編…笠原順路『対訳 バイロン詩集 イギリス詩人選(8)』
わたしは特に『貴公子ハロルドの巡礼』の、
という一節が好きです。
これはスペインの闘牛についての詩。
牛はマタドールによって殺される運命にあります。
おぞましい光景ですし、闘牛そのものは残酷だと思います。
しかし、わたしはこの牛の、最期まで全身全霊で闘い抜く精神に感銘を受けました。
どんな生き物だって、こんな孤立無援で絶体絶命の状況なら、怯えて逃げ惑ったり、恐怖で固まってもおかしくありません。
しかしこの牛は違います。
やられっぱなしで大人しく死んでたまるか! せめて一矢報いてやる! という凄まじい生のエネルギーを感じます。
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