は、いつも通りだ。  ところがだ。ふと、指で頬に触れたその瞬間、決定的な違和感に気づく。触覚に異常を感じたのだ。触覚が鈍い。  しかし、感覚が完全に麻痺しているわけではないらしい。外からの帰宅から1、2分だ。指先は冷え切っていることは確かだ。それ

          『とある庶民の不毛な日常』

          Never wanted a special day.

           特別なことなんて、何もいらない。水族館だ、夢の国だ、遊園地だ、観光スポットだなんだのには、興味はない。空の方が、よっぽど見ていて楽しい。そこらに生えている花の方がよっぽど綺麗だ。喫茶店だって、やたらにファンシーなところに行く気なんてない。チェーン店で十分。  ある歌がいう。”Like a weed, naturally, as a matter of cource. ” それこそが、僕が求めるものだ。

          Never wanted a special day.

          全知

           俺は、全知全能…ではないか、でも、「全知」だ。俺は全てを知っている。  ニュースがいう。 「昨日の午後6時ごろ、〇〇県〇〇市において、16歳の男子高校生が、何者かによりナイフで刺され、重傷を負う事件が発生しました。…高校生は以前意識が……犯人は未だ逃走中で…」 俺はこの犯人が誰だか知っている。そいつが、今何をしているのかも。そいつがこれから先、いつ捕まるのかも。…おっと「捕まる」って言っちまった。だが、そうだ、奴は捕まるのさ。  道を行く大学生がいう。 「推しのライブチケッ

          車椅子を押す人

          「なあイッチー。」 「友達って、なんだと思う?」  通話をしながら何かゲームをしようかと集った直後のセリフだった。 「お前、そんな話するタイプだったっけ。」 俺がニノミヤに苦笑しながら言うと 「酔ってるんか?お前。」 とミスミも続いた。 「いや、まだ飲んでない。これから飲むけどね。今日はコークハイ。」 ニノミヤは真面目なのか不真面目なのかよく分からない。が、まあそんな話をしたがるくらいなのだから、何か気になることがあったのだろう。ふと、2年前ニノミヤと喧嘩したことを思い出した

          車椅子を押す人

          紫陽花。

           紫陽花が咲いている。とても綺麗だ。やはり雨が降る、曇り、どんよりした日に見るべきだ。こんな暗い日には、炭酸でも飲んでぱーっとしたいところだが、紫陽花がその役割を担ってくれるおかげで、苦いコーヒーを飲んでいられる。苦いが、美味い。  近くまで寄ってみた。うむ、良い。個人的には特に蒼いものが好きだ。水色のものでも良い。雨に似合う。  そういえば紫陽花には毒がある…なんて話を聞いたことがある。いや、違う。他の植物と混合してしまってるのかもしれない。でも、あの色合いを見るに、正しい

          本性

           通学路に、とても目立つ小石が落ちていた。大層綺麗で、よく光を反射し、それはそれはよく目立つ石だった。初めて見つけてから何週間も経ってもそこから無くならないし、なんと言っても美しかったので、拾った。近くで見れば見るほど、やはりとても綺麗な石だった。  家に持ち帰って、フィギュアやら参考書やらゲーム機やらで散らかっている机の上に、強引にスペースを作って飾った。机の蛍光灯をつけると、その光を強く反射し、綺麗に光った。その輝きに夢中になった。ゲームや勉強を疎かにしてまで、その石のた

          嫉妬と劣等感

          思い返してみれば、今までの感情は全て、ただの嫉妬と劣等感によるものだった。 男と二人で写ってる写真で、ショックを受けてた。 それがことの発端だった。 写真の男に嫉妬して、自分は拒絶されて、それに劣等感を抱き、キレた。 情けない男じゃないか。

          嫉妬と劣等感

          人間関係

          人間関係を軽く考えることができない。 「切れても支障のない人間関係」なんて、そんなに軽薄で軽率で、悲しい関係なんて作れない。 自分から好まない人であれば、まず関係を作ろうとしない。 少しでも交流を深められた人であるならば、その人とは「切れても支障のない人間関係」を作ることはできない。 どんな人でも、その人との関係が切れることは悲しい。嫌な気分になる。 どんな人とも、一定以上に真剣に接したい。 しかし、人間関係の幅が狭ければ、一つの関係が重くなる。どうしても切りたくない関係にな

          大根おろし論争

           シャーッ、ガシャン。シャーッ、ガシャン。そんな音があちこちから聞こえてくる。そして、しんと静かになる。  ここは、家から歩いてすぐのところにある商店街である。本当、目の先にある商店街である。全体の7割ほどを、50〜70年代から続く古い店が占めており、その他は比較的新しい店が多い。古い店が閉店すると、ほとんどの場合、意欲のある若者の手によって、新たな店が建つ。しかし、この商店街の規模は小さくなりつつある。なんでも、後継者育成の為のノウハウに欠いているとのことだ。  僕はこの

          大根おろし論争

          神様とのおしゃべり

           大きな川のほとりで座っていた。ずっと考え事をしていた。気がつくと隣には、神様が座っていた。  その神様は、90歳はとうに超えているであろうおじいさんのような見た目をしていた。神様というのは、やはり人間と同じ見た目をしているんだ、と思った。服装までも人間のものに近い。人間の感性でも十分理解できるような意匠だ。俺たちが住むような世界よりもっともっと高い場所に住んでいるのに、ここまで人間と似るのには、やっぱり理由があるのだろう、と思った。それを聞いてみた。 「うむ、私たちは、君た

          神様とのおしゃべり

          曇天、月

           目覚めた。目が覚めても、視界は暗い。瞼が開かない。  体は疲労しきっている。私の体が、ベットに押し付けられているのが、はっきり理解できる。重力である。体が溶けてしまっているように感じる。どろどろと肉が溶けて、動かせない。溶けた肉がそのままベッドに広がっていってしまうのではないかと感じる。それでいて、やはり体には骨がある、骨のおかげで辛うじて私は人としての形をとどめている。そしてやはり、背骨だ。背骨に妙に意識が向く。この感覚。  気分は最悪だ。どろどろと溶けている手を、足を、

          昼寝と柱

           仕事に向かう途中に、小さな駐車場がある。普通の駐車場であるが、一つ特徴を挙げるとすれば、民家と接しているためか、カラスや猫といった動物がよくいることである。晴れの日であれば、大抵猫が日向ぼっこしている。冬の寒い日でも日向ぼっこしている。ああそうか、猫は冬眠はしないのか、と思ったりした。  猫のあの自由奔放さが好きだ。そこらで寝そべっていれば、通りすがりの人が愛でてくれる。猫はそれを知っているのだ。  どうにも羨ましいので、彼らの真似をしてみることにした。  昼間、同じ駐輪場