著…谷崎潤一郎 絵…しきみ『魔術師』
どんなに摩訶不思議な魔術よりも、恋する力の方がずっと強くて哀しいのだと教えてくれる小説。
きっと、恋人たちを引き離すことは、どんなに偉大な魔術師にだって出来ません。
※注意
以下の文は、結末までは明かしませんが、ネタバレを含みます。
多くの人を魅了する美貌の魔術師。
誰もがその魔術師の虜になります。
主人公も例外ではありませんでした。
…けれど、主人公の恋人は別。
恋人がふいに主人公に言った、
という言葉に、わたしはすこぶる共感しました。
きっと恋ってそういうものですよね。
言葉ではうまく説明出来ないけれど…。
主人公と恋人の関係は、一見両思いのようでありながらも、とてももどかしいです。
お互いの心は目に見えないから…。
カップルでありながらも、まるで恋人が主人公に片想いをしているみたい。
読んでいて胸を締め付けられます。
どれほど近くにいても、体に触れていても、心を確かめられない。
耐え難いほど寂しいけれど、それでもいい、そばにいたい。
…胸の奥がひりつくようなその痛みに、共感する方は少なくないのではないでしょうか?
〈こういう方におすすめ〉
妖しい世界観を持つ、哀しい恋物語を読みたい方。
〈読書所要時間の目安〉
2時間半くらい。
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