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知らぬ間に祖父を追う

今朝、なんとなく入った祖父の部屋でみつけた
詩集「倚りかからず」

倚りかからず  著:茨木のり子


茨木のり子さんの詩集を読みたい、と思っていた矢先の事であったため、驚きより先に喜びの情が湧いた。

まだ読みきっていないが、後生大切にするだろう。

祖父は国語教諭で、物心ついた時から「お前は教師になれ」と耳にたこができるほど言われていた。

僕もそうなるだろうなと思いながら22歳となり、後を追うように教諭となった。

祖父は多趣味であった。友人と呼べる友人は少なかったように思う。それはぼくも同じで、なんだかそれも後を追っているような気さえする。

風景画が好きだった祖父。
抽象画が好きなぼく。


手書きのハガキを毎年書いていた祖父。
早朝、夜な夜なペンを手にとるぼく。

一人の余韻を携える祖父。
孤独を愛しているぼく。

漢文が好きな祖父。
現代詩や散文が好きなぼく。

多様性を尊重する祖父。
障がいを障害とは思わないぼく。

思いかえせば、多くの共通点があるなと思う。父親のいないぼくにとって祖父は父親でもあり、よき師でもあった。自然と背中を追っていたのかもしれない。

祖父が他界し2年が経とうとしている。
ぼくも28になった。

祖父が28の時にはどのような生活を送っていたのか。趣味は、恋人は、仕事の調子は。今更ながら聞きたいなと思う。あの時きいておけばなと思う。

後悔もあるが、似てきているところもあり救われる。

文学が好きなところ。どこか孤独の匂いがするところ。子どもを教え導くことが好きなこと。

おっと、朝方かおる枕の匂いも近づいてきているか。

だんだん似てきている。だんだん追えている。



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