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なんか、違う気がするんだよな…

昔、在職した会社は
地方から栄転してくる人もいて
その人と対面したのは、3月の終わりだった

高身長の初対面から「おはよう」
社屋の玄関で声をかけられ
顔を見ると、西島秀俊さんと柴田恭兵さんに似た
すぐに、よそから来た人だと分かった

午前中、うちの部署まで挨拶に回られ
瀬川さんという、某部署の課長と知った

煩悩撲滅繁忙期から脱却する
GW前には、瀬川さんとご飯に行く日があった
きっかけは何だったのかな? 覚えてない

瀬川さんは、こっちに友達が居ないと言うので
退社後は、夜の街をアテもなく歩き
瀬川さんはこちらへ車を持ってきており
ドライブに出発するなど、女友達と同じ感覚
健全であり、不純がなかった


「有休使って実家に帰ってくる
その前に、飯食いに行こう」
メールがあったので、快諾して時間を決め
テキトーな店で、テキトーに食べて
駅に向かうころ

瀬川さんはわたしの右手首を掴み
「ももちゃんのことは、俺が守る」
「世界中を敵に回しても、味方だよ」

突然のことと、ベタなセリフ
わたしは業務上で
とんでもないミスを仕出かしたのかと不安になった

瀬川さんに抱き締められて
わたしの頭上で大きなため息が聞こえた
今だって、その時の音まで記憶している

わたしは気が気じゃなかった
瀬川さんの部署が知るとは
どの案件のミスだ⁈ 全然、大丈夫じゃない
始末書は1件につき、2枚の提出だったはず

「どの案件を失敗しました?
上司から何も聞いてないんですよ
教えてください」

瀬川さんは、虚を突かれた表情をした

「失敗は知らないよ。絶対言うなよ?
ももちゃん、来年、営業へ異動になる」

営業部は、第○課と複数あるが
瀬川さんの中では、そんなに同情される部署なの?

釈然としない気持ち
そもそも、世界中を敵に回す任務って何だよ
今でも、瀬川さんの行為は建前だったのではないか

実際、その後に営業へ異動する話を
上司から打診された

でも、なんか、違う気がするんだよな…

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