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マッドパーティードブキュア 248

「万物を包む、あたたかな光、ドブパック!」
 姿を現した少女が叫ぶ。身に纏うのは魔法少女装束。たっぷりとふわふわとしたドレープをあしらった意匠の装束だ。
「なるほど、『あんたも』ドブキュアってわけだ」
「珍しい偶然もあるもんだ」
 魔法少女、ドブパックはメンチを値踏みするように見た。鋭い目つきに負けず、メンチもにらみ返す。まさか、相手がドブキュアだとは想定していなかった。
 だが今なら、とメンチは手の中で斧をくるりと回した。
「なんとかしてあげるよ。あたしが」
 頭の内側で声が聞こえる。得体のしれないこの力に頼り切るつもりはない。けれども、使えるものは何でも使わないと勝てるはずの相手にも勝てないだろう。
「勝つのはあたしさ」
 自分を鼓舞するように呟く。ドブパックは聞いただろうか。どちらでもかまわない。斧を構える。
「悪いけど、やるってんならこっちも容赦しないからね」
 ドブパックも身構える。
「当たり前」
 メンチは呟く。
 静寂
 どこか遠くでドブメッコが一声高くないた。
 それを合図にメンチは動いた。斧を振り上げ突進を開始する。相手が身構えるよりも速く、攻撃を叩きこむ。
「ぐげえ」
 悲鳴が上がる。確かな手ごたえがあった。だが
「なるほど、言うだけのことはあるね」
 メンチは後ろに飛んで距離をとる。何かおかしい。
 ドブパックは僅かに上げていた腕を下ろした。しびれをとるように軽く腕を振っている。はったりか?
 メンチは再び突進を開始した。
「今度はこっちもいくよ」
 対するドブパックが両腕を大きく上げた。体側のドレープが持ち上げられ、大きく口を開ける。メンチは目を見開いた。ドレープの口から暗い色をした球体がいくつか飛び出てくる。球体は口から出るや否やメンチめがけて一直線に飛んでくる。
 なにかまずい。
 不吉な予感にかられメンチは思わず軌道を変えた。
「ぐあぁああ」
 悲鳴が聞こえた。顔を向けるより先に、隣で爆発が起きた。

【つづく】

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