星々ワークショップ第2回(読書会・合評会)開催模様をレポートします
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回
去る9月12日(土)・10月17日(土)に、小説を書きたい人のための読書会&創作合評会「星々ワークショップ」第2回をオンラインで行いました。読書会と合評会2回で1セットの、〝読んで、書く〟ワークショップ。今回も特別ゲストお二人にもご参加いただいた開催模様をレポートします。
読書会(課題図書『とりつくしま』より「白檀」東直子)
まず9月に行われた読書会、課題図書は歌人でもある東直子さんの『とりつくしま』(ちくま文庫)より「白檀」。
死を迎えた人がとりつくしま係という場所を経て、一度だけ何かしらの”もの”にとり憑くことで、自分の死後の周辺を見守る物語です。過去2回舞台演劇も公演されています。
前回同様、参加者の皆様には事前に小説家・ほしおさなえさん作成の「読書会の栞」をお配りした上で作品を読んでいただきました。そしてあらかじめお送りいただいた〝本を読んで印象に残った文章3箇所の抜き書き〟をもとに、当日なぜ印象に残ったかの発表を行いました。第2回ナビの河合舟(文芸創作ほしのたね)による進行のなか、音声通話で意見を交わし合いました。
主人公・桃子は高校生の頃に出会った書道家の浜先生に心奪われ、死ぬまでその人生を書道に捧げました。死んだ桃子がとりつくしまに選んだのは、自身が先生に送った白檀の扇子、妻帯者である浜先生夫婦の生活をのぞき見したくないということで、夏の間だけ使われるその扇子を選びます。
先生との出会い、先生の奥様との思い出、先生への想いが死者の桃子の視点で描かれるため、桃子が語る視点をどのように捉えるのかという点で意見が分かれました。
また、今回はナビの河合が「白檀」を朗読するという時間を設けました。文字だけでなく、声(音)で物語を聴くことでまた違った印象が得られたと感想をいただき、様々な視点で作品に対する気づきを共有することができました。
合評会(創作テーマ「願うことについて」)
次に10月に行われた合評会、創作のテーマは「願うことについて」。5,000字までの文字数(短くても可)で、ジャンル不問のオリジナル作品を書いていただきました。気になった3作品を選んで参加者の皆様や運営メンバーでコメントしあい、その後に「参加者賞」を選ぶための人気投票を行いました。
第1回に引き続きご参加いただいたポプラ社・森さん(Twitter)、児童文学作家の緑川聖司さん(Twitter)からも作品のコメントをいただいた他、今回はお二人が選ぶ特別賞も別途選出されました。
緑川さんからは、今回も短編ならではの話の作り方をはじめ、諸作品に対するご指摘など技術的なアドバイスを多くいただきました。
最後にほしおさんとナビにより選ばれる「星々賞」が発表され、mayさんの『とおい、ちかい、とおい』が見事受賞となりました。
こちらの作品はポプラ社・森さんからの推薦もいただいております。
また、参加者賞は灰音ハルさん『ジャグ』、緑川さんが選ぶ特別賞はナヲコさんの『くものおとぎ話』となりました。
ナビ・ほしおさんより全作品への講評がなされ、一旦ワークショップはお約束となった一本締め(!)で終了となりましたが、その後もフリートークタイムで参加者の皆様と熱く語り合う時間となりました。
このフリートークタイムは参加者の皆様からは好評をいただいており、毎回参加者の皆様はもちろん、緑川さん、森さん、ほしおさんを交えて熱い議論を交わす場となっております。
受賞作はhoshiboshiサイトにてお読みいただけます
星々賞 『とおい、ちかい、とおい』 may(めい) Twitter
参加者賞 『ジャグ』 灰音ハル(はいね・はる) Twitter ブログ
特別賞 『くものおとぎ話』 ナヲコ Twitter ブログ
上記3作品は下記のhoshiboshiサイトにて全文をお読みいただけます(ワークショップ全期間終了後に受賞作をまとめた作品集を発行するまでの期間限定公開)。ほしおさんによる選評もありますのでぜひご覧ください。
提出全作品(順不同)
『あかい夜明けが見たかった』 横井けい Twitter ブログ
『生まれた日の星』 重政有 Twitter ブログ
『墓掃除』 ちょっぴぃ Twitter
『お茶会のお誘い』 岡本 ブログ
『神無月』 河合舟 Twitter ブログ
『♤♡フォーチュンテラー♧♢』 石田さん Twitter ブログ
『ヒーローなんていらない』 海山みどり Twitter ブログ
『質屋 鬼』 星蔦藍 Twitter
『満願』 なつか Twitter
また詳細は未定ですが、来年の夏〜秋には140字小説コンテストの受賞者の方々へもお声がけをして贈賞式を行う予定です。ワークショップはオンラインのみでの開催となりますが、もし一年後に状況が許すのであれば皆様とお会いできることを未来への楽しみとしてhoshiboshiの活動を行っていければと考えています。
次回以降の開催予定・寄せられたご感想など
皆様のおかげで、星々ワークショップ第2回は無事に開催することができました。至らぬ点も多々あったかと思いますが、ご参加いただいた皆様、そしてお忙しい中今回も特別ゲストとしてご出席いただいた児童文学作家の緑川聖司さん、ポプラ社の森潤也さんに心よりの御礼を申し上げます。
今回は第1回でいただいたご意見を元に、よりよいワークショップにしようと運営一同気持ちを新たに開催させていただきました。
良かったものはそのままに、とは言え前回とはまた違った「創作」のエッセンスになるよう、ナビ・河合の朗読を設けさせていただきました。
ナビがこの『とりつくしま』と出会ったのが、学生時代に参加していた朗読サークルで初めて聴いたのがこの作品・そして「白檀」だったこともあり、非常に思い入れの強い作品を選びました。
初めて聴いたときに比べ年齢を重ねていることや、このワークショップの取り組みで何度も繰り返し読んだことで、初めて聴いた当初とはまた違った印象を抱くことができました。
さらに、過去現在の自分からだけでなく参加者の皆様の感想をお聞きしたことで、また違った作品の印象を得られました。この作品の感想を共有しあう読書会で、万華鏡を覗き込むかのような楽しさを参加者の皆様にも感じていただけたのではないでしょうか。
11月・12月開催の第3回(課題図書・・梨木香歩『海うそ』、創作テーマ・「失うことについて」)はすでに満席となってしまいましたが、来年2月・3月開催の第4回(課題図書・『凍土二人行黒スープ付き』(雪舟えま)から「徐華のわかれ」、創作テーマ 「出会うことについて」)は12月20日(日)にチケット発売の予定です。概要はhoshiboshiサイトに記しておりますので、終了後のアンケートでお寄せいただいた下記のご感想なども参考にお読みいただき、多くの方にご参加いただけることを心待ちにしています。
ワークショップ後のアンケートでお寄せいただいたご感想
読書会の栞を頂いてから課題図書を開いたことで、普段本を読む時よりもはるかに高い感度で文章を捉えることができたような気がします。とても参考になりました、ありがとうございました。
違う観点からの違う意見もあって、そこから自分の考えを深めたり、違うものを取り入れたり、何故そうなるのかを考えるいい機会になりました。
ありがとうございます。
書く人が参加者の読書会はとても勉強になりました。栞も課題作品も何度も読み、考えに考えたのに、当日の他の参加者の読みの深さと多様さに自分のまだまだ未熟さと皆様への尊敬、もっと学ぼうと思えました。書く人が学べるたことに本当に感謝申し上げます。進行など前回と変化があり、運営の皆様が改善を考えられているというのを強く感じて、運営の皆様にも本当に御礼申し上げます。
他、多数のご意見をいただいております。
参加者の皆様、ご協力ありがとうございました。
執筆:第2回ワークショップ・ナビ 河合舟
第1回 第2回 第3回 第4回 第5回 第6回
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?