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星々ワークショップ第6回(読書会・合評会)開催模様をレポートします

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去る7月10日(土)・8月28日(土)に、小説を書きたい人のための読書会&創作合評会「星々ワークショップ」第6回をオンラインで行いました。読書会と合評会2回で1セットの、〝読んで、書く〟ワークショップ。いよいよ最終回となった本会の開催模様をレポートします。

読書会(課題図書:ほしおさなえ『東京のぼる坂くだる坂』)

7月に行われた読書会、課題図書はほしおさなえさんの『東京のぼる坂くだる坂』(筑摩書房)でした。
最終回ということで、第6回ナビの江口穣(爆弾低気圧)とほしおさんで相談を重ねた結果として選ばれた本書。ほしおさんの近作とは趣がかなり異なり、会話表現が極力抑えられ、歩きながら思考する主人公のひとり語りを主体に綴られます。

これまでと同様、参加者の皆さまには事前にほしおさん作成の「読書会の栞」が配られましたが、ご自身の本ということもあり作品読解のためでなく、「書く」とは何なのかという原点に立ち返る文章を、過去回の振り返りとともにまとめた栞を用意いただきました。そして当日はあらかじめ提出いただいた〝本を読んで印象に残った文章3箇所の抜き書き〟をもとに、なぜ印象に残ったかの発表を行い、音声通話で意見を交わしました。

遠慮なく話し合うため発表の間はほしおさんは一時退席しましたが、最後に設けられたほしおさんへの質疑応答ではたいへん多くの質問が寄せられ、そのすべてにお答えいただきました。書き手でもある皆さまからの質問は、技術的なものだけでなく物語ることの根本に踏み込んだものまで、深く広いものばかりでたくさんの学びがありました。

ある意味でほしおさん本来の文体にもっとも近い筆致で書かれたという本作。参加者それぞれがなにを、どのようにこれから書いていくべきか。その大きな示唆を得られつつ会は終了し、その後のフリートークでも和やかに歓談がつづけられました。

合評会(創作テーマ:「問うことについて」)

8月に行われた合評会では、10,000字を上限に「問うことについて」というテーマでそれぞれ作品を書いていただきました。参加者の皆さま、及び運営メンバーは事前にお互いの作品を読み、当日はひとりずつ、気になった作品についてコメントしていく形で発表をすすめ、参加者賞を選ぶための人気投票もおこなわれました。

受賞作は、ほしおさんとナビにより選ばれる「星々賞」が橘芙歩さんの『異次元シャワールーム』、参加者賞がナヲコさんの『羽牛の這う丘から』となりました。また特別賞として、河瀬ひらさんの『エリック』(ナビ推薦)、浅井洲さんの『ヒーローとミルクレープ』(森さん推薦)、mayさんの『You are what you eat.』(ほしおさん推薦)も選出されました。

これまでの回に引き続きゲスト参加いただいたポプラ社・森潤也さん(Twitter)からも、気になった作品について丁寧なコメントをいただき、ナビ、そしてほしおさんからからも全作品への講評をおこないました。
(なお、森さんからは終了後に下記のnoteをお寄せいただきました。一年間を通してのご参加とあわせて、心より御礼を申し上げます)

最終回、そして「問うことについて」という創作テーマにふさわしい力作ばかりで、それぞれが内に抱える大切なものをこの星々ワークショップという場で差し出していただきました。そのことへの深い感謝をお伝えしつつ、恒例の一本締めをもってワークショップは終了。その後は森さん、ほしおさんを交えてのフリートークタイムとなり、昨年7月より開催をつづけてきた星々ワークショップはついに閉幕となりました。

受賞作は期間限定でサイト掲載するほか、11月に発行する書籍『星々──生きるように書くこと』にてお読みいただけます

星々賞 『異次元シャワールーム』 橘芙歩(たちばな・ふふ) ブログ 
参加者賞 『羽牛の這う丘から』 ナヲコ Twitter ブログ
特別賞 『エリック』 河瀬ひら(かわせ・ひら)
    『ヒーローとミルクレープ』 浅井洲(あさい・しま) Twitter ブログ
    『You are what you eat.』 may(めい) Twitter ブログ

上記5作品はほしおさんによる選評とあわせて期間限定でサイトに掲載(近日公開予定)するほか、11月に発行する書籍『星々──生きるように書くこと』(表紙装画:版画作家・花松あゆみさん)でもお読みいただけます。

本書はこの1年2ヶ月ほど継続してきた星々ワークショップと140字小説コンテスト応募作中の優秀作を集めた本で、8月17日〜9月30日までの期間でその予約販売を兼ねたクラウドファンディングを実施しています。

おかげさまで開始の翌日に目標金額を突破し、現在は140字小説コンテストの再開・継続と、新たに短編小説コンテストの創設、そして星々書籍2号の発行を目指して新たな目標(ストレッチゴール)を設定中です。リターンの詳細などリンク先をご覧いただき、ぜひご支援・ご紹介をよろしくお願いいたします。

提出全作品(順不同)

『うす黄色の林檎』 岡本 ブログ
『カゴの中身』 イケウチアツシ Twitter
『クチナシ』 星蔦藍 Twitter エブリスタ
『モヒカンドリinLV』 ちょっぴい Twitter
『黄色の光』 重政有 Twitter ブログ
『朝の通勤快速』 古川桃流 Twitter ブログ
『同じ重さなら』 みやふきん Twitter
『夢の青色』 hepta44 Twitter
『昏い朝』 なつか Twitter
『大丈夫じゃない』 海山みどり Twitter ブログ

最後となりますが、改めて昨年7月からはじめたこの星々ワークショップへ多くの皆さまにご参加いただき、そして好意をもって受け入れてくださったことに深くお礼を申し上げます。引き続き今後の星々のあらたな活動の進む先を見守っていただければさいわいです。

執筆:第6回ワークショップ ナビ・江口穣

ワークショップ後のアンケートでお寄せいただいたご感想

読書会

最後の課題本の選択、素晴らしかったと思います。
コロナ感染下自由に活動できない中で、面白い本との巡り会いの場を設けて頂き、小説を書き続けられて、なおかつ評価も頂けて大変有意義な体験となっています。
ほしおさなえさんと直接こんなにたくさんのお話ができるとは思いませんでした。質問に丁寧にお答えいただいたこと、また栞の内容にも感動しました。運営もスムーズですばらしかったです。
参加者が選んでこられた文章から見えてきたものが多く、大いなる収穫になりました。読書会後のフリートークでも参加者へのほしお先生のアドバイスがとても参考になりました。 
課題図書に関するさまざまな意見をお聞きして、自分自身ははっきりと認識していなかったけれど、そう感じていたのかもしれないと思えたところがあって、やっぱり多くの人の感想を聞くのは大切だと感じました。
また、ほしおさんのお話を多く聞けたので、とても得るところが多かったと思っています。なぜ書かざるえないのか、ということを自分に問い直しながら創作に励みます。
抜書きをすることと皆様の意見を聞くことで、新しい発見があり、読書会を楽しむことができました。

創作合評会

これまで私の周囲にいた書き手と違うタイプの書き手の方に、多く出会えて、私自身の転機となりました。
これまでテーマを明確にして書いたことがなく、どこかボヤけた話になりがちだったのですが、ワークショップではクリアに書けたような気がしています。
自分が何を書こうとしているのかを意識することが大切だと感じました。
不思議だったのは、ほしおさんの問いかけを自分なりに考えて作品を書くうちに、わからなかったことが、わかるようになっていたことでした。
なんというか、問いかけに答えようとして自然になにかを得ているみたいな感じです。
私にとって、得るものの大きいワークショップとなりました。
ありがとうございました。
たくさん素敵な作品を読むことができてよかったです。自分が書くということもそうですが、作品を読み込むという機会を得たことが、書くことの刺激になりました。
それぞれの参加者が感じることをきくことで、得られることも大きかったです。
ほしお先生に読んでもらって、作品について少しでも言及してもらえたことが、本当に嬉しかったです。
このワークショップで得たことを、これから書くことに活かしていきたいと思います。
今回は本当に皆、読ませる物が多く、2週間という読む期間があって、助かりました。私もこの場だからこそのチャレンジ(忌避されそうなノイズをあえて入れる、フレームづくり、時事ネタとの絡ませ)ができたのは、書き手や読み手、評価する人たちへの信頼が会ってこそかと思います。アウトプットして、フィードバックを得ることが何よりの血肉になります。
毎回新たな学びがある、そしてあたたかな雰囲気で楽しく参加できるワークショップでした。
こちらで、自分では手に取ったことのなかった本をたくさん読んだり、皆さんの書いた作品を読んだり、自分の書いたものを読んでいただいたり、すべてが今後、読んだり書いたりする上での糧となる経験だったなあ…と思います。
本当にありがとうございました。
新たな展開も楽しみにしております。
第1回から6回皆勤させて頂きました。途中いろんなジャンルに挑戦しつつ、現在の自分の実力を測ることができました。劣等生ではありましたが、最終回で初めて2桁得票も頂けて、何とか格好がついた形で卒業できそうです。ほしお先生、スタッフの皆様大変お世話になりました。
今回は良作が多かったので、感想を4分では語り尽くせなかった。
様々な読み方を知ることができました。ありがとうございました。
参加するたびに他の方とお話しすることができ、とても刺激になっております。楽しい時間をありがとうございました!
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