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【私の相模原事件〜私と植松と世の中と〜】❹共生社会を考える〜希望と現実〜

7月26日で、事件から丸6年が経ちました。
2ヶ月前からずっと考察してきました。
連載で綴っています。

『相模原事件とは何だったのか?』
が粗方分かるかとは思います。
振り返ることで、皆様のより良い人生の一助にでもなれたら本望ですm(_ _)m。

(※なお、ご遺族の気持ちは承知しています。その気持ちをどうしたら社会に落とし込んで昇華できるのかを考えた上であり、加害者と向き合うのはその一環で、あくまでも第三者の考えです。殺人は肯定していません。ちなみに私は無宗教、政治思想不明です。資料として本5冊、ある程度のネット記事(主に神奈川新聞)を読みました。)

「相模原障害者施設殺傷事件」
2016年7月26日未明、神奈川相模原市にある知的障害者施設津久井山ゆり園に元職員植松聖(当時26歳)が侵入し、障害者19名を刺殺し、入所者・職員計26人に重軽傷を負わせた。2020年3月に死刑が確定した。

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❹『共生社会を考える〜希望と現実〜』

⑴分かち合おうとする子供達、共に生きようとする子供達から大人は何を学ぶのか?

〈ケース1〉
2015年頃の話しです。横浜市のとある地域に知的障害者施設の建設にあたり、地元住民の反対運動により建設は見送られました。「障害者施設建設 絶対反対」と書かれた看板がそこかしこに掲げられていました。この異常な状況に落胆したのは地域に住む子供達でした。「障害があるだけで、なんでこんなに差別するの?なんで施設を立てちゃいけないの?」と中学生らが声を上げていました。

〈ケース2〉
横浜市のとある小学校の特別支援学級に通う重度知的障害のある天良君は、通常学級の児童と共に授業を受ける科目もあり、自然と彼らは同じ仲間という意識が芽生えています。大縄跳び大会では天良君が跳ぶタイミングを背中を押して伝えるという案を子供達で考えました。しかし天良君は足に縄が引っかかり、連続100回跳びは失敗。子供達は「天良に跳ばせたかった」と悔しくて泣きました。通常学級の子供達は天良君を特別視することなく、自然に支えています。

→弱肉強食、能力社会でサバイブしてきた私達大人は、残念ながらこのような子供達の純粋で誰にでも分け隔てなくする心を呼び覚ますことは容易ではありません。
大切なのは、子供達に差別の芽が生まれない早いうちから、障害児に対して仲間意識を持たせることです。それには学校の在り方を変える必要があります。
今の学校は障害児と健常児を分離しています。行政は障害児をとにかく特別支援学校・学級への進学に推し進めています。分断することで、健常児には障害児は特別なのだという意識が刷り込まれます。
自分とはまるで違う立場の人間を受け入れ共に生活することは、豊かな心を育むことであり、今の分離教育はそれを阻む壁となっています。



⑵分離教育からインクルーシブ教育へ

インクルーシブ(包括的)教育は、1994年のUNESCOで行われた国際会議でその概念が広まりました。障害に限らず、子供たちそれぞれの能力や特性を考慮して、全ての子供が一緒に学ぶことができる教育とされています。現在世界ではインクルーシブ教育が各国に見合った形で実施されています。イタリアでは法律で取り決め、障害の有無に関係なくほぼすべての子供が通常学級で就学しています。

[イギリスの取り組み]
「特別な教育的支援の必要性がある子どもが、可能な限り通常の学校で教育を受ける」と定義し、障害の有無で区別しようという視点を取り払って、教育システム・制度を構築しています。基本的にどこの学校を選ぶかは保護者や子供の意思を尊重し、判定によりどうしても就学が難しい重度障害児以外のほとんどが通常学校へ進学します。こぼれ落ちる重度障害児に対しても、可能な限り通常学校に進学させるため、その子にどんな教育的ニーズが必要かを家族と話し合い、通常学校がそれに合わせて対応策を考えます。そのために通常学校は配慮が行き届く「少人数学級」であることが前提で、教師以外に障害児へ特別的教育支援ができる専門家を設置しています。

[日本のインクルーシブ教育]
今のところ日本で言うインクルーシブ教育は、特別支援学校・学級がインクルーシブ教育の一環であるとされています。教育の専門家はこの現状に嘆いています。なぜ分離が良しとされるのか…。その背景には、保護者が今の通常学校に障害のある我が子を放り込むことへの不安があります。この不安を取り払うためには、一刻も早く、通常学校が障害児を受け入れられるよう、設備や専門家の設置などの対策をする必要があります。こういうことにちゃんと税金使ってほしいです。



⑶日本唯一の共生社会〜明石市の取り組み〜

なんと、「インクルーシブ条例」なるものを発令している自治体が1つだけ日本に存在していました。兵庫県明石市です。明石市は今、共生社会を築き始めています!2011年に市長に就任した泉房穂氏(20年前に暗殺された伝説の政治家石井紘基の元秘書であり後継者、Twitterフォロワー31万人)が政策実行しました。
子供、障害者、高齢者、LGBTQ、ひきこもり、犯罪被害者、元犯罪者を排除せず包括して共に暮らそうという条例です。性別年齢国籍関係なく。

なぜ明石市は共生社会を築けているのか…?
その答えは「財源に余裕を持てたから」です。つまり、「市と市民がお金に余裕を持ち始めたら、みんなに優しくなれた」ということです。心の余裕はお金の余裕なんですね。

なぜお金に余裕が持てたのか…?
その鍵は「子供に徹底的に投資する」でした。泉市長は子供の貧困に徹底的に向き合いました。

国に先駆け市政に「子ども部門」を設立
・18才まで医療費無償化
・第二子以降保育料無償化
・満1歳までオムツ無料
・中学まで給食無料
・ひとり親家庭に養育費立て替え
・子供食堂を全小学校に併設
・児童相談所を大改革(弁護士採用、職員大増員、里親センター併設)
・大学生等に学費上限100万円まで肩代わり
・高校進学者へ給付型の奨学金制度
・コロナ禍すべての子供に10万円支給
・生理用品を学校に常備配置
etc…(各制度に所得制限無し)

これらを実行するために大胆に支出した結果、市民の91%が住みやすいと評価し、人口増、子育て層増、出生率UPとなりました。地域経済は活性化し、お金が循環していきました。税収は増加し、市の財源はプラス50億円!
「未来の子供に投資すればみんなが幸せになる」ということを証明したのであります。
泉市長のモットーは「子供をど真ん中にして大人が取り組む」「人の命を助けるのが政治」です。

詳細はこちら(来年4月こども家庭庁設立にあたり泉市長国会参考人陳述)↓
https://youtu.be/V6f8xpNjdOc
→圧巻の演説!ぐうの音も出ない!

ちなみに、明石市は旧優生保護法被害者支援条例を発令し、被害者へ300万円支援金を支給しています。国が出し渋っているのにスゴい!

忘れてならないのは、明石市の取り組みは世界基準であり、グローバルスタンダードです。日本が世界にまったく追いついていません…。



⑷現政権から共生社会は築けるのか?

【経済不況がもたらす弊害】
日本は30年間経済不況が続いています。世界最長レベルです。明石市から逆説的に考えると、お金に余裕がなくなると、人に優しくできなくなります。心に余裕が無くなると、弱者やマイノリティーへの「差別」が横行します。近年では、生活保護受給者への風当たりは増す一方です。働かずして税金で生きているなんてズルい!という気持ち、分からなくもない…。そんな私が居ます。我ながら怖い…。お金に余裕がないと排他的心理をもたらします。

ナチスによるホロコーストが行われた時、ドイツは第一次世界大戦敗戦国としての後始末で巨額の賠償金を命ぜられたことに加え、1929年の世界大恐慌の大打撃により、経済危機に陥っていました。国中に失業者があふれ、市民の不満は頂点に達していました。そんな時に現れたのが独裁者ヒットラー。「すべての不幸の元はユダヤ人だ」と国民を煽り、1932年に国民の支持によりナチスは政権を勝ち取りました。劣った人種とされていたユダヤ人はドイツ中で差別され迫害を受けます。また、生産性の無い障害者も大量虐殺(T4作戦)。ユダヤ人は迫害の末、第二次大戦終戦までに約600万人が虐殺されました。2013年、メルケル前首相は「ナチスの責任は、黙っていた市民にも責任がある」とスピーチしました。

つまり、不況であるがゆえに、差別思考になるわけです。共生社会を築くためには、日本はまず不況から脱却しなければ始まりません。そのためには積極財政が最優先ではないのか?と、私は思います。明石市の成功例を鑑みれば、子供に投資です。現政権は増税し続け国民を困窮させ続けています。世界91ヵ国がコロナ不況下、減税しています(全国商工新聞7/18付)。そして、子供の貧困に真剣に向き合えているのでしょうか?


【福祉職への冷遇】
子供・障害者・高齢者を支援する職員に対しての処遇が未だに改善されていません。介護士・保育士の年収は一般サラリーマンを100万円下回る状況が続いています。やりたい人が増えるわけがありません。岸田総理は総理になった時に福祉職に対しての賃上げを行うと約束したのに、彼は介護士・保育士に月9,000円賃上げをするまででした。一方、野党の共産党とれいわ新選組は「介護保育職員月10万円の賃上げ」と銘打って先の参院選で闘っていました。
共生社会を目指すのであれば、子供・障害者・高齢者を支援する職員を大切にしなければ成り立たないと思います。すぐそこまで来ている超高齢化社会、どうするつもりなのでしょうか?今の福祉は人の善意で成り立ってしまっているし、それに頼り過ぎています。もっと大胆に投資してほしいです。


【巨党自民党vsインディー党れいわ新選組〜子供と障害者支援〜】
すみません、私は完全草の根政党国民主権のれいわ新選組に注目しています。グローバルスタンダードに寄り近いのでは…?ご参考までに!

基本的に、政策実現のための財源確保は、自民党はおそらく主に税収から、れいわ新選組は国債による積極財政と思われます。実現不可能と言われがちなれいわ新選組ですが、真相はいかに…?経済に詳しい人からはれいわの経済政策は一定の評価はあるようですが。

〈⒈自民党の子供支援〉
政府は「こども家庭庁」を来年4月に設立します。しかし、発足当初は「こども庁」と名していたにも関わらず、「家庭」を無理くり入れ込みました。「健全な子供を育てる場は家庭だ」という理念からのようです。(家庭を重んじる統一協会の後押しがあったとの疑いあり)社会全体で子供を育てるという方針から逸脱しており、結局子育てする家庭、親に責任を負わせてるではないか!と野党から批判浴びまくりです。今後の立案と実行力を見ていきたいと思います。

「子ども家庭庁」とは…?
子供の貧困、児童虐待、障害、重大ないじめなど子供に関する様々な課題に総合的に対応するため、年齢による切れ目や省庁間の縦割りを排し、妊娠前から、妊娠・出産・新生児期・乳幼児 期・学童期・思春期を通じ、子供の権利を保障し、子供の視点に立って、各ライフステージに応じて切れ目ない対応を図るとともに、就学時等に格差を生じさせない等の教育と福祉の連携、子供の安全・安心の確保、関係部局横断的かつ現場に至るまでのデータ・統計の充実・活用等を行い、困難を抱える子供への支援等が抜け落ちることのないよう、こども政策の司令塔として「こども家庭庁」を創設し、こども政策を推進する体制の強化を図り、常に子供の最善の利益を第一に考え、子供に関する取組・政策がわが国社会の真ん中に据えられる「こどもまんなか社会」の実現に向けて取り組みます。(自民党総合政策集2022)

政党ホームページより自民党総合政策集2022(全152p)をザッと読んでみました。「子育て」の項目から抜粋要約します。ちなみにインクルーシブのイの字もありませんでした。
・待機児童の解消
・病児保育の拡充
・出産育児一時金の増額
・0 歳〜2 歳児も低所得世帯の保育料無償化
・ひとり親家庭への支援
・子育て世帯生活支援特別給付
・児童手当の強化(第二子については 一月当たり最大 3 万円、第三子以降については 一月当たり最大6 万円の経済的支援、三子以上の多子世帯の教育費の負担軽減)
・児童相談所の職員の大幅な増員、処遇改善と質の向上、医師・弁護士の配置支援の充実
・子供食堂など民間団体と連携
・児童養護施設の拡充(職員増員、就職支援、里親家庭支援)
・私立小中学校児童生徒への授業料負担の軽減
・年収590万円未満世帯を対象とした私立高等学校授業料の実質無償化、高校生等奨学給付金の充実
etc…

→岸田さん、本当にやっていますよね?

〈⒉れいわ新選組の子供支援〉
政党ホームページより抜粋要約します。
・子供の貧困を無くす(すべての子供に毎月3万円給付、給食無償化など)
・保育所の増設
・奨学金チャラ、大学生まで学費無償化
・インクルーシブ教育の推進(障害の有無に関わらず、分け隔てられることなく共に普通学級で学ぶフルインクルーシブ化)
・教員の数を大増員し、20人以下の少人数学級を目指す
・児童虐待への取り組み(虐待児と親を支援する第三者機関設置、児童相談所職員増員などの強化、養護施設児の経済的自立支援、里親制度の強化など)
etc…

〈⒊自民党の障害者支援〉
自民党総合政策集2022(全152p)より障害者支援に触れている箇所を抜粋要約します。こちらもインクルーシブのイの字もありませんでした。

『特別支援学校の教室不足への対応等の障害のある児童生徒への必要な教育支援体制の整備、特別支援学級などの対象となる児童生徒に係る「個別の教育支援計画」 及び「個別の指導計画」の作成義務化を踏まえた活用の促進、通級による指導の充実や特別支援教育コーディネーターの専任化のための教職員定数の改善、特別支援教育支援員の配置促進、 医療的ケア看護職員などの学校への配置拡充、 ICT などの技術を活用した教材などの研究や指導内容・方法の工夫改善などに取り組みます。 併せて、特別支援学校教諭免許状の取得率の向上や全ての小・中・高等学校の教師が特別支援教育に関する一定の知識・技能を身に付けられるようにします。
障害のある生徒に一層配慮した高校・大学入試の実施、個々の特性や能力に応じたキャリア教育・就労支援の充実、連携就労支援コーディネーターの配置拡充、高等学校における通級による指導の制度化を踏まえた実施のための体制整備や特別支援学級の制度化の検討。』

→おそらく、現行の分離教育のまま、特別支援学校・学級を強化していくということ?

・「障害者差別解消法」の改正法の施行に向けた準備 、障害者スポーツや障害者の芸術・文化活動の更なる推進
・地域生活支援拠点等や基幹相談支援センターの整備促進など、制度の見直し
・障害福祉人材の確保に向けて処遇改善
・医療的ケア児やその家族等への支援。また、児童発達支援センターの機能強化などにより、地域における障害児支援の充実化
・就労支援やテレワーク等により障害者雇用の質の向上。障害者雇用と福祉の連携を強化し、障害者就労を支える専門人材の育成強化
・「障害者優先調達推進法」(国が障害者施設からの商品購入を優先的に行う法)の実施
etc…

→具体的に現実を見て現場が実行しているのか?が知りたいところです。

〈⒋れいわ新選組の障害者支援〉
2019年参議院選挙で、日本初の重度障害者である議員がれいわ新選組から特定枠で2名当選しました。これにより、国会のバリアフリー化が実現しました。先の参院選でもれいわ新選組から1名特定枠で当選しましたが、やはり国民には理解が追いついていないのが現実です。こんな人が国会で答弁できるの?意味あるの?別に当事者が居なくても良くない?との声多数です。私は国会で彼らが存在証明することに意味があると思っています。共生社会を国会が体現したのは非常に意味があります。れいわにとっては「生産性のない障害者」に対する反論でした。

すみません、政策を記した下記URLを載せることで割愛いたします。自民党政策集より断然見やすく読みやすいです。
https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/newdeal2021_10/


*おまけ〜国会の茶番劇〜*
・国会に見る日本の縮図(子ども家庭庁についての質疑)↓
https://youtu.be/ienbNiZD85k
→江戸時代の教育理念を持ち出す自民党員と野次

・子供の貧困、真剣に考えてますか?↓
https://youtu.be/l6Kfe2c4VfU

・山本太郎はめちゃめちゃやっていた!↓
https://youtu.be/deHDXw3KNTg
→西日本災害対策よりカジノ法案強行採決の模様。半沢直樹ばりの面白さ!山本太郎の頑張りで被災地への重機大量投入、ボランティアの移動支援(高速道路費用を国が負担)が実現。沢山の巨悪で巨大な勢力と、政治に無関心な国民に対して、ずっと闘い続けていました。知らなかった…。元タレントではなく、彼の本質を国民は見抜いてほしいです。



⑸山百合園被害者美帆さん母親の言葉

「障害者も幸せな社会が健常者も幸せな社会、それが共生社会だと思います。」

神奈川新聞取材班の記者は言います。
「私達大人がいくら内なる優生思想に向き合ったところで、現状は変わらない。実際に障害者と出逢い共に生活していかなければ、彼らが仲間なんだという意識は湧いてこないだろう。」

共生社会の実現を願うばかりです…。


(❺に続く)

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