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著…J.K.ローリング 訳…松岡祐子『とても良い人生のために 失敗の思いがけない恩恵と想像力の大切さ』
かつては無職のシングルマザーでホームレスすれすれの生活をしていたのに、今や世界的な成功者のうちの一人。
これは、そんな著者がハーバード大学で行った「失敗」についてのスピーチをまとめた本。
挿絵がお洒落なので、この本に出てくるいくつかの言葉や挿絵たちを額縁に入れて部屋に飾りたいです。
「失敗とはなにかを決めるのは、結局私たち一人一人なのです。ところが、放っておけば、世間が、失敗の一連の基準を熱心に示したがります。(中略)どの通常の基準に照らしても、私は確かに最大級の失敗者でした」
という言葉からは、困窮して途方に暮れていた頃の陰鬱な気分が伝わってきて、わたしもとても共感しました。
世間は簡単に人を落伍者扱いしますから。
誰だってつまずくことはあるはずなのに、つまずいた人に冷たいのが世間です。
しかし、著者は自分の人生をこう振り返ります。
「(中略)まだ生きていて、愛する娘がいて、旧式のタイプライター一台と、大きなアイデアがありました。どん底の基盤が、その上に人生を築きなおす確固たる土台になったのです」
と。
まるで、真っ暗な世界に射す一筋の光のような言葉ですよね。
これは、今まさに人生のどん底にいる気分の方にとって、救いとなる言葉ではないでしょうか?
まだ自分が生きていて、大切な人も生きていて、タイプライターと大きなアイデアがある、まだまだこれからだ、頑張ろう、と思えるのは素晴らしいことです。
辛くてたまらない今は、これからより良い人生を築く土台になってくれる…。
そういう考え方が出来れば、人は前向きな行動を取れそうです。
また、
「世界を変革するのに魔法は要りません。すでに私たちの中に、すべての必要な力が備わっているのです。それは、より良い世界を想像する力です」
という言葉も素敵。
なんだか、自分の心に向かって「ルーモス!」と呪文を唱えてもらった気分です。
〈こういう方におすすめ〉
「今はとても辛いけれど、これからは幸せになりたい」と考えている方。
〈読書所要時間の目安〉
15分〜30分くらい。
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