海月里ほとり

俺は小説書きサイボーグ。淡々と小説を書いてお前を押しつぶす。 お代は見てのお帰り。 皆…

海月里ほとり

俺は小説書きサイボーグ。淡々と小説を書いてお前を押しつぶす。 お代は見てのお帰り。 皆の万札が、銃弾やムーンライトクッキーに変わって、海月里ほとりをバックアップします。

マガジン

  • マッドパーティードブキュア

    ドブヶ丘で戦う魔法少女たちのお話です。

  • ドブヶ丘関連

    自分で書いたドブヶ丘関連の色々を貯めていきます。

  • ドブヶ丘集

    妄想虚構都市ドブヶ丘に関する記事をここにためていきます。説明書をよくお読みになり用法容量を守ってお使いください。あなたドブヶ丘に踏み入るとき、ドブヶ丘もまたあなたに侵入している。

  • 出口兄妹の冒険

    腕に口持つお兄ちゃんが妹のために頑張る、怪物たちがドブヶ丘で切ったはったするお話です。

  • 電波鉄道の夜

    逆噴射小説大賞二次選考通過作品「電波鉄道の夜」の連載版です。おおむね毎日更新をめざし……実行します。

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この記事は海月里ほとりの書いた小説をまとめた記事です。 いつの間にかずいぶんと数を書いていたので、辿りづらくなっているのではないだろうか。そんな時ここから選んでいけば好きなところから読めるという寸法だ。 ドブヶ丘の話とかSFな話とか、あとファンタジーな話を書いたりしている。 それぞれの小説の本文は無料ですが、投げ銭用にあとがきをつけていることがあります。気に入ったら読んでみてください。とてもうれしくなる。もちろん本文を読んでもらえるだけでもうれしいけれども。 ドブキュ

    • マッドパーティードブキュア 248

      「万物を包む、あたたかな光、ドブパック!」  姿を現した少女が叫ぶ。身に纏うのは魔法少女装束。たっぷりとふわふわとしたドレープをあしらった意匠の装束だ。 「なるほど、『あんたも』ドブキュアってわけだ」 「珍しい偶然もあるもんだ」  魔法少女、ドブパックはメンチを値踏みするように見た。鋭い目つきに負けず、メンチもにらみ返す。まさか、相手がドブキュアだとは想定していなかった。  だが今なら、とメンチは手の中で斧をくるりと回した。 「なんとかしてあげるよ。あたしが」  頭の内側で声

      • 【映画感想】エンバーを見た。

         最近のメソッドで作られたっぽい感じの映画が見たくて、『エンバー』を見た。なんというか、いい感じの映画だった。こういうの見たくなる時ってある。  上手いな、と思ったのは特に前半の主人公の動機づけの部分と伏線の張り方だ。  動機づけは「この街の機能が崩壊しかかっていることへの危機感」だ。とくに主人公はそれを強く感じている。その理由付けとしては父親の言葉といことなのだろう。  実は観客は物語が始まる前の説明で「この街の機能がもう保証期間切れ」だということを知っている。なので、街

        • 【映画感想】「ファンタスティックプラネット」を見た

           ちゃんと面白い映画を見たいなと思って『ファンタスティック・プラネット』を見た。動きの感じとかがAC部で見た感じだなと思った。部分的に動くところとか。紙芝居的って言うのかな?  ストーリーもよかった。  ひたすらスリルを感じる作りだった。ドラーグ人がとても強いので主人公を含む人間は絶えず危険にさらされている。冒頭で示されるように、その力の差はあまりにも大きくて、ドラーグ人がほんの気まぐれを起こしただけで簡単に人間は死ぬ。  この力関係から観客は全編を通してスリルを感じること

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        • マッドパーティードブキュア
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        • 電波鉄道の夜
          12本
        • Vのこと
          5本

        記事

          マッドパーティードブキュア 247

           女性とメンチの視線が交錯する。メンチは譲らない。まっすぐに剣呑な女性の両目をにらみつける。 「そんな要求が通るとでも思ってんのかい?」 「通るさ。あたしが通す」  そう言って、メンチは斧を体の前に構えた。 「あたしはそうやって生きていくんだ」  斧の柄を握る。女性をにらみつけたまま小さく呟く。 「ドブキュアマッドネスメタモーフ」 「なんだぁ!?」  暗い七色の汚濁の奔流がメンチを包み込む。 「命もたらすカオスの揺籃、ドブディフィート!」  叫び声とともに濁流が晴れる。そこ

          マッドパーティードブキュア 247

          【映画感想】「ローラーボール」を見た。

           スポーツ映画が見たくなったので『ローラーボール』を見た。  『銃夢』の「モーターボール」の元ネタかな? と思ったら直接の関係はないらしい。  正直あまり面白くはなかった。古い映画(1975年)だから、脚本とか演出が今ほど洗練されていないというのがあるのかもしれない。  もしくはなんらかの意図があってそうしているのかもしれないけれども、僕はそう思った。小説を書くのに生かせるかもしれないのでメモ程度に残しておく。新鮮なうちに。  作品の中で三回「ローラーボール」の試合が行わ

          【映画感想】「ローラーボール」を見た。

          マッドパーティードブキュア 246

           メンチは棲家のブルーシートを視界に収めた。今度は一人でここに来た。  一つ息をつく。つまるところ、自分にできる作戦など、これしかないのだ。そんな考えが頭をよぎる。 「大丈夫だよ。よっぽどのことがない限り」  聞こえない声が耳元で聞こえる。見えない顔が頭の裏側で笑う。 「わたしがついててやるからさ」  よろしく頼むよ、その声は口には出さない。きっと姿の見えない相手にはそれでも伝わるだろうから。  ゆっくりと近づいていく。ブルーシートとガラクタでくみ上げられた棲家が大きくなって

          マッドパーティードブキュア 246

          マッドパーティードブキュア 245

          「なんとかって、なんか策でもあるんでやすか?」 「いや、別になにかあるわけじゃないけどよ」  メンチは気まずそうに目を逸らした。  何か策があるわけではない。けれども返した言葉は嘘ではなかった。あの女が見た通りの存在だとは思わない。得体の知れない存在で、正面から打ち合って勝てるかどうかは五分五分といったところだろう。けれどもあの打ち合った一合は絶対的な力の差を感じさせるものではなかった。 「うまくやりゃあ、なんとかなるんじゃねえかな」 「あんまり油断はしない方が良いと思います

          マッドパーティードブキュア 245

          マッドパーティードブキュア 244

           まだ、調達屋連盟がさほど大きくなかった頃の話だ。その頃は盟主とその腹心を中心とした、こじんまりとした調達屋の助け合いの組織だった。  ある時腹心の娘が敵対する組織に攫われたことがあった。その当時にも盟主の戦闘力は界隈に知れ渡っていた。戦闘力を恐れた敵対勢力が連盟の力を削ごうと画策したのだろう。ドブヶ丘の構想ではよくある、ありふれた話だ。  結末も意外なものではない。娘は盟主によってきっちりと無傷で「調達」された。  話が奇妙なことになるのはここからだ。盟主は腹心に対して、仕

          マッドパーティードブキュア 244

          マッドパーティードブキュア 243

          「そんなに重要なことではないかもしれないのです」 「いいさ、とりあえず話してみなよ」  なおも言い渋る受注担当官を、なだめるように老婆は優しい声で先を促した。受注担当官はためらいがちに言葉をつづけた。 「メンチさんの斧と、あの女……袋の力、なのでしょうか? その二つがぶつかり合った時の感覚を以前に感じたことがあったような気がするのです」 「なんだって?」 「それは、どこで感じたんでやすか?」 「確かに同じだったとは、確信をもっては言えないのですが……以前、一度だけ盟主が現場に

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          マッドパーティードブキュア 242

          「何か知ってるのか?」  メンチが問いかけると、受注担当官は首を振って口ごもった。 「いえ、おそらく、なにもお話しすることはありません。あの女が持っていた力のことですよね」 「ああ」  メンチは頷いて続けた。 「あたしらはその混沌の力は、あの女が例の袋から引き出しているんじゃないかと睨んでるんだ」 「ええ、そういうことですか。でしたら、おそらくそれは間違いないことだと思います。あの女は袋に『子どもたち』を吸収するたびに力を増していきました。少なくとも、袋から力を受け取っている

          マッドパーティードブキュア 242

          マッドパーティードブキュア 241

          「それからは……皆さんが知っている通りです。私は、メンチさんにお茶をかけてしまい、あの女に殺されかけて、そして……そしてあの音を聞いたのです」 「音?」  受注担当官は頷いた。 「ええ、あの音です。世界が割れるような音。あの音で私は少しだけ意識を取り戻したのです」  その言葉を聞いてメンチは思い出した。メンチが斧で女の一撃を受け止めた時の激しい音を。 「目の前でメンチさんとあの女が言い争っているのに気が付きました。私は必死に気づいていないふりを続けました。それから、あの女の目

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          マッドパーティードブキュア 240

          「何が起きたのかもわかりませんでした。ただ、気が付いた時には私は地面に倒れていて、あの女は」  そこまで言って受注担当官は言葉を切った。呼び起こした記憶の恐ろしさに押しつぶされたように固まり、じっと虚空を見つめた。  沈黙が流れる。受注担当官は何も言わない。メンチは少し考えてから、受注担当官の肩に手を置いて尋ねた。 「話せないならいいぞ」  自分らしくない言葉と行動に思えた。でも、例えばテツノだったら、同じようなことをしたと思う。だから、頭に浮かんだ行動を試してみた。それが効

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          マッドパーティードブキュア 239

          「袋? でやすか? 依頼が来て探してほしいって言われたっていう」  ズウラが素知らぬ顔で口を挟んだ。まったく何の話をしているかわか習いという口調で。 「隠さなくたっていいでしょう。あなたたちが探してるのも袋なのでしょう。おそらく、その袋ですよ。私も聞いていましたもの、あの女との話は」 「あの女の人は知らないって言っていたでやすよ」 「あんな言葉が本当だと思うのですか?」  受注担当官はズウラの目を見返して尋ねた。ズウラは首を振って答える。 「あんたの話しが本当だっていう証拠も

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          マッドパーティードブキュア 238

          「ねえ、メンチさん」  じっと、メンチの顔を見て受注担当官は言った。 「あの『子どもたち』の中に見知った顔はありませんでしたか?」  言われてメンチは思い出す。そこまでしげしげと「子どもたち」の顔を見るタイミングはなかった。お茶をかけられたから、受注担当官に気がついただけだ。それ以外の子どもとなると……。 「よく覚えていないな」  メンチは首を振った。 「そうですか」  受注担当官は顔を曇らせて、頷いた。 「どうした?」 「いえ、おそらくですが、あの『子どもたち』の中にはメン

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          マッドパーティードブキュア 237

          「それで、話を聞こうか」  じめりとした柱にもたれかかりながら、メンチは言った。受注担当官は顔をしかめながら、床に腰を下ろした。 「どこから話せばよいですか?」 「最初からだよ。なんで、あんたはあんなところにいたんだ?」 「それはですね」  受注担当官は顔をしかめて、うつむいた。少し考えてから、顔を上げ、口を開く。 「メンチさんが顔を出さなくなってから、しばらくしたころだったと思うのですが」 「おう」 「奇妙な依頼が連盟にやってきたのです」 「どんな依頼だ?」  あまり滑らか

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