映画の前に餅を食うと尿意がなくなる?
映画の前に餅を食うと尿意がなくなる、だから映画館は餅を売ってくれ!
というツイートがバズっていた。
「風が吹けば桶屋が儲かる」みたいなトンデモ理論の話かと思われるかもしれないが、これは実は栄養学的に見ても本当の話なのだ。
今日はこのムダ知識について検証していこうと思う。
…いやムダではないか。
●餅を食うと尿意がなくなるロジック
ではどのようなロジックで餅を食うと尿意がなくなるのだろうか。
簡単に言うと、
という流れだ。
●餅以外の食べ物でも尿意はなくなるのか?
では餅でないといけないのだろうか。
炭水化物が鍵であれば、白米やパンではダメなのだろうか?
答えは、(部分的に)ダメなのだ。
・水分量
例えば白米の水分量は約60%(米1合に対して1.4倍の水分で炊いた場合)。
パンや約65%とされている。
一方、餅は約43%が水分だと言われている。
せっかく炭水化物を摂っても、一緒に水分を摂ってしまってはトイレが近くなってしまう。
・炭水化物の特性
ではまんじゅうやドーナツではどうなのだろうか?
まんじゅうやドーナツに使われる砂糖は、スクロース(ショ糖)と呼ばれ、グルコース(ブドウ糖)1分子と、フルクトース(果糖)1分子がくっついてできている。
フルクトース(果糖)は、果物やはちみつに多く含まれる。
吸収が速く、肝臓で代謝されるため、グリコーゲンとして体内に蓄えられづらく、中性脂肪に変わりやすいという特徴がある。
(砂糖は太るというのは、実は果糖のせいだったのだ。)
一方、餅の炭水化物はデンプンだ。
デンプンは、グルコース(ブドウ糖)が数多く結合してできている。
ブドウ糖は、身体のエネルギー源になりやすい、非常にクリーンな単糖類だ。
ブドウ糖が分解されるとグリコーゲンになる。
なお、ブドウ糖はブドウに多く含まれるためこの名前がついたと言われている。
(ブドウは果物なのに果糖じゃなくてブドウ糖なんかい!)
なので、餅はグリコーゲン貯蔵に適した食べ物といえる。
●結論
つまり、餅は
・水分量が少ない
・グリコーゲンになりやすい
という理由で尿意を抑えやすい食材といえる。
●効率よく尿意を抑えるコツ
注意してほしいのが、人間の身体は、無尽蔵にグリコーゲンを蓄えられるわけではない。
グリコーゲンの貯蔵庫は、主に2つ。
・肝臓
・筋肉
肝グリコーゲンは、成人男性で約100g程度
筋グリコーゲンは、筋肉量にもよるが、成人男性で約400g程度
と言われている。
これはだいたい何もしなければ2-3日で底をつく量のため、効率よく尿意を抑えたいのであれば、体内のグリコーゲンをあらかじめ枯渇させておくことがポイント。
激しい運動をしたり、映画の数日前から炭水化物を抜くのも手だろう。…誰が映画のためにそこまでするんだ?
餅1個50gに対して25gの炭水化物が含まれるため、体内のグリコーゲンをフルで満たすためには、当日の朝から映画の上映時間までに餅を1kg食べる必要がある。
がんばれ。
一回にするおしっこの量は成人男性で200-300ml程度なので、そこまでする必要はないかもしれないが…(何の話?)
●餅の弱点
しかしそんな餅にも弱点はある。
太りやすいのだ。
「さっきブドウ糖はエネルギー源になるって言ったじゃねえかよ!」
と思われるかもしれない。
しかしどんなにエネルギー源になりやすいといっても、たくさん食べたら摂取カロリーが増え、摂取カロリーが増えたら太るのは世の常なのだ。
なんなら水分量が少なくお腹を圧迫しないので、餅をバルクアップ飯に使うボディビルダーも多いくらいだ。
あなたが毎年正月太りをするのは餅のせいなのかもしれない…
とはいえそんなに日常的に映画館に行く訳でもないだろうし、ほとんどの人は気にしなくていいだろう。
●まとめ
・餅は尿意を抑える
・餅はバルクアップに最適
●おわりに
このnoteは、筋トレを始めたばかりで、しっかり身体のことについて勉強したい人をターゲットに、健康的な生き方に関する情報を論理的に発信しています。
過去にもいろいろな記事を投稿しているので、もし気になったら読んでみてください。
また、記事にしてほしいトピックのリクエストもコメント欄から募集中です。
筋トレについてそこそこ詳しい方や、実際にトレーナーとして活動されている方にとっても、「こんな考え方、こんな表現があったんだ!」という発見になってくれれば幸いです。