生産性

 世界の先鋭達が最先端技術を生み出し続ける中、僕は過去の失敗に頭を抱えて、体を丸める。
 先鋭に追いつこうと、野心家達が前に前にと進む中、僕は「あの時は」「あの時は」と過去を遡る。
 消費社会という「効率の世界」の中、人間関係の柵を断ち切って、金を稼ぐ手段を学び実際に稼ぐ人間が多数いる中、僕は文系的で全くもって生産性のないことばかりを考えている。止まっている。
 
 その上僕の体は脆弱だ。あまりに脆い。文系的思考のおかげか肥大化した心構えだけ一丁前で、それを実行する器があまりにも脆い。スポーツカーのエンジンを搭載した一般車のような感覚。知識だけを詰め込んだ一般人がスポーツカーに乗ろうとしているような感覚。
 そんな非効率な人間が、どうしてこの世界で生き残ることができようか。
 
 生産性。社会的生産性。社会貢献。それら現代社会において必須とされる要素をことごとく欠いた人間は、どう生きるべきなのだろう?

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