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クリエイティブ力をあげるメモ術『TAKE NOTES!』レビュー

唐突ですが、Zettelkasten(ツェッテルカステン)というメモ術をご存じでしょうか。

ツェッテルカステンはドイツで生まれたメモ術なのですが、日本での知名度はほとんどありません。

本書に出会うまで、ぼくもその存在を知りませんでしたし、いまだにツェッテルカステンという名前をそらで言うことができません。

開発者はニクラス・ルーマンという社会学者で、彼は生涯に58冊の本の出版と、数百本の論文を書き上げました。

その大量執筆の秘密が、ツェッテルカステンという彼のメモ術。

ぼくが知る限り、本書『TAKE NOTES!』が、ツェッテルカステンに関する唯一の本です。

世の中の「書き方」に関するの多くが、「文体や文の構造など、体裁について」か「最後まで書きつづける、心理的な方法」に偏っています。

しかし、そのどちらにも共通するのは、白紙から書きはじめるという点。

白紙からはじめるという状態を脱し、いつでもアイディアのストックを持ち、書き始めることができる状態にするのがツェッテルカステンです。

ツェッテルカステンを知り、正しいメモの取り方をすれば、メモをとればとるほど自分の財産となり、大作も自然と書けるようになります。


ツェッテルカステンを使うメリット

あらゆる知的な試みは「書くこと」から始まり、書くことは学習や仕事で中心的な役割を果たしていますが、多くの人は書くことにほとんど無頓着。

実は、ものを書くプロセスは、白紙にむかう前から始まっています。

白紙の状態から書き始めてしまうと、考えがうまくまとまらなかったり、肝心な部分を見逃してしまったりと、質の低い文章ができあがってしまいます。

そうならないようにするための解決法が、ツェッテルカステンを活用し、日頃からメモをうまくとること。

賢くメモを貯めるだけで、つねにアイディアをストックすることができ、長期にわたって良質なアウトプットを行うことが可能になります。

また、ツェッテルカステンを使えば、書くだけでなく、学ぶことや新しいアイディアを生み出す作業自体も、楽しいものになります。

ツェッテルカステンのやり方

必要なものは、以下の3つ。

①小さな箱(インデックスカードを保管する用に最低2つ)
②インデックスカード
③ペン

ツェッテルカステンでとるメモは、大きくわけて以下の3つ。
①走り書き
②文献メモ
③永久保存版メモ

実際にメモを蓄える大きなながれは、以下のようになります。
・読書で何かを学んだとき、①の走り書きに、「自分のことば」で「学んだこと」を「1つにつき3行以内」で書き出す
・読書が終了したら、②の文献メモの表側に、書名、著作者など、文献の情報を書き、裏側に、本の内容をシンプルにまとめたものを書く
・小さな箱を「メイン用」と、「文献用」にわけ、①をメイン用に、②を文献用の箱にそれぞれ保管
・ここまでを繰り返し、ある程度のメモがたまったら、①と②のメモを見返し、学んだことをつなげて何か新しい価値を生み出せないかを考え、その新しい考えを③永久保存版メモに書き出す
・③永久保存版メモには、それぞれのメモを区別しやすくし、のちほど引用・参照できるように、分かりやすく番号を振り、関連する①のメモと一緒にメインの箱にファイルする

このようにして、本から学んだことを自分のことばで蓄積し、思考や発見、アイディアといったものを、説得力のある文章に効率的に昇華させることができます。

おまけ

気になるのが、開発者であるニクラス・ルーマン自身がどのようにメモをとっており、実際にどのように保管していたのか。

その方法がどのようなものだったのかを、以下の動画で確認することができます。

京大式カードのようなサイズのものをインデックスカードとして使っていたようです。

ツェッテルカステンのやり方に関しては、この動画が分かりやすいです。


おわりに

ツェッテルカステンのよいところは、自分のオリジナルの考えが、自然とたまっていくところ。

「自分の言葉でメモ」をとるので、メモが独自の論理になっていきます。

それらは「ちょっとしたひらめき」などではなく、大きなアイデアに育つので、書こうと思えば、本数冊分もラクラク書けるほどに。

しかも、アイディアだけではなく裏づけとなるデータも、メモの中におさまっているため、アウトプットのさいに、参照元を探すといった面倒ごとも少なくなります。

何か新しいアイディアを得たいたいとき、ブレインストーミングをしたり、うんうんとうなる必要はもうありません。

アイディアや、文章を書きたければメモを見ればいいだけで、白紙に向かうことは二度となくなります。

企画力が重視される仕事についているビジネスマンや、アイデアが必要なクリエイターの方におすすめの本です。


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