ブックカバーで隠すなら
読書の際に、ブックカバーを使っている人はどのくらいいるのだろうか?
私は普段ブックカバーを使うタイプの人間ではない。
理由は明確である。
移し替えるのが面倒だからだ。
一応、格好つけてもう少し理由を探すと、せっかくの表紙のデザインを楽しめないという理由もある。0.0002%程度だが。
先日、久しぶりに電車に乗った。
島暮らしのおかげで、電車は21世紀の乗り物くらいに縁遠くなったように思う。
そんな現代を走る近未来の乗り物には、今も昔も、読書家たちが乗り込んでいる。
彼らはもちろん手元の本にその視線を落としていた。
中にはブックカバーを使っている人もいる。
ブックカバーの中にはどんな本が入っているのだろうか。
普段の船の縦揺れとは違い、横にガタガタと揺れる車内で、私は一人、車窓から広がる景色よりも、その中身が気になってきた。
あの黒塗りのブックカバーの裏に、ライトノベルが入っているかもしれないし、
ホラーじみたグロテスクな本も、あの花柄のブックカバーがあれば、その存在を隠すことが出来るのだろうか。
とはいえ、やはり真相は闇の中、いや、ブックカバーの中だ。
ブックカバーはもちろん本を保護するという意味合いがあるのだろうが、私からすれば
「自分が読んでいる本を隠す」
意味合いを強く感じてしまう。
さて、私なら何を隠すだろう。
ブックカバーを使えば、今まで手に取ったことのない官能小説だって、電車の中で気兼ねなく読めるかもしれないし、
ブックカバーを使えば、冷房を入れたくなるくらいに暑苦しい青春を投げつけてくる学園物語の世界にも、電車の中で没入できるかもしれない。
ブックカバーは、本の世界を心から楽しむチャンスを私に与えてくれる。
ブックカバーさえあれば、他人の目など気にもならないのだ。
根拠はないが、そんな気がしている。
一方で、大事なことに気が付いた。
人目を気にして本を読むなんてことは、今の私には関係なかった。
近未来の乗り物は、どうやら島まで乗り入れてはいないらしい。
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