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【note居酒屋】#2 歳の重ね方
いらっしゃい。
酒ってのはその人の本性を現すと言うが、その人の悩みもあらわにしていくものだと思うんだ。
まぁおっさん店主の世間話だと思って聞いていっておくれ。
![](https://assets.st-note.com/img/1720180955644-F5H2Cr1Ib3.png)
ある日こんなことを溢すお客さんがいた。
若いからどうだの、人間的に足りないだのと。
みんな俺が出世してるから、妬ましいんだよな絶対。
そこそこ呑んでいた。
お待ち。
頼まれたつまみを出すついでにこう言った。
言って貰えるだけありがたいと思うけどねぇ・・・。
そう!それ、それも言ってましたよ。
歳を取ると他人に説教したくなるんですかね、人間て。
こりゃ参った。
笑いながら頭を抱えた。
歳は上でも、仕事では俺が上司なんだから黙って言うことを聞けってんだ!
あーもうやりづらい。
マスター!ビール追加!
あいよ。
ビールの栓を抜き、お客さんの元へ持って行った。
否定をしているんじゃなくて、「アドバイス」をしてくれてるんじゃないのかぃ?
ああ?
お客さんは俺を睨んだ。
長く生きている分、酸いも甘いもお前さんより知ってるってこった。
マスターまでそんなこと言うのかよぅ。
そう言いながら、ビール瓶にもたれ掛かった。
分かんないね、それっぽいことを言われても。
言ってることも、なんで言うのかも。
早くに出世した俺が気に食わないんだろうさ。
俺はマッチでタバコに火をつけ、一服した。
それは、違うと思うけどねぇ。
…マスターは若い時にそういう経験は無かったんですか?
俺かい?はっはっは
同じだよ、色んな言葉をたくさんの人に貰ったよ。
・・・言葉を貰った?
俺はタバコの火を消し、お客さんの前に行った。
こういうのはさ、人に言われたって分かる話じゃないよね。
でも、それを分かろうとするのと、分かりっこない!と割り切って生きるのじゃ天と地の差だ。
分かろうとしっかり生きてりゃいつかは分かる。
それが、歳を取るってことなんだ。
これ、サービスね。
つまみを置いた。
お客さんはそこから何も喋らず、ただじっと吞んでいたよ。
それから何日か経ったころだ。
会社の後輩を連れて店にやってきた。
まだ少しぎこちなかったが、自分なりにちゃんとみんなの声を聞いてたよ。
打ち解けたみたいで良かった良かった。
![](https://assets.st-note.com/img/1720180997268-CtefRWGiEP.png)
マスター!ビール追加で!
あいよ。
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