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星々ワークショップ第1回(読書会・合評会)開催模様をレポートします

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去る7月18日(土)・8月15日(土)に、小説を書きたい人のための読書会&創作合評会「星々ワークショップ」第1回をオンラインで行いました。読書会と合評会2回で1セットの、〝読んで、書く〟ワークショップ。特別ゲストお二人にもご参加いただいた開催模様をレポートします。

読書会(課題図書『線は、僕を描く』砥上裕將)

まず7月に行われた読書会、課題図書はメフィスト賞を受賞した砥上裕將さんのデビュー作『線は、僕を描く』(講談社)。メフィスト賞ですがミステリではなく、水墨画を描く青年の物語です。ブランチBOOK大賞2019を受賞、2020年本屋大賞にノミネートされて話題になりました。

参加者の皆様には事前に小説家・ほしおさなえさん作成の「読書会の栞」をお配りした上で作品を読んでいただきました(ほしおさんには運営のサポートをしていただいています)。そしてあらかじめお送りいただいた〝本を読んで印象に残った文章3箇所の抜き書き〟をもとに、当日なぜ印象に残ったかの発表を行いました。第1回ナビの灰音ハル(文芸創作ほしのたね)による進行のなか、音声通話でなごやかに意見を交わし合いました。

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「読書会の栞」は創作へ生かすことを意識した上での小説の読み方などが、なんとA4・5ページ分にもわたり記されています。

また、読書会にはほしおさんの著書『活版印刷三日月堂』シリーズの担当編集者であるポプラ社一般書事業局・文芸チームの森潤也さん(Twitter)にもお一人目の特別ゲストとしてご参加いただきました。森さんからは「編集者から見た砥上さんの魅力+創作のワンポイントアドバイス」と題してとても貴重なお話を伺うことができました。

参加者の皆様の読み込みがそれぞれ深く、ほしおさんや運営メンバーの気づかなかった点が多々指摘され、たいへん実りのある会になりました。それぞれの着眼点が異なっており、幅広い読みの可能性の一端に触れられることができました。

終了後には「参加者皆さまが創作者ということで、創作する人の視点からの意見が多数聴けて、参考になりました。これまで、書かなければということにばかり意識が向いていましたが、書くために読むということも意識していきたいと思いました」など、嬉しいご感想を数々いただきました。

合評会(創作テーマ「描くことについて」)

次に8月に行われた合評会、創作のテーマは「描くことについて」。10,000字までの文字数(短くても可)で、ジャンル不問のオリジナル作品を書いていただきました。気になった3作品を選んで参加者の皆様や運営メンバーでコメントしあい、その後に「参加者賞」を選ぶための人気投票を行いました。

また前回に引き続きご参加のポプラ社・森さんからも作品へのコメントをいただいたほか、合評会にはお二人目の特別ゲストである児童文学作家の緑川聖司さん(Twitter)にもご参加いただきました。緑川さんはたまたま目にされたツイートよりhoshiboshiの活動に興味を持たれ、月ごとのテーマで募集している140字小説コンテスト「月々の星々」にも選考外でよいのでとすばらしい作品を時折ご投稿いただいています。

プロの書き手としての目線から、主に表現や技術的な面での「こうしたらより良くなるのではないか」という具体的な指摘が緑川さんより言及されました。また情報の提示の仕方や、構成の順序についてもたいへん勉強になるアドバイスを提示していただきました。
(緑川さんが小説家・黒史郎さんとともに小学生記者の取材を受けた記事「ミステリーってどう書くの? (朝日学生新聞社)」も先日に掲載されましたので、新刊キャンペーンサイトとあわせてご覧ください)

そして最後にほしおさんとナビにより選ばれる「星々賞」が発表され、千野麦さんの『つゆくさ』が見事受賞となりました。『つゆくさ』は人気投票でも1位であったため、「参加者賞」は2位の灰音ハル『もっと愛をあげる』が繰り上げ当選となりました(運営スタッフの作品は星々賞の選考対象外ですが、参加者賞へは選考対象として含まれます。参加者賞の選考方式は、参加者全員が作者名を伏せた状態で全作品を読み、投票形式で決定します)。

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受賞者にはまんまる○さんにて活版印刷された特製の賞状(手書きのお名前入り)とともに、活版印刷三日月堂グッズ「星空館の星座早見盤」も贈られます!

ほしおさんより全作品への講評がなされ、一旦ワークショップは終了となりましたが、その後もフリートークタイムを設け、緑川さんや森さん、ほしおさんを交え熱く議論や情報交換が行われました。

受賞作はhoshiboshiサイトにてお読みいただけます

星々賞 『つゆくさ』 千野麦(せんの・むぎ) Twitter

参加者賞 『もっと愛をあげる』 灰音ハル(はいね・はる) Twitter ブログ

上記2作品は下記のhoshiboshiサイトにて全文をお読みいただけます(ワークショップ全期間終了後に受賞作をまとめた作品集を発行するまでの期間限定公開)。ほしおさんによる選評もありますのでぜひご覧ください。(2020年8月29日追記)

提出全作品(順不同)

『モンマルトルの白』 ちょっぴぃ Twitter
『僕に未来が描けるならば』 大場さやか Twitter
『最新小説』 石田さん Twitter ブログ
『一でも八でも』 みやふきん Twitter
『ビジョン・メイキング』 mayo Twitter
『家族の時間』 海山みどり Twitter ブログ
『海へ』 イケウチアツシ Twitter
『豊穣のエッジ』 凛々

また詳細は未定ですが、来年の夏〜秋には140字小説コンテストの受賞者の方々へもお声がけをして贈賞式を行う予定です。ワークショップはオンラインのみでの開催となりますが、もし一年後に状況が許すのであれば皆様とお会いできることを未来への楽しみとしてhoshiboshiの活動を行っていければと考えています。

次回以降の開催予定・寄せられたご感想など

おかげさまをもちまして、星々ワークショップ第1回は無事に開催することができました。至らぬ点も多々あったかと思いますが、ご参加いただいた皆様、そして特別ゲストとしてご出席いただいた児童文学作家の緑川聖司さん、ポプラ社の森潤也さんに心よりの御礼を申し上げます。

今回、初めてこのような試みを行うにあたり、はたしてご期待に沿う時間をつくることができるのだろかという不安も多々ありました。しかし会を終えご感想やSNSでの反応をいただくなかで、参加者やゲストの皆様からの積極的なご協力もあって想像以上に充実した機会を持つことができたのではないかと感じています。先の見えない状況のなかで、小さくはありますが、未来に向けて輝きをもてる場となれるよう運営メンバー一同で努めてまいります。

9月・10月開催の第2回(課題図書・東直子『とりつくしま』より「白檀」、創作テーマ・「願うことについて」)はすでに満席となってしまいましたが、11月・12月開催の第3回(課題図書・梨木香歩『海うそ』、創作テーマ 「失うことについて」)は10月11日(日)にチケット発売の予定です。概要はhoshiboshiサイトに記しておりますので、終了後のアンケートでお寄せいただいた下記のご感想なども参考にお読みいただき、多くの方にご参加いただけることを心待ちにしています。

ワークショップ後のアンケートでお寄せいただいたご感想

全体的な構成、時間配分、ゲストの登場、仕切り役、ほしお先生の論評まで、過不足が無く、素晴らしい運営でした。本当にありがとうございます。フリートークも思っていた以上に機能していましたし、むしろ身体性が無い方が議論や情報の純度が高いのでは?と思えるシーンも合ったように思います。
どちらも異なる様々な意見が聴けて、参考になりました。書くことを頑張ろうとするときに、書くだけではなく、読むことも大事だと確認することができました。

合評会では、参加者の皆さんがどの作品を推すのか、それも興味のあるところでした。感想を伝えてもらうことは、伝わっているかを知ることができる機会であるとともに、その人がどんなふうに自分に寄せて読んでくれたかを知る機会で、たくさん言葉をいただけたことを本当に嬉しく思います。
フリートークでは、ほしお先生、緑川先生に貴重な助言をいただき、それをもとにまた書き直してみようと思いました。
本当に貴重な体験になりました。
私は続けての参加ではなく、今後私事で忙しくなることから、これで最後の参加になってしまいますが、本当にありがとうございました。 
今回は初回ということもあり、課題への取り組み方が分からず読書会を終えてからの着手となったため、提出期限まで3週間とタイトなスケジュールとなりました。ただ逆に合評へ向け提出作を読む期間は1週間たっぷりあり、じっくり読むことができました。2回目以降は要領が掴めたので、スケジュールは今回同様でよいかもしれません。

読書会編では、書く人目線で作品を読む、また同じ立場の皆さんの感覚で読み取ったものを共用できてとても勉強になりました。
また合評会編は、同じテーマで全く違ったそれぞれ素敵な作品が生まれることにも感動しました。特にフレッシュで繊細な作品が多くて参考になりました。
自分の書いた作品は書き上がると駄作としか思えずショボンとするタイプですが、今回創作する皆さま、プロの作家先生、編集者さんのご感想や改善点へのアドバイスをたくさんうかがえとても有益でした。
誉められて有頂天にも。フリートークでは、本番に弱いタイプで大切なことを聞き損ねた感がありますが、いろいろ自由にお話をする機会が得られて感謝です。創作は一人でする作業ですが、作品は読む人があってこそも実感できました。本当に参加できて楽しくほしお先生、緑川先生、森様、運営ボランティアの皆様に感謝を申し上げます。
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