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マッドパーティードブキュア

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ドブヶ丘で戦う魔法少女たちのお話です。
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2023年12月の記事一覧

マッドパーティードブキュア 96

「お客様、店内での暴力行為はお控えください、。」  ウェイターは壁の穴へと向かう。店中に…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 95

「お水のおかわりはいかがでしょう」  声をかけてきたのはウェイターだった。相変わらず背は…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 94

「おや」  勢い込んで皿の上を何かをかきこんで、ソファにもたれかかったところで、テツノは…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 93

「追跡は?」  ラゲドの言葉にメリアは首を振る。 「もうこの入り口は閉じてしまっています」…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 92

「ふむ、これは……」  ラゲドは瓦礫の山の中の空白に気づいた。あたりには廃材が重なり合っ…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 91

 糊のきいたワイシャツに染みのないエプロン、首元には黒色の蝶ネクタイ。背が高くすぎて顔は…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 90

 手を繋ぎながら、テツノたちは暗闇の中を歩いた。油断すれば、また曖昧な混沌の中に溶け込んでしまうだろう。まっすぐに出口を見つめる。やけに広がって見える視界の端に色々と奇妙なものが入り込む。  狂ったように回り続けるコーヒーミル、牛の皮が張り付いた大きなアリ、微細な星が炎を上げる。見るべきではないもの。隙間の磁場に歪められてなにか全く別のものが、このように視覚に認識されているだけ。そのようなことが起きるかもしれないと言っていたのは……ズウラだった。  大丈夫だ、とテツノは胸の内

マッドパーティードブキュア 89

 ざくりと何かがあった。それが感覚だと認識する。痛みだ。痛いのだと認識する。認識が戻って…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 88

 隙間を満たす暗闇はぬとりとまとわりつくような手触りをしていた。未知の感触に慌てて指をこ…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 87

「たぶん、大丈夫、だと思う」  隙間の様子をうかがいながら、テツノはおずおずと言う。 「本…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 86

 影の一団の指さす先にはひとくれの瓦礫の山があった。 「これか?」  マラキイが材木に手を…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 85

 瓦礫の中に、マラキイとメンチは呆然と立ち尽くしていた。煙幕が晴れた後に、老婆とセエジの…

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 84

「お婆さん、変になったのは治ったんだね」 「ああ、おかげさまでね」 「それは良かった」  …

海月里ほとり
6か月前
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マッドパーティードブキュア 83

 マラキイは鋭い痛み地面についていた右手を見る。地面から突き出した金属がざくりと指の間を切り裂いていた。  マラキイの赤黒い血が金属の表面を伝って流れ落ちていく。金属は七色に鈍く輝いていた。見たことのある輝きで、見たことのある形状だった。 「これで終わりだよ」  老婆が呟き、ナイフを構え、投げる。その音をマラキイは背中で聞いていた。瞬間で考える。目の前の金属、背後のナイフ、足元の瓦礫、なすべきこと。危機の中で思考が高速で回転する。頭脳がマラキイの身体を動かす。ぎりぎりまで引き