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フリーランスはどうやって食べているのか、振り返ってみた - おカネ問題編

前回前々回とフリーランス13年の経験を棚卸ししてきたのですが、そういえば触れていないなと気づきました。
避けては通れないお金についての考察を書いてみようと思います。
(初めにお金の話を書こうと思わなかったところがなんともはや。最優先じゃないんだな。お金、大好きだけど。)

大好きだけど、最優先じゃない


そもそもこの世にお金が存在する意味は、市場における価値の「交換」「保存」「評価」の手段として優れていることです。

これを、一人の働き手にとっての意味に変換すると、とてもわかりやすいです。わたしは、ごくごく普通に、ごくごく自然に、「できるだけたくさん稼ぎたい」と思う人間です。

先程のお金の存在理由「交換」「保存」「評価」を、この「できるだけたくさん稼ぎたい」に敷衍すると、

① たくさん稼いでいろいろなものと交換していい暮らしがしたい
② たくさん稼いで手元にお金をたくさん保存して安心したい
③ たくさん稼げるだけ提供できる価値が高いという客観的な評価を得たい

の3つに分解できます。

フリーランスになる前、新卒として働き始めた頃のわたしは、この3つがごっちゃになったまま、どれが優先順位が高いのかわからない状態で、いつもどこか「もっと稼がなくちゃ」と焦燥感を抱いていました。周囲には外資系金融会社に就職して、新卒にしてかなりの高級取りな女性が少なからずいたことも影響していると思います。

結論として、わたしの場合は③が最も優先順位が高いので、厳密にいうと本当に欲しいのはお金ではなくて「客観的な価値の評価」です。②の願望はほとんどなく、①は多少あります。

お金って、書籍がミリオンセラーになるテーマのうちの1つらしいです。1億人が当事者であるテーマのうち、1%の人が買ってくれたらミリオンセラー。そういうテーマは少なくて、「お金」「家族」「健康」「青春」「恋愛」の5つだと、このnoteの運営会社の創業者でミリオンセラー「もしドラ」編集者の加藤貞顕氏が何かで書いていました。

そのくらい、誰もが無視できないお金なので、いろんな人がいろんなところでいろんなことを言っています。コンテンツとして不動の売れ筋テーマだから。ですが、世の中に溢れかえるお金の話は、主に「効率のいい稼ぎ方」つまりHOWが多く、そもそも自分は「なぜ稼ぎたいのか?」つまりWHYまで掘り下げられていないことが多いようにも思います。

だからこそ、溢れかえるコンテンツに流されてHOWを追いかける前に、WHYについての自分の中に着地点をもっておくことが大事なのかなと思います。特にフリーランスは、自分の頭で考えて決めなければならないから。わたしは、だんだんと自分にとってお金の意味を言語化できるようになったことで、かなり楽になりました。そして、ちゃんと見積もりを書けるようになりました。

少し話がそれますが、わたしのようにメイン③・サブ①で、仕事をして自分の稼ぎに応じて楽しくやってる女性が、結婚などで -しかも、まるでそれが最善の正しい道であるかのように- 仕事と稼ぎを奪われると大変なことになるだろうと思います。アイデンティティが崩壊するからです。「仕事をしていいか夫に確認が必要で、思いやりたっぷりに『家のことをしっかりやってくれるならいいよ』と返答される」というような話はホラーでしかありません。女性の生き方は一世代で本当に多様化したので、ここらへんが本当にややこしい。

余談です。

話を戻します。

「稼ぎたい」というより「稼げたい」かもしれない

わたしにとってのお金は、「たくさん稼げるだけ価値を生み出しているという客観的な評価」です。だから、たとえ銀行口座に10億円あったとしても、仕事をやめない自信があります。想像すると、それを使ってどんな新しい価値を生み出せるかを考えるのが、楽しみで仕方がありません。

自分にとってのお金の価値がはっきりしてから、わたしはお仕事のお話が来たときに「いくらですか?」と聞かれて「ご予算に合わせます」とは言わなくなりました。

最終的な落とし所は、もちろんお相手のご都合を判断材料に、思考・感性・技術を総動員して決める/決まるものなのですが、はじめは「言い値」をきちんと伝えます。これ、実はリスクのある行動です。高すぎると思われてその仕事は他所へいってしまうかもしれない。「あの人、高いよ」と言いふらされて他の仕事も来なくなるかもしれない。「がめつい」とか「図々しい」と思われるかもしれない。逆に、安いと思われてなめられるかもしれない。高めに出しておかなかったことで、取りっぱぐれるかもしれない。

とにかく、先にカードを切ることにはリスクが伴います。なのでストレスなのですが、自分が今から生み出そうとする価値を、なるべく正直かつ可能な限り客観的に評価して数値化する。それを怯まずに出す(※「営業は欲しいものを欲しいという練習」参照)と決めてからは、だいぶ楽になりました。相手側にストレスを受け持たせないという意味でも、先に手の内を見せます。親切やサービスだと思ってます。

自分の中に不動の目盛りを持つと楽になる

そして、出したものが受理されたなら、それだけの価値があると客観的に評価された証明です。されなくてそのまま案件自体が消えたなら、「まだまだだった」もしくは「わたしじゃなかった」と、手放せばいい。受理されない=受けない、ではありません。「真っ当な金額ですが、今回はなんとかこれで!」と頼んでいただいて快諾することもありますし、金額以外の部分の提案内容や意思表示に対して調整が入った結果、報酬額が変動することもあります。

稼ぎたい理由として、①と②と③がごっちゃになっていた頃は、「でもやっぱり仕事を取らないと」という考えも頭をもたげ、相手の予算を聞くべきか、聞かれたらいくらと答えるべきか、混乱して辛かった気がします。自分の中に不動の目盛を持つと、判断が楽になるもの。人間は脳を働かせて考えるのにものすごくエネルギーを使うので、「この物差しで決める」と決められると省エネに効果的で、省エネができると肝心の仕事そのものにエネルギーを差し向けられます。ひとり経営者としての、社内(自己内)リソース最適配分のコツともいえます。お金のことを考えて決める作業は負荷が高いので、思考プロセスを簡略化することは、フリーランスにとって大事な技術だと思います。

ここまで書いてきて、じゃあ「自分が今から生み出そうとする価値を、なるべく正直かつ可能な限り客観的に評価して数値化する。」ってどういうことだよ?と肝心なところが書ききれていないことに気づいております。

これはこれでまた、深堀りしがいがあるのでまた折りを見て書いていきたいと思います。今日のところはこれで締めます。

余談 : 「お金大好き」と叫ぶと良い仕事がくるジンクス

理屈をこねてはみたものの、基本的にわたしはお金が大好きです。
あればあるだけ、いろいろなものに交換できるし、たくさんあった方が気も楽だし楽しい。(①と②で楽しい。ただし、③あっての。)
今のところ、使い道に困ったことはありません。(困るほど稼いだことも貯めたことも。)
なので、たまに思い出したように「お金大好き」と天に向かって叫びます。(引かないで・笑)
あるとき、お金が足りないと言っている2人の友人に、そのことを教えました。
2人はすぐさまわたしの目の前で、「お金大好き」と叫びました。(とっても可愛かった。)
しばらくして、そのうちの1人が「あの後、予定外の仕事が入ったんだよ」と教えてくれました。
面白くないですか?これを読んでピンときた方は、ぜひやってみてください。
余談、終わり。

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