悪とは

 悪、下劣、下賤、粗野、醜悪、不貞は、羨望の目では見れないが、 ある種の解放であるように思われる。
 神へたどり着くための果て無き、苦難の道の脇には多々、堕落と凋落への小道、悪魔のささやき、汚らしい誘惑があるが、それらは憩いである。
 自律とは、自立でもある。立っていれば疲れる。休憩が欲しくなる。正義、律、法、聖は、心身を締め付ける銀の鎖である。正義の道を進む以前に、その肉体が滅んでしまっては、本末転倒である。ゆえに、正義を脱ぎ捨て、一晩だけ、サキュバスの腕の中で眠るのである。
 悪は、正義の道を健全に進み続けるための正当化であり、言い訳である。


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