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星々ワークショップ第5回(読書会・合評会)開催模様をレポートします

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去る4月17日(土)・5月15日(土)に、小説を書きたい人のための読書会&創作合評会「星々ワークショップ」第5回をオンラインで行いました。読書会と合評会2回で1セットの、〝読んで、書く〟ワークショップ。今回も特別ゲストお2人にもご参加いただいた開催模様をレポートします。

読書会(課題図書『トリツカレ男』いしいしんじ)

まず、4月に行われた読書会、課題図書はいしいしんじさんの『トリツカレ男』(新潮文庫)でした。
なにごとにも極端にのめりこんで(トリツカレて)しまう主人公が、初めての恋の相手のために、これまでにトリツカレた全てを活かして奮闘する物語で、独特のリズムを持ったおとぎ話のような語りが特徴的です。

前回までと同様、参加者の皆さまには事前に小説家・ほしおさなえさん作成の「読書会の栞」をお配りした上で作品を読んでいただきました。そして、当日はあらかじめご提出いただいた〝本を読んで印象に残った文章3箇所の抜き書き〟をもとに、なぜ印象に残ったかの発表を行いました。第5回ナビのナヲコ(lotto140)による進行のなか、音声通話で意見を交わし合いました。

参加者の皆さまからは、物語全体の緻密な構成と、それらを形づくっている細部の巧みな描写の両方に対して、多くの言及がありました。また、「語り」や「視点」に特徴のある作品のため、それらがもたらす効果についても、同じ創作者としての立場からの気づきが寄せられました。

意見交換の後半では、参加者の一人が提示した疑問点に他の参加者が自分なりの解釈を発表しあう等、一方通行の発表にはとどまらないやりとりが和やかに交わされ、終了後のフリートークでもお互いの読みを更に深め合う交流が行われました。

合評会(創作テーマ「語ることについて」)

続いて、5月に行われた合評会では、5,000字を上限に「語ることについて」というテーマでそれぞれ作品を書いていただきました。参加者の皆さま、及び運営メンバーは事前にお互いの作品を読み、当日はひとりずつ、気になった作品についてコメントしていく形で発表を行いました。全員の発表を終えた後、「参加者賞」を選ぶための人気投票が行われました。

これまでの回に引き続きご参加いただいたポプラ社・森潤也さん(Twitter)、児童文学作家の緑川聖司さん(Twitter)からも、気になった作品ひとつひとつについて、編集者・作家それぞれの見方から丁寧なコメントをいただきました。ナビからも全作品へのコメントを発表しました。

ほしおさんとナビにより選ばれる「星々賞」が発表され、橘芙歩さんの『教えたげたい』が見事受賞となりました。『教えたげたい』は人気投票でも一位であったため、参加者賞は二位の大場さやかさんの『からだから』が繰り上げ受賞しました。また、奨励賞として、古川桃流さんの『夢をかなえるために必要なたったひとつのこと』(ナビ推薦)、星蔦藍さんの『ファーリ』(森さん推薦)、ナビであるナヲコの『花嫁のえくぼに寄せて』(緑川さん推薦)が選出されました。

最後にほしおさんから全作品への講評があり、恒例の一本締めをもってワークショップは終了、その後は緑川さん、森さん、ほしおさんを交えて語り合うフリートークタイムとなりました。フリートークでは、発表の際には話しきれなかった感想を作者に直接伝えたり、ゲストやほしおさんに個別に質問をしたり、参加者どうしでお互いの創作の手法について語り合ったりと、濃密な時間を過ごすことができました。

受賞作はhoshiboshiサイトにてお読みいただけます

星々賞 『教えたげたい』 橘芙歩(たちばな・ふふ) ブログ
参加者賞 『からだから』 大場さやか(おおば・さやか) Twitter pixiv
奨励賞 『夢をかなえるために必要なたったひとつのこと』 古川桃流(ふるかわ・とうる) Twitter ブログ
    『ファーリ』 星蔦藍(ほしつた・あい) Twitter エブリスタ
    『花嫁のえくぼに寄せて』 ナヲコ Twitter ブログ

上記5作品はhoshiboshiサイトにて全文をお読みいただけます(ワークショップ全期間終了後に受賞作をまとめた作品集を発行するまでの期間限定公開)。ほしおさんによる選評もありますので公開の際にはぜひご覧ください。

提出全作品(順不同)

『もどかしい僕たち』 海山みどり
『sora』 小林美貴
『スフィアの欠片』 なつか
『逢魔を語らば』 浜時彩
『我思うゆえに我があり』 イケウチアツシ
『顔』 may
『銀の扉の向こうに』 キイチ
『九回裏無死満塁』 ちょっぴい

また、詳細は未定ですが、今年の秋には140字小説コンテストの受賞者の方々へもお声がけをして贈賞式を行う予定です。ワークショップはオンラインのみでの開催となりますが、もし状況が許すのであれば、皆様とお会いできることを未来への楽しみとしてhoshiboshiの活動を行っていければと考えています。

次回の開催予定・寄せられたご感想など

皆さまのおかげで、星々ワークショップ第5回も無事に開催することができました。
至らぬ点も多々あったかと思いますが、ご参加いただいた皆さま、そしてお忙しい中、今回も特別ゲストとしてご出席いただいた児童文学作家の緑川聖司さん、ポプラ社の森潤也さんに心よりの御礼を申し上げます。

回を重ねる中で皆さまからいただいたご意見を参考に、運営一同、より満足度の高いワークショップを目指して開催させていただきました。

今回の課題図書はナビが以前から愛読している思い入れのある一冊でしたが、課題図書として改めて読み返すことで多くの発見がありました。
特に、参加した皆さまの多くが口にされていた「緻密な構成」と、その構成の意図を感じさせない流れるような文章、豊かな表現には舌を巻くばかりで、それらを皆さまと一緒に読み解けたことは嬉しい体験となりました。
読書会の最後に創作課題を発表した際、ほしおさんからは「手跡が残らなくなるまで吟味したものを」という言葉がありました。参加者の皆さまから提出された課題はその言葉に忠実に「よく計算され、練られているけれど、読むときには全く自然」と感じられる文章ばかりで、読書会を糧にして創作に取り組んでいただけたことが伝わり、胸を熱くして読ませていただきました。
当初予定していた星々賞・参加賞に加えて、ナビとゲストからも奨励賞を出し、受賞作5つの大盤振る舞いとなりましたが、甲乙つけがたい素敵な作品揃いであった証拠だと感じています。
次回開催の第6回ワークショップが最終回となりますが、また素敵な作品と出会えることを楽しみに、運営一同準備を進めております。

7月・8月開催の第6回(課題図書・ほしおさなえ『東京のぼる坂くだる坂』、創作テーマ・「問うことについて」)は6月13日(日)にチケット発売の予定です。
終了後のアンケートでお寄せいただいた下記のご感想なども参考にお読みいただき、多くの方にご参加いただけることを心待ちにしています。

ワークショップ後のアンケートでお寄せいただいたご感想

読書会では毎回書いてる気がしますが、新たな素晴らしい著者を紹介して頂き、感謝しています。
自分ひとりの視点では見えなかったところが、このようなワークショップのおかげで見えるようになっていく感じがしています。参加できてよかったです。
参加者の皆様の読み方を知ることができて、そういうふうにも読めるのだな、そんなに深く考えることもできるだな、と気付かされます。もっと「読み」の力を深めていきたい、と思いました。
声だけというのは、必要以上に緊張せずに話せるので、よかったと思います。今回の課題図書も、参加しなければ出会うことがなかったかもしれないので、読めてよかったと感じています。創作は、「描写でいかに伝えるか」に挑戦してみたいですが、まだどうなるかわかりません。次回もよろしくお願いいたします。
皆さんの様々な個性のある作品を読めて、その感想も聴けて、小説を書くこと、読むことの面白さを再確認できたような感じです。
今日は今までの中でもとてもフリートークが盛り上がって、皆さんの創作の仕方や悩んでいる点を話し合えて、楽しい時間でした。長時間ありがとうございました。
最後になる第6セットも参加したいです。

他、多数のご意見をいただいております。
参加者の皆様、ご協力ありがとうございました。

執筆:第5回ワークショップ ナビ・ナヲコ

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