見出し画像

きっと「ちょっと物足りない」ぐらいがちょうどいいんだ。

すごく好きはすごくきらいになっちゃうかもしれないから、ちょっと好きくらいでいてください。

「欲が出ました」ヨシタケシンスケ

イラストレーター・絵本作家のヨシタケシンスケさんのエッセイから。
彼のエッセイは、ひとつひとつがとても短くて読みやすいうえに、「そうそう、ほんとそう!」とうなずくものばかりで、どれもとても興味深い。

エッセイには彼のイラストもたくさんあって、機会があればぜひ本を手に取っていただきたく思う。

さて今回は、冒頭で紹介した「好きなものはある程度距離を取って好きでいた方がいい」ということについて、私自身の体験も踏まえながら見ていきたい。

以前、20代の時にセレクト雑貨のオンラインショップを数年運営していたという話をnoteで書いた。その時の記事はこちら↓

https://note.com/hotchocomilk/n/n9e1fb721fdd0

大学進学をきっかけに京都に住み始め、とあるセレクト雑貨ショップに出会う。そのお店は、異国の地に住む架空の女の子が好きなものを集めたという設定で作られていて、オーナーのセレクトが見事に私のツボをプッシュ。

足しげく通っていくうちに、かわいい雑貨が好きになって、他の雑貨屋さんもめぐるように。そのうち、「いずれは自分も雑貨屋さんを開きたい」と思うようになり、大学卒業近くになってオンラインのセレクト雑貨店を開くようになった。

雑貨店をオープンさせて、ハンドメイド作家の方とやりとりしているうちに、中には個性の強い方もいて、そうした作家さんとのやりとりで精神的に参ってしまい、次第にその作家さんの雑貨が好きじゃなくなってしまった。

雑貨が好きで、好きなことを仕事にしたいと思って始めたことだったけれど、結局数年で閉店。お取り扱いのあった作家さんの雑貨は、当初ほど好きではなくなってしまったし、雑貨そのものにもそれほど惹かれなくなった。

雑貨店の閉店を決めた時、子どもが生まれて育児に追われていたことも、雑貨に対する興味が薄れていったきっかけではあったけれど。

好きを仕事にすると、「いざ」というときに逃げ場がなくなるし、ストレスの発散も難しい。「適切な距離で、ちょっと好き」をキープしていたらよかったな、ということを、ヨシタケさんのエッセイを読んで思い出したのだった。

ただ、私は結構熱しやすく冷めやすいところがあるので、どうしても好きになると「がーー-っっ!」と追い求めてしまうタイプではある。「適切な距離」だとちょっと物足りなくて。

でもきっと、「ちょっと物足りない感じ」が、「ずーっと続けていきたい」に繋がっていくんだろうな。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?