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電波鉄道の夜

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逆噴射小説大賞二次選考通過作品「電波鉄道の夜」の連載版です。おおむね毎日更新をめざし……実行します。
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記事一覧

電波鉄道の夜 13

【承前】 「いいかい、あんたたちね。いつもいつもいつも言ってるけどね」  その声は地の底…

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電波鉄道の夜 12

【承前】  歌、雑談、プロデュース業、便利屋、廃品回収、寝かしつけ。  セロリモネの活動…

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電波鉄道の夜 10

【承前】  布の中で息をひそめる。扉越しに足音が聞こえてくる。時折立ち止まっている。殴打…

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電波鉄道の夜 9

【承前】 「別に自分の目や鼻や耳、でなくてもよいのでしょう?」  店員さんを見つめて問い…

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電波鉄道の夜 8

【承前】  薄く微笑むモネの顔はいつも頭の中で見たままの顔。首から下がなくなっても可愛ら…

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電波鉄道の夜7

【承前】  歩き出した男の人の後ろについて、隣の車両の扉をくぐる。  扉をくぐった途端、…

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電波鉄道の夜 6

【承前】 「おい、あんた」  突然、声が聞こえた。聞いたことのない声。  伸ばしかけた手が凍りついたように止まる。心臓も一緒に止まりそうになる。  声が聞こえたのは止まった手の伸びる先、黒い塊。  固まったままの僕の前で塊がゆっくりもぞもぞと動く。塊を覆っていた黒い布がバサリと剥がれる。  布の下から現れたのは、探していた女の子ではなかった。顔中に青い無精髭を生やした痩せた男の人。男の人はぼんやりとした目で僕を見つめている。 「どなたさん」  男の人は欠伸をしながら尋ねる。

電波鉄道の夜 5

【承前】  青紫の唇が「さよなら」と動く。  それを見ると思考はもえ切れて、僕は駆け出し…

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電波鉄道の夜 4

【承前】  灰色の目が大きく開かれる。僕の後ろを見つめている。  ずるりずるりと引きずる…

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電波鉄道の夜 3

【承前】 「モネ!」  思わず叫んでいた。女の子は煙の中でばたばたと痙攣するように暴れて…

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電波鉄道の夜 2

【承前】  当然、僕は「どうぞ」とおずおずと頷いた。  女の子は「そっか」と笑って向かい…

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電波鉄道の夜

 この街の飲み水にはひどく小さな機械が沢山含まれていて、それらは飲んだ人たちの体の中で連…

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